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放射性物質又は放射性物質によって汚染された物の輸送に関する基準(放射線障害の防止に関する技術的基準に関する部分)の改正について(答申)


52放審議第43号
昭和52年8月9日

運輸大臣 田村 元 殿
放射線審議会会長
御園生 圭輔

 昭和52年3月23日付け官計第70号をもって本審議会に諮問のあった標記の件については、慎重に審議した結果、下記のとおり結論を得たので答申する。

1 諮問の第2の1については、次の考え方に従い法令を改正すべきものと考える。鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車、軽車両及び航空機による輸送については、現時点における被ばくの実態から当面、当該作業に従事する者の被ばく放射線量が年間0.5レムを超えるおそれがないので許容被ばく放射線量を規定する必要はない。

 船舶による輸送についても、現時点における被ばくの実態から当面、その大部分は当該作業に従事する者の被ばく放射線量が年間0.5レムを超えるおそれがないが、例外的なものとして当該被ばく放射線量が年間0.5レムを超えるおそれのある輸送も考えられるので、その場合には、適切な許容被ばく放射線量(年間5レム以下)を設定し、これに応じた被ばく管理(輸送従事者が輸送中にいる場所における放射線量率及び輸送従事者個人の被ばく放射線量の測定、被ばく管理者の選任等)の下でこれを行わせること。

2 諮問の別記第2A型輸送物の基準に定める性能(1)において、「放射性物質の1時間当りの漏えい量が(A2×10-6)(希ガスの値は、非圧縮状態の値)を超えないこと」は適当でないので「放射性物質の漏えいがないこと」に改めること。

3 上記以外については妥当である。

4 なお、審議の過程で次のような意見の集約をみたので留意されたい。

 (1) 諮問の第2の11における専門家についての解釈を明確にすること。

 (2) 適切な用語の使用に配慮すること。

 (3) 輸送に関する基準は原則として国際的な基準と整合させることが重要であるので、国際的基準が変更された場合は、速やかに対応すること。また、国内及び国外における輸送の実情について今後十分調査を行い、必要に応じ関係諸法令の見直しを検討すること。

 (4) 本答申を受けて関係法令の改正を行うに当っては、新しい輸送基準の周知と専門知識を有する輸送責任者の養成に努めること。


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