前頁 | 目次 | 次頁

「セシウム-137分析法」(改訂案)等分析法の制定について(答申)


51放審議第40号
昭和51年9月2日

科学技術庁長官
 佐々木 義武 殿
放射線審議会会長 御園生 圭輔

 昭和51年5月24日付51安第3794号をもって本審議会に諮問のあった標記の件については、慎重に審議した結果、下記のとおり結論を得たので、この旨答申する。



Ⅰ 審議結果

1. 「セシウム-137分析法」(改訂案)について

 諮問案のとおり放射能測定方法を制定することは、おおむね適当であるが次の点に留意することが必要であると考える。

(1) 表題を他のマニュアルと統一する意味で「放射性セシウム分析法」とすること。

(2) 本分析法の利用対象を特に地方自治体に限定する必要はない。

(3) ルビジウム除去操作については、特定のものだけでなく全試料について行うこと。

(4) 第12章ガンマ線スペクトロメータを用いた機器分析は削除して、早急にGe(Li)半導体検出器等を用いた機器分析における前処理方法についてのマニュアルを検討すること。

2. 「全ベータ放射能測定法」(改訂案)について

 諮問案のとおり放射能測定方法を制定することは、おおむね適当であるが、次の点に留意することが必要であると考える。

(1) 本測定法は、環境放射能のうち施設寄与分を分離して測定する目的には適さない旨を明示すること。

(2) 本分析法の利用対象を特に地方自治体に限定する必要はない。

(3) 試料採取法についての記載を他の分析法との共通性を考慮し修正すること。

3. 「放射性ジルコニウム分析法」(案)について

 諮問案のとおり放射能測定方法を制定することは、おおむね適当であるが次の点に留意することが必要であると考える。

(1) 本分析法の利用対象を特に地方自治体に限定する必要はない。

(2) 試料採取法についての記載を他の分析法との共通性を考慮し修正すること。

4. 「Ge(Li)半導体検出器を用いた機器分析法」(案)について

 諮問案のとおり機器分析法を制定することは、おおむね適当であるが次の点に留意することが必要であると考える。

(1) 第11章において、電算機と波高分析器をオンラインにしてデータを解析しているものの解説を付記すること。

(2) 核データ及び図表等については、最新のものに変えること。

(3) 本測定法については、機器の開発及びデータ解析の研究に伴ない適宜見なおしをする必要がある。

5. 前記1.~4.のマニュアルの制定に関する総括的意見

(1) 前記マニュアル1.~4.に用いられている記号および用語についてはその統一を図ることが望ましい。

(2) 今後分析法の改良、放射能測定機器等の開発にともない、前記マニュアルを適宜再検討することが望ましい。


Ⅱ 審議経過


 本部会は、附託された諮問案件を慎重に調査審議するため、昭和51年6月8日開催の第1回測定部会において、それぞれの分析法マニュアル(案、改訂案)についてのワーキンググループを設け具体的事項の検討を依頼した。

 以後、部会及びワーキンググループは、別表1のとおり審議を重ねてきたが、昭和51年8月24日第2回測定部会において、ワーキンググループの審議結果を聴取し、部会報告書を取りまとめた。

 なお、各ワーキンググループの構成員は別表2のとおりである。

別表 1

付録

測定部会の委員および専門委員

委員
(部会長) 斎藤 信房 東京大学理学部

池田 長生 東京教育大学理学部

伊沢 正実 放射線医学総合研究所

井上弥治郎 電子技術総合研究所

川城 厳 国立衛生試験所

浜田 達二 理化学研究所

浜田 政彦 国立がんセンター

専門委員

阿部 史朗 放射線医学総合研究所

石川 友清 日本原子力研究所

浦久保五郎 国立衛生試験所

岡野 真治 理化学研究所

笠井 篤 日本原子力研究所

葛城 幸雄 気象研究所

小林 宏信 農業技術研究所

塩崎 愈 海上保安庁水路部

団野 晧文 鹿児島大学農学部

郭賀 花人 東海区水産研究所

山県 登 国立公衆衛生院

別表 2 各ワーキンググループの構成員

前頁 | 目次 | 次頁