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日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)


51原委第440号
昭和51年6月1日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和51年3月11日付け51安第1475号(昭和51年5月14日付け51安第3766号で一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。



① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号及び第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。


(別添)

昭和51年5月17日
原子力委員会
委員長 佐々木 義武 殿
原子炉安全専門審査会会長 内田 秀雄

日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和51年3月12日付け51原委第266号(昭和51年5月14日付け原委第434号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。


 Ⅰ 審査結果

 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「敦賀発電所原子炉設置変更許可申請書(昭和51年2月27日付け申請及び昭和51年5月10日付け一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。


 Ⅱ 変更内容

 タービン軸封蒸気(衛帯蒸気)発生器を新設し、低圧タービン軸封蒸気として当該蒸気発生器で復水タンク水を加熱して得られる蒸気を使用する(変更前、低圧タービン軸蒸気として原子炉発生蒸気を使用)

 Ⅲ 審査内容

 本変更は、原子炉の平常運転時のタービン軸封蒸気排ガス中の放射性物質を低減させることを目的としてなされるものである。

 本変更によると、タービン軸封蒸気発生器の一次側(加熱蒸気側)熱源には原子炉蒸気が使用され、二次側(軸封蒸気発生側)水源には放射性物質濃度の低い復水貯蔵タンク水が使用される。二次側で発生した蒸気は低圧タービン軸封部をへて軸封蒸気復水器により凝縮され、凝縮水は主復水器に導かれる。

 タービン軸封蒸気発生器の作動状態の確認は、軸封蒸気発生器の圧力、水位の監視及び軸封蒸気復水器モニター等で行われ、また、万一軸封蒸気発生器が故障した場合には、所内ボイラに切替えて清浄蒸気を供給し、タービンを継続して運転できるようになっている。

 従って本変更により原子炉の安全性が損われることはない。

 なお、本変更に伴い平常運転時に放出される放射性物質に起因する原子炉施設周辺の被曝線量評価を行った。

 この結果、タービン軸封蒸気復水器の排ガス中の放射性希ガス及びよう素は高圧タービン軸封蒸気に含まれるものだけが対象となるのでこの系からの希ガス及びよう素の放出率は従来の値の約3.5分の1に低減される。この低減効果を考慮すると、人の居住する可能性がある地点で、放射性希ガスからのガンマ線による全身被曝線量が最大となるのは、排気筒の南東方向約700mの地役権設定区域境界であり、その被曝線量は年間約1.8mremとなり、また放射性よう素による甲状腺被曝線量が最大となるのは、排気筒の南東方向約800mの地役権設定区域境界外であり、その被曝線量は年間約1.6mrem(幼児)となる。

 これらの被曝線量に液体廃棄物の被曝の寄与を含めた評価結果は、原子力委員会の定める「発電用軽水型原子炉施設の線量目標値に関する指針」に示される線量目標値を下まわっている。


 Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和51年3月15日第146回審査会において審査を開始し、同年4月23日第147回審査会及び同年5月17日第148回審査会において審査を行い、本報告書を決定した。



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