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九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申)


51原委第283号
昭和51年3月23日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和51年2月10日付け51安第271号(昭和51年3月12日付け51安第1788号で一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号及び第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。

(別添)

昭和51年3月15日
原子力委員会
 委員長 佐々木義武 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄

九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和51年2月10日付け51原委第169号(昭和51年3月12日付け51原委第269号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。

 Ⅰ 審査結果

 九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「玄海原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(昭和51年1月29日付け申請、昭和51年3月10日付け一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。

 Ⅱ 変更内容

  1. 濃縮度の変更

 第5領域以降の取替燃料(以下、取替燃料という。)のウラン235濃縮度(以下、濃縮度という。)を、約3.1wt%とする。(従来は約3.4wt%)

 ただし、第4領域取替燃料の濃縮度は、従来どおり約3.4wt%とする。

  2. 核的制限値等の変更

(1) 平衡炉心における最大過剰増倍率を、0.24ΔK以下とする。(従来は0.19ΔK以下)
(2) 平衡炉心初期における出力運転時の1次冷却材中のほう素濃度を、約1,400ppmとする。(従来は約1,100ppm)
(3) 平衡炉心における反応度制御能力を、0.25ΔK以上とする。(従来は0.20ΔK以上)

 Ⅲ 審査内容

  1. 取替燃料の検討

 取替燃料の濃縮度の変更は、第5領域以降の燃料取替を、約275FPD(換算全出力日)ごととすることに伴うものである。(従来は300FPDごと)

 この取替燃料も、従来の燃料設計方針に従い設計されるものであり、燃料の健全性に問題はないと判断する。

  2. 核的制限値等の検討

 核的制限値等の変更は、制限値をキセノンを考慮しない炉心で評価することに伴うものである。(従来は、キセノン平衡炉心)

 従って、制御棒クラスタが有している制御能力(約0.05ΔK)に変更はなく、最大価値を有する制御棒クラスタ1体が未挿入の状態であっても、常に炉心を未臨界にでき、かつ、その状態で反応度停止余裕は、0.01ΔK以上確保されることに変更はない。

  3. 炉心安全性の評価

 取替燃料の濃縮度等の変更に伴い、平衡炉心に到るまでの各炉心の安全性に影響する炉心特性を検討した。

 その結果、ピーキング係数は、従来安全性の評価に用いていた値を下まわることを確認した。

 また、減速材温度係数及びドップラ係数が、従来安全性の評価に用いていた値よりも負側に移行することが、詳細設計の結果判明したので、その影響を受ける想定過渡現象として1次冷材温度の低下をまねく事象(1次冷却系停止回路誤起動、蒸気発生器への過剰給水及び蒸気流量過大)、想定事故として蒸気管破断事故について、検討を行った。

 その結果、いずれの場合においても最小DNB比は1.30を上まわり、1次冷却材圧力は、最高使用圧力の1.1倍より低く、問題のないことを確認した。

 Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和51年2月16日第145回審査会及び昭和51年3月15日第146回審査会において審査を行い、本報告書を決定した。


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