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東京大学工学部附属原子力工学研究施設の原子炉 |
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49原委第127号 昭和50年4月1日 |
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内閣総理大臣 殿 |
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原子力委員会委員長 |
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束京大学工学部附属原子力工学研究施設の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申) |
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昭和49年11月18日付け49原第10638号(昭和50年3月22日付け50原第2259号で一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。 |
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記 |
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① 標記に係る承認の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる承認の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。 ② 上記承認の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。 |
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(別添) |
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昭和50年3月24日 | |||||||||
原子力委員会 | |||||||||
委員長 佐々木義武 殿 | |||||||||
原子炉安全専門審査会 |
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会長 内田 秀雄 | |||||||||
東京大学工学部附属原子力工学研究施設の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について |
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当審査会は、昭和49年11月19日付け49原委第354号(昭和50年3月22日付け50原委第122号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。 |
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Ⅰ 審査結果 東京大学工学部附属原子力工学研究施設の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に関し、同大学が提出した「東京大学原子炉設置変更承認申請書」(昭和49年11月13日付け申請、昭和50年3月18日付け一部補正)にもとずき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。 |
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Ⅲ 審査内容 1. 原子炉運転位置の追加 1.1 C+ぉよびC-運転位置 C+およびC-運転位置は、共に中速中性子柱内でそれぞれC運転位置の前後約1mである。 炉心集合体をこれらの運転位置に設定する場合は、他の運転位置と同様、クサビおよび炉心集合体に設けてあるクサビ受けを用いて行われ運転位置が設定されないかぎり、炉は運転できない機構となっている。 C+およびC-運転位置における上下方向の遮蔽はC運転位置と同様であるが、横方向の遮蔽はC運転位置に比べて薄くなっている。 これらを考慮し定常運転時最高熱出力は、100Wに制限されている。 また、非定常運転および反応度パルス運転を行う場合の積算出力は、定常運転時最高熱出力に準じて制限をすることになっている。 以上の条件をもとに、原子炉室壁および屋根の遮蔽性能を評価した結果、管理区域である原子炉室外における被ばく線量が1週間につき30mremの規制値を超えるおそれはない。 1.2 D運転位置 D運転位置は、炉心集合体移動用通路の最先端である。炉心集合体をこの運転位置に設定する場合は、他の運転位置と同様にクサビおよび炉心集合体に設けてあるクサビ受けを用いて行なわれ、運転位置が設定されないかぎり、炉は運転できない機構となっている。 D運転位置においては炉心集合体は裸の状態であるため、定常運転時最高熱出力は、10Wに制限されている。 また、非定常運転を行う場合の積算出力は、定常運転時最高熱出力に準じて、制限することになっている。 以上の条件をもとに、原子炉室壁および屋根の遮蔽性能を評価した結果、管理区域である原子炉室以外における被ばく線量が、1週間につき30mremの規制値を超えるおそれはない。 1.3 出力制限インターロック C+、C-およびD運転位置に炉心集合体が置かれている場合、定常運転時における運転出力が各運転位置における定常運転時最高熱出力を超えることがないような出力制限インターロックが設けられることになっている。 2. 反応度パルス運転の追加 反応度パルス運転においては、1$以上の反応度が投入されるため、原子炉は一時的に即発臨界以上となるが、以下にのべるような観点から反応度パルス運転を行っても原子炉の健全性は維持されるものと判断した。 2.1 反応度パルス運転の方法 反応度パルス運転を行う場合、非定常運転を行うための装置としてすでに承認されているパイルオシレーター(以下「POS」という。)を2種類用い、反応度の投入を2段階に分けて行う。 (1) 第1反応度の投入 第1反応度の投入は、すでに承認されている非定常運転と同じ方法で.POS-1によるグレージング・ホールでの反応度投入、または、POS-3による側部ブランケットでの反応度投入により行われる。 このとき投入される反応度は、調整棒の有する等価反応度と同量(0.7%△k/k以下)に限定されているため、第1反応度のみで1$を超える量が、原子力に投入されることはない。 (2)第2反応度の投入 第2反応度の投入は、第1反応度が投入されている間に、POS-5により非常に短い投入時間をもつ第2反応度素子(以下、「反応度素子」という。)を、単発あるいは連続的にグローリホールに投入することにより行われる。 POS-5で用いる反応度素子は、十分な品質管理により製品の均一性を確認すると共に、あらかじめ反応度素子による反応度投入量が規定値内にあることを確認することになっている。 POS-5は反応度素子を炉心上方から投入し、炉心下方地下ピット内に置かれた反応度素子回収筒に収納させる一過性の反応度素子投入機構をもっている。反応度素子は、グローリホールを貫通している案内管内を通り炉心を通過する。案内管の内径は、POS-5の投入装置の内径よりわずかに大きく作られている。炉心を通過し反応度素子回収筒に回収された反応度素子が、再使用されることはない。 また、POS-5は、炉心に投入される反応度素子が正常に投入されないと、次の反応度素子の投入ができない機構になっているので、炉心に反応度素子が、2箇以上同時に投入されおそれはない。 以上の事から、反応度パルス運転時に0.9%△k/k以上の反応度が、投入されるおそれはない。 2.2 反応度パルス運転の追加による燃料の健全性への影響 反応度パルス運転を行なう場合も、積算出力制限値(0.6MW・S/サイクル)および熱的制限値(燃料最高温度:400℃、被覆材表面最高温度:350℃)に変更はない。また、燃料温度が、350℃を超える運転の回数制限値(1,000回)にも変更はない。 しかしながら、今回反応度パルス運転が追加され、今後は燃料および被覆に加えられる繰返し熱応力回数の増加が予想されること等にかんがみ、燃料体の円周方向平均歪が、1%以下であることを確認することとしている。 3. 実験物反応度の最大値の増加 本原子炉は、小型高速炉のため、炉心に挿入される実験物の反応度は、一般に正となる。 本変更により炉心の有し得る過剰反応度は、0.2%△k/k増加することになるが、原子炉停止系の有する反応度抑制効果は十分あり、ワン・ロッドスタック・マージンも確保され得るので問題はない。 4. 事故解析 最大想定事故として、反応度パルス運転中に0.9%△k/kの正の反応度が投入された状態で固着した場合を想定した。解析の結果は次のとおりである。 反応度の印加によって生じた出力は、燃料の温度上昇に伴なう反応度フィードバック効果があるので、事故発生後約500/μsには最大値に達するが、急激に低下し、その後徐々に減衰する。この出力により発生するエネルギーは出力ピーク終了迄に約1.1MW・S、事故発生後100秒迄で、約5.4MW・Sである。また、燃料最高温度は、事故発生後約43秒で最大値約936℃に達した後、徐々に低下する。 解析に用いた100秒という値は、本原子炉に設けられている手動および自動の各種スクラム機構のどれか1つでも作動すれば、炉は停止することからみて、事故評価上十分な安全余裕をもつ値であると考えられる。 この結果、燃料の相変化が生じ、燃料被覆は破損する恐れはあるが、燃料の溶融にはいたらない。 5. 災害評価 従来の安全評価においては、2kWで10年間運転したのち、燃料中に蓄積された希ガスおよびハロゲンの100%が環境に放出されるものとして評価を行っている。 本変更にともなう安全評価においては、2kWで10年間運転した時点において、「事故解析」の項でのべたような事象が加わったのちに、燃料中に蓄積された希ガスおよびハロゲンの100%が環境に放出されたものとして、従来と同じ条件で被ばく評価を行った。 評価の結果、周辺監視区域境界外で被ばく線量が最大となるのは、排気筒南方約70mの敷地境界上であって、その地点における全身被ばく線量は1.2×10-5rem、甲状腺被ばく線量は、4.3×10-3rem(成人)であって、問題となるような値ではない。 |
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Ⅳ 審査経過 本審査会は、昭和49年11月20日第131回審査会において、次の委員よりなる第114部会を設置した。 審査委員 弘田 実弥(部会長) 日本原子力研究所 浜田 達二 理化学研究所 調査委員 石川 迪夫 日本原子力研究所 当部会は、昭和49年12月6日第1回会合を開催して以来審査を行なってきたが、昭和50年3月17日の部会において、部会報告書を決定し、昭和50年3月24日の第135回審査会において本報告書を決定した。 |
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