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放射線障害防止法関係の最近の事故等のその後の経過・措置について |
〔I〕日本非破壊検査(株)年少者被曝等事件 1 事案の概要 (1)同社水島出張所関係(49.5.13判明) ロ 昭和44年7~8月頃、γ線照射装置用192Ir線源ホルダーを紛失し(関係行政官庁に届出をしなかった。)、その後これを発見し、ひそかに社員寮近くの聖地の土中に埋めた。(49年6月6日岡山県警が掘り出し確認した。) 2 その後の経過、措置 (1)本年5日13日~14日、本社、座間支店、千葉出張所、水島出張所及び広島出張所にそれぞれ立入検査を実施した。 (2)本年5日15日、岡山県衛生部において、水島出張所と同一敷地内にある他事業所(5業者) (3)本年6月11~12日より九州石油(株)において、従業員137名に対し健康診断を行なったが、全員異常がなかった。 (4)本年6月10日、日本非破壊検査(株)から放射性同位元素の使用につき廃止届を提出させたので、同社は、その後、放射性同位元素の使用は法律上できなくなり、γ線による非破壊検査は実施していない。 (5)放射線障害防止法等違反(刑事)については、岡山、大分等関係県警から関係地検に日本非破壊検査(株)及び同社社長ほか関係者が書類送検された(岡山地検では本年6月29日関係者を起訴した)。 〔Ⅱ〕日本工業検査(株)年少者被曝事件 1 事案の概要 昭和46年8月3日、同社の下請の国際非破壊検査(株)の従業員(年少者)が、日立造船(株)桜島工場においてγ線照射装置を運搬中、落ちた192Irの線源ホルダーを素手で扱い、左手に被曝した。 2 その後の経過、措置 (1)本年5月14日同社に、同月31日日立造船(株)桜島工場にそれぞれ立入検査を実施した。 (2)上記の立入検査結果等に基づいて、安全管理体制を更に強化させ、放射線取扱主任者を選任替えさせるとともに(事件判明後、行政指導により約2月間、同社では新期の非破壊検査業務を停止して内部管理体制の強化に努めた。同社から7月5日改善報告書提出)、7月25日、同社に対し、原子力局長名文書により厳重注意を行なった。 (3)放射線障害防止法等違反(刑事)については、本年6月19日大阪府警から関係者が書類送検され、8月23日大阪地検において不起訴となった。 (4)なお、本年7月2日被曝者が日本工業検査(株)を相手方として大阪地裁に損害賠償請求訴訟を提起し、現在この民事訴訟が係属中である。 〔Ⅲ〕東京大学教養学部助教授衣服汚染外出事件 1 事案の概要 本年6月21日、東京大学教養学部の助教授が茨城県大洗町の東北大学金属材料研究所附属材料試験炉利用施設に行った際、同施設における汚染チェックにより、同助教授の衣服が58Coにより汚染されていることが判明した。(これは、東京大学教養学部における実験中に汚染されたものであった。) 2 その後の経過、措置 (1)当該助教授を同夜放医研に収容、同所において健康診断等を行なった。(なお、その結果同助教授は身体的異状はなく、7月6日退院した。) (3)同大学では委員会を設けて調査検討を行い、その結果、同大学長から7月30日付で原因、措置等につき報告書が提出された。 (4)8月13日、同学部に立入検査を実施した。 (5)9月13日、同大学長に対し、原子力局長名文書をもって放射性同位元素等の取扱いについて厳重注意を行なった。 (6)文部省においては、9月7日全国の国公私立大学長に対し、放射線管理体制を整備するよう学術国際局長名文書で通知した。 〔Ⅳ〕東北大学理学部原子核理学研究施設被曝事件 1 事案の概要 本年6月24日、東北大学理学部原子核理学研究施設の直線加速装置の実験室で、実験準備中の研究者6名が、インターロックが雨水により故障していたことに気付かず局部的に4ないし0.1レムγ線に被曝した。 2 その後の経過、措置 (1)直ちに文部省に連絡し、必要な改善措置を要請するとともに、7月1日、10日、19日に同大学関係者を招致して事情を聴取した。 (2)文部省では、同大学に対し、原因の究明等を指示した。 (3)7月29日同大学長から原因、その後の健診結果(6名異状なし)、改善措置等につき報告書が提出された。 (4)8月22日同学部に立入検査を実施し、改善措置が行なわれていること等を確認した。 (5)9月19日同大学長に対し、原子力局長名文書をもって障害の防止、安全の確保に万全を期するよう通知した。 (6)文部省学術国際局長より全国の国公私立大学長あて文書(Ⅲ、2、(6)参照)。 〔Ⅴ〕放射線医学総合研究所サイクロトン被曝事件 1 事案の概要 本年6月3日、放射線医学総合研究所において、サイクロトロン実験中にビームシャッターのすき間から洩れた陽子線により職員1名が右手指に被曝した。(6月27日再現実験により判明) 2 その後の経過、措置 (1)6月28日原因の調査を指示し、また、6月29日長官名文書により、同所長に対し、安全管理の徹底にについて注意するとともに、安全性の確保について措置し、その結果を報告するよう指示した。 (2)7月1日立入検査を実施し、安全管理体制の改善等を指示した。 (3)7月3日、4日第三者を含めた再現調査により原因の調査究明が行われた。 (4)同所長から8月31日付及び9月20日付をもって、原因、改善措置等につき報告書の提出があった。 ・被曝事故の直接原因・・・・・・ビーシャッターの構造上の欠陥。 ・被曝者の経過・・・・・・治癒傾向、現在平常勤務。 ・改善措置・・・・・・ビームシャッターの改造と追加、インターロックシステム改造、エリアモニター設置、安全委員会の設置、各種マニュアルの作成整備等。 (5)10月22日同所長に対し、原子力局長名文書をもって安全対策の実施確保等につき指示した。 〔Ⅵ〕国立高崎輝院226Ra管紛失事件 1 事案の概要 国立高崎病院において、226Ra管20mCi1本、10mCi3本を本年6月17日から入院患者の体内に装着使用していたところ、同月19日午前同Ra管が紛失していることが判明した(患者がトイレに捨てた)。 2 その後の経過、措置 (1)厚生省と連絡のうえ、同病院に対し、関係機関と連絡して探索に努めるよう指示した。 (2)6月19日午前10時、20mCi、10mCiそれぞれ1本が発見された。 (3)6月24日及び7月に同病院事務長を招致し、探索状況等を聴取した。 (4)7月4日、厚生省医務局長に対し、原子力局長名文書をもって、医療機関におけるアイソトープの取扱いに関する監督指導の徹底を要請した。 (5)8月9日及び9月2日同病院長より探索状況等につき報告書の提出があった。 〔Ⅶ〕医療法人橋本会橋本病院60Co管紛失事件 1 事案の概要 熊本の橋本病院において、6月25日60Co20mCi2本、10mCi2本を患者に装着し、翌26日同Co管4本を除去し、保管庫に格納したが(本数につき確認なし)、7月2日そのうち60Co10mCi1本が行方不明となっていることを発見した。 (1)厚生省と連絡のうえ、同病院に対し、関係機関と連絡して探索に努めるよう指示した。 (2)7月4日厚生省医務局長に対し、原子力局長名文書で監督指導の徹底を要請(Ⅵ、2、(4)参照)。 (3)厚生省では、7月9日各都道府県知事に対し診療用放射線の安全管理の徹底について医務局長名文書で通知した。 (4)熊本県では、7月4日立入検査を実施し、7月10日橋本病院長に対し、管理体制等の確立について知事名文書で指示した。 (5)7月11日同病院長より探索状況等につき報告書の提出があった。また、同病院長より、7月31日付で熊本県知事あて管理体制の改善について報告書の提出があった。 〔Ⅷ〕非破壊検査(株)(関電美浜発電所建設事務所)192Ir盗難事件 1 事案の概要 本年8月8日、関西電力㈱美浜発電所建設事務所で非破壊検査(株)が1921r5.5Ciを非破壊検査に使用中、保管の場所から盗まれた。(8月10日行方不明が判明) 2 その後の経過、措置 (1)8月10日同社からの報告を受け、直ちに警察等に届け出て探索するよう指示するとともに、翌11日当庁福井連絡事務所から係官を派遣した。 (2)関係事業所では、多数の職員を動員し、発電所内外を探索した。 (3)8月12日非破壊検査㈱大阪本社に盗取した192Irをタネに恐喝する電話があり、同日夜恐喝者3人が大阪府警に逮捕され、その自供により線源は万博跡地から無事回収された。グループの残りの2人も同月29日に逮捕された。 (4)9月12日関西電力㈱美浜発電所から、9月13日非破壊検査㈱から、事件の経過及び盗難防止対策の強化等につき報告書の提出があった。 (5)上記5名については、大阪府警で書類送検し、大阪地検において、うち3名を起訴した。 |
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