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動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(重水臨界実験装置施設の変更)に係る安全性について


昭和49年9月24日
原子炉安全専門審査会

原子力委員会
 委員長 森山 欽司殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(重水臨界実験装置施設の変更)に係る安全性について

Ⅰ 審査結果

 動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(重水臨界実験装置施設の変更)に係る安全性に関し、同事業団が提出した「原子炉(臨界実験装置)設置変更許可申請書」(昭和49年4月15日付け申請)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

 プルトニウム富化度、ウラン濃縮度の異る燃料棒を配置した燃料集合体(以下「燃料棒混合型燃料集合体」という)を、二酸化ウラン燃料装荷炉心の中央部に最大9体装荷して追加使用する。

Ⅲ 審査内容

1 安全設計及び安全対策

 本設置変更に係る原子炉施設は、次のような安全設計及び安全対策が講じられることになっており、十分な安全性を有するものであると認める。

(1)炉心構成
 本変更により、燃料棒混合型燃料集合体を従来の二酸化ウラン燃料集合体と一諾に装荷するほかは、格子間隔、制御装置等既設の施設は変更しない。

(2)燃料
 燃料棒混合型燃料集合体はすでに使用中の1.2wt%及び1.5wt%二酸化ウラン燃料棒0.54wt%プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料棒(約92%Pufissile)0.87wt%プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料棒(約92%Pufissile)0.87wt%プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料棒(約75%Pufissile)中から2種類の燃料棒をクラスタ状にまとめて組立てるが、燃料集合体の形状寸法についての変更はない。
 なお、燃料の管理及び取扱いについては、従来どおり混用防止対策がとられることになっている。

(3)炉心特性
 燃料棒混合型燃料体のうち、プルトニウムを最も多量に含む集合体を二酸化ウラン燃料集合体炉心の中央部に最大9体装荷した場合の核特性を評価すると、現在使用中であり、最大25体装荷を許している0.87wt%プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料集合体9体を同様に装荷した場合に比べ、重水反応度付加率及び出力ピーキング係数の値は下回る。
 また、過剰反応度及び反応度抑制効果が従来の規制値をこえることはない。

2 平常時の被ばく評価

 年間積算出力は従来と変らないので、敷地外の一般公衆が受ける被ばく線量は変更後も変らず、許容被ばく線量より十分小さい。
 また、従事者についても十分な放射線管理を行なうことになっているので、許容被ばく線量をこえることはないと認められる。

3 事故評価

 本変更によっても、各種事故の評価に用いられる値が従来の値を上廻ることはないので、十分安全性を確保し得るものと認める。
 また、最大想定事故についても同様であるので、本変更によっても一般公衆に対する安全性が損なわれることはないと認められる。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和49年9月24日の第129回審査会において審査を行なった結果、本報告書を決定した。


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