核物質の計量・管理制度に関する
IAEAパネル開催について
国際原子力機関(IAEA)主催の核物質の計量・管理制度に関するパネルが11月5日から9日まで5日間、外務省の北中会議場において開催されたが、その概要は次のとおりである。
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記
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〔開催日時〕昭和48年11月5日(月)午前10時に開会され、11月9日(金)午後1時すぎ終了した。
〔参加者〕12か国34名、
オーストラリア3名、オーストリア1名、カナダ1名、チェコスロバキア1名、フランス2名、
西独2名、メキシコ1名、スェーデン2名、英国4名、米国6名、ソ連2名、日本9名
今井 隆吉 (日本原子力発電(株))
杉原 真一 (外務省)
岩本 晴允 (科学技術庁)
川島 芳郎 ((財)核物質管理センター)
栗原 昭平 (通商産業省)
田中 義具 (外務省)
中村 康治 (動力炉・核燃料開発事業団)
萩野谷 徹 (三菱金属鉱業㈱)
平田 実穂 (日本原子力研究所)
IAEA事務局12名
〔議事の概要〕
(1)本パネルはIAEA査察総監である R.Rome-tschが議長をつとめ、IAEA事務局が作成したワーキング・ペーパーを基にして議論が進められた。
(2)IAEAの事務局ワーキング・ペーパーは次の5章から成っている。
第1章 緒言
第2章 国の核物質計量・管理制度の特徴および要件
第3章 IAEA保障措置制度の特徴および要件
第4章 国の核物質計量・管理制度とIAEAの間の調整(Co-ordination)
第5章 法律的見地
(3)今回のパネルで主に議論のあったのは第2章および第4章であった。第2章における論点は国の核物質計量・管理の特徴で結論としては国の制度は次の二面性を持っていることであった。
(a)IAEAとの保障措置協定の結果として生ずる要素
(b)国としてさらにその他の目的を満足させる要素
(a)については特に問題はなかったが、(b)については国本来の要件としてたとえば安全性の問題を組み込むことも国によっては考慮することもあるので、さらに検討することとした。
(4)また第2章において、国による保証の程度を
Level I~Ⅲに区分することで合意した。
Level I:核物質の計量・管理に関する施設者の能力が適当であることの保証
Level Ⅱ:核物質の計量・管理に関する施設者の履行が適当であることの保証
Level Ⅲ:施設の核物質計量・管理が有効に行なわれていることを独自の検証による
保証
すなわち、LevelⅢとLevelI、Ⅱの違いは、国が独自の検証活動を行なうか否かによる。
(5)第3草はIAEA保障措置委員会で合意された保障措置モデル協定(IN-FCTRC-153)の範囲をこえる新しい概念が入っており、また今回のパネルの目的と異なることから各国の強い反対により、今回のパネルから削除された。
(6)第4章は今回のパネルの主目的であり、各種の議論があった。結論としては、上に述べたLevelⅢの保証を得る検証活動を実施すれば、IAEAの査察との間に調整(Co-ordination)が成り立つことが合意された。
(7)第5章の法律的見地も議論はあったが、法律問題の専門家が少ないこともあり、十分議論できなかったので、第5章はパネル・レポートに含まれるが、今後の検討を要することとなった。
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