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東京電力(株)福島第2原子力発電所原子炉の設置
に係る公聴会の開催について



1 開催の経緯
 去る9月18日(火)および19日(水)の両日、原子力委員会の主催で、福島市中町6番31号 福島県農業共済会館2階大ホールにおいて東京電力株式会社福島第2原子力発電所原子炉の設置に係る公聴会が開催された。

 この公聴会は、原子力委員会が昭和48年5月22日に決定した「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」および7月24日に決定した同「実施細則」に基づいて開催された最初の公聴会であった。

 この公聴会の対象となった東京電力株式会社福島第2原子力発電所原子炉は、昭和47年8月に設置許可申請がなされ、現在、原子炉安全専門審査会で審査中であるが、その概要は、別紙第1のとおりであり、福島県双葉郡楢葉町および富岡町内の太平洋岸に設置される予定で、現在の同社福島第1原子力発電所からは、約12km南方に位置し、第2原子力発電所としては第1号炉(沸騰水型軽水炉電気出力110万kW)の申請が出されているものである。

 この原子炉について公聴会を開催することが正式に決定されたのは、実施細則と同じく7月24日であったが、これは、原子力委員会が決めた公聴会開催の場合に関する内規の ① 原子炉の大型化 ② 新型原子炉 ③ 原子炉の集中化 ④ 地元都道府県知事の要請の4項目のうち、主として①および部分的に③に該当すると判断したためである。

 すなわち、今回対象となった原子炉は、110万kW(電気出力)級の沸騰水型軽水炉としては、わが国で第3基目のもので、しかも、通常、原子炉の設置に係る公聴会は、許可申請後3カ月以内に開催することを定めていること(実施細則第4項、なお、申請中の原子炉については、第23項で例外としうることとなっている。)の例外となるのであるが、公聴会制度発足時においては最初の110万kW級の原子炉であり、また、110万kW級の原子炉については内外ともまだ運転実績がないことも考慮し、公聴会制度発足の趣旨が地元住民の理解と協力を得ることにあったことに鑑み、原子力委員会として公聴会の開催に踏み切ったものである。

2 開催の準備
 今回の公聴会は、制度発足後最初のものであり、また、開催の方針決定後、開催までの期間が通例よりも短かいこともあり、開催準備について万全とは行かない点があったが、地元福島県当局は、主催者側の不備を補って余りある全面的協力を惜しまれず、公聴会の成功の原動力となられたことはまことに感謝にたえない次第である。

 さて、公聴会の開催期日およびその開催場所については、原子力委員会が地元福島県の意向を考慮して、冒頭のように決め、これを意見陳述希望の申出等とともに8月1日付け官報で公示した(別紙第1)。

 官報公示の結果、意見陳述希望の申込みが1,404人(うち、原子炉の設置に賛成とみられるもの1,344人、反対とみられるもの60人)あり、その中から原子力委員会として9月7日に42人の意見陳述者の指定および各陳述者の発言順位の決定を行なった。

 この意見陳述者の指定に際しては、地元住民の生の声をきくという公聴会の趣旨に照らし、地元利害関係者のうち、地元地方公共団体をはじめ地元各種団体の代表者など、各界各層の代表的な意見を重点的にきくこととし、他方これとともに個人的資格の意見陳述希望者については、地元の地域のバランスなどを配慮しつつ指定を行なったものである。

とくに、今回の意見陳述希望者については賛成意見のものが圧倒的に多かったが、異なった意見をできるだけ多くきくことを旨として反対意見とみられる陳述者を総数の3分の1以上指定することにしたものである。

 つぎに傍聴人については、今回の公聴会が制度発足後最初のものであるため、地元をはじめ全国的にきわめて関心が高く、傍聴希望者が多数に上ることが予想されたこともあって傍聴券の申込みを第1日目と第2日目とを別々に往復はがきで受け付け、希望者が多数になった場合には抽せんで傍聴人を決めることとした。

 その結果、両日で合計16,158通の申込みがあり、 うち有効申込総数15,985通について第1日、第2日の傍聴希望日ごとに傍聴席210席について県内居住者140人、県外居住者70人の傍聴人を9月6日に報道関係者の取材のもとに抽せんによって決定したものである。

 公聴会を主宰する議長および議長代理については、8月28日の原子力委員会において議長に井上五郎原子力委員長代理を、議長代理に山田太三郎原子力委員および田宮茂文原子力局長がそれぞれ選任された。

3 公聴会の状況

 公聴会当日の模様は、つぎのとおりであった。

  第1日 9月18日(火) (午前)9時30分 開会
  議長 山田原子力委員
(当初、議長に予定されていた井上原子力委員長代理と、議長代理の田宮原子力局長の2人は、当日早朝宿舎に国会議員を含む約50人の陳情団が突然面会を求めてきたため、その代表と会談し、また会談終了後も宿舎出発が阻止されて開会までに到着できなかったものである。)
  開会宣言
  議長挨拶
  注意事項説明
  設置申請者  東京電力株式会社取締役副社長 田中直治郎氏による陳述
 (9時40分~9時57分)
  意見陳述人による陳述(9時57分から開始)午前中 8人の意見陳述終了
  12時休憩
  (午後)13時 再開
  議長団  井上原子力委員長代理
 山田原子力委員
 田宮原子力局長
  意見陳述続行10人の意見陳述終了 (当初12人予定のところ2人欠席のため)
15時40分 終了
  当日の傍聴人 194人(ほかに傍聴国会議員11人等)
  概況  公聴会開会直後、傍聴していた国会議員の1人が議長代理1人のみで
 開会したことは不当である旨立ち上って演壇に近づき抗議し、事務局と
 押問答をしたが、公聴会はそのまま進行。
 その後は場内は静穏であった。一方、会場前では午前7時40分すぎ頃
 から公聴会開催阻止の集団示威行動が行なわれ午前11時頃まで会場前
 道路が500~600人の集団によって占拠された。

  第2日 (午前)9時30分 開会
  議長団  井上原子力委員長代理
 山田原子力委員
 田宮原子力局長
  再開挨拶
  注意事項説明
  意見陳述続行 10人の意見陳述終了
  12時 休憩
  (午後)13時再開
  意見陳述続行  12人の意見陳述終了(当初の陳述予定者のうち1人の欠席者
 があったが、前日病気のため欠席した者1人が陳述を申し出て
 きたため、これを許可したので,人数は当初と一致)
  閉会拶挨
  閉会宣言
  16時25分終了
  当日の傍聴人 187人(ほかに傍聴国会議員1人等)
  概況  会場内外とも静穏であった。ただ、場内でヤジが2~3回あり、うち1回は
 陳述人が議長に制止するよう要請し、陳述が瞬時中断したことがあったが、
 そのほかはとくに目立った動きはなかった。
 この公聴会で陳述された意見については、今後事項別にとりまとめた上、安全審査に係る事項については安全審査会に伝達するとともに、その他の事項のうち関係行政機関の所掌に属するものについてはその内容の検討等について協力を得るなどの措置を講ずることとしている。

 原子力委員会としては、以上のように安全審査会や関係行政機関に検討を依頼した事項および委員会自体で検討すべき事項を含めて、所要の検討を行なった後、最終的に委員会として検討結果説明書を作成することとしている。

 別紙第1

   福島第2原子力発電所の概要
 原子炉施設の設置場所 福島県双葉部楢葉町および富岡町
 発電所敷地面積  約130万m2
 発電所出力  110万kW
 原子炉型式
 濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却型(沸騰水型)
 原子炉熱出力  約330万kW
    圧力  約71kg/cm2g
    温度  約286℃
 

  別紙第2

   原子炉の設置に係る公聴会の開催


 原子炉の設置に係る公聴会開催要領(昭和48年5月22日原子力委員会決定)第9項の規定に基づき、公聴会の期日、場所ならびに件名および事案の要旨を次のように告示する。

 昭和48年8月1日

原子力委員会委員長 前田佳都男

 1 期日
 昭和48年9月18日および19日午前9時30分から午後4時30分まで

 2 場所
 福島市中町6番31号 福島県農業共済会館二階大ホール

 3 件名および事案の要旨
 東京電力株式会社福島第2原子力発電所原子炉の設置の許可について(詳細は、福島県庁(福島市杉妻町2番16号)、富岡町役場(福島県双葉部富岡町大字大岡字門口95番地の6)および楢葉町役場(福島県双葉郡楢葉町大字北田字下山根11番地)において縦覧に供する。)

 4 備考
(1)公聴会に出席して意見を述べようと希望する者は、住所、氏名、利害関係の内容および意見の要旨を記載した原子力委員会委員長あての届出書を作成し、昭和48年8月25日までに科学技術庁原子力局政策課(東京都千代田区霞が関2丁目2番1号)に到達するよう提出すること。

 公聴会に出席して意見を述べることができる者は、上記提出者の中から原子力委員会が指名する。

(2)意見を述べることのできる時間は、15分以内とする。ただし、15分以内で意見を述べ終らない者で希望する者は、終了しなかった部分について文書により意見を原子力委員会(束京都千代田区霞が関2丁目2番1号)に対し提出することができる。

(3)傍聴人については、会場の都合により入場制限をすることがある。
 別紙第3

   意見陳述人(当日の陳述順位による。)

                (第1日)
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