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原子力委員会(第32回~第37回)



第 32 回

〔日 時〕昭和48年7月31日(火)14:00~14:30

〔議 題〕原子力船「むつ」の臨界試験について

〔報告事項〕
  原子力船「むつ」の臨界試験について事務局から、原子力船「むつ」の臨界試験開始に対する地元青森県知事、青森県漁連、八戸市長、八戸漁協等関係者の意向ならびに今までの交渉経過について報告があり、今後の対策を検討した。

第 33 回

〔日 時〕昭和48年8月14日(火)14:00~18:25

〔議 題〕昭和49年度原子力関係予算について

〔審議事項〕昭和49年度原子力関係予算について
 事務局から、「昭和49年度原子力関係予算要求調整総表(案)」、「昭和49年度原子力関係予算重要事項別概算要求表(案)」、「原子力予算における安全研究関係費」に基づき説明があり審議を行なった。

 本審議の過程において、重要事項として検討された主な項目とその内容は以下のとおりである。

 1 安全研究関係
① 原子力施設の安全研究
 軽水炉関係の安全研究費を充実させる必要がある。

 また、環境・安全専門部会安全研究分科会報告書で述べている

 「安全研究推進会議」は本年度中に設置を実現すべきである。

 さらに、安全研究に必要な人員の確保を強力に進める必要がある。

② 放射性固体廃棄物の処理処分
 放射性廃棄物処理処分センターの来年度設置を実現すべきである。

③ 放射性気体および液体廃棄物の放出低減化
 この種の安全研究は、積極的に推進する必要がある。

④ 低レベル放射線の影響研究
 環境・安全専門部会低線量分科会報告書に従い十分考慮する必要がある。

 また、文部省、厚生省等関係各省に協力を依頼することにする。
 2 ウラン濃縮
 ウラン濃縮に関する研究計画の詳細を再度動燃側から聴取することとする。

 3 普及・啓発
 この経費は充実する必要がある。

 その結果、ウラン濃縮については再度審議することとし、その他については上記原案どおりとすることを了承し、昭和49年度原子力関係予算を内定した。

第 34 回

〔日 時〕昭和48年8月21日(火)14:00~14:45

〔議 題〕
 1 昭和49年度原子力関係予算のうちウラン濃縮について
 2 福島公聴会について

〔審議事項〕
 1 昭和49年度原子力関係予算のうちウラン濃縮について
 前回定例会議において再度審議を行なうことにきめたウラン濃縮開発費について、事務局から、「ウラン濃縮開発費昭和49年度予算要求案」に基づき説明があり、審議を行なった。

 その結果、原案どおり内定した。

 また、その際、動・燃内にプロジェクト・コミッティを作り、ウラン濃縮の全体計画を専門家により十分検討するよう意見が出された。

 2 福島公聴会について
 事務局から、意見陳述希望者の応募状況、地元の模様等について報告があった後、公聴会を主宰する原子力委員等を選考した。

 その結果、主宰する原子力委員に井上委員長代理、補佐する原子力委員に山田委員、同原子力局職員に田宮局長を指名した。

第 35 回(臨時)

〔日 時〕昭和48年8月24日(金)11‥00~12:30

〔議 題〕昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算について

〔審議事項〕
 昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算について
 事務局から、「昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算要求額総表(案)」に基づき説明があり審議を行なった。

 その際の主な討論の内容は以下のとおりである。
① 医療関係の放射線に対する監督の充実が望まれているので、これらの実体を十分に把握し必要に応じ予算面に反影させる必要があるとの意見があり調査することにした。

② 原子力施設のモニタリングを国がやる場合、責任の所在はどこか、かつどのような方針で行なうかということを更につめる必要があるとの意見があり検討することにした。

③ 海外のウラン濃縮問題の調査に関して通産省の方針を更に聴取し、科学技術庁との分野を調整する必要があるとの意見があり、調整を続けることにした。

 その結果、上記の問題を含めた調整中の項目については次回再度審議することとし、他については原案どおり内定した。

第 36 回

〔日 時〕昭和48年8日28日(火)14:00~16:40

〔議 題〕
 1 昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算について
 2 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(高速炉臨界実験装置施設の変更)について
 3 アメリカ原子力委員会の原子力発電所出力制限について

〔審議事項〕
 1 昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算について
 前回臨時会議において指摘した事項および調整中であった事項について事務局から説明があった。その主な内容は以下のとおりである。

(1)医療被ばくの問題に対する対策は、厚生省が医療政策の一環で別途予算措置を講 じている。

(2)原子炉施設のモニタリングについては、環境・安全専門部会の環境放射能分科会で国としての方策を検討中なので通産省からの要求はみおくった。

(3)海外のウラン濃縮事業の調査では、科学技術庁が濃縮事業そのものの調査をするのに対し、通産省は、エネルギー政策全般の面からその周辺を調査することにした。

(4)廃棄物処理についての調査は、科学技術庁が一元的にやるので、通産省からの要求は見送った。

(5)海外の原子力事情調査で環境・安全問題については両省庁で行なうことにした。

 また、審議を行なった際出された主な意見は以下のとおりである。
① 医療被ばくの問題については、原子力委員会として関心をもっているので、厚生省に十分意向を伝えること。

 また、各省庁と原子力委員会の連絡を密にすることが望まれる。

② 海外のウラン濃縮事業の調査については、科学技術庁要求分との調整の結果、本件の重要性に鑑み認めることとする。

③ 廃棄物処理については科学技術庁で一元的に行なうという方針で望みたい。
 審議の結果、原案どおり本予算を内定した。

 2 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(高速炉臨界実験装置施設の変更)について事務局から、「日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(高速炉臨界実験装置施設の変更)について(諮問)」、「同設置変更に係る安全性について」および「同設置変更の概要」に基づき説明があった。

 本変更は、高速増殖炉原型炉「もんじゆ」の炉心の模擬実験を可能とするため、高速炉臨界実験装置(FCA)の格子管集合体を35行×35列から51行×51列に拡張するものである。

 審議では、変更後の安全性の問題および本実験とMOZARTで計画との関連について検討が行なわれた後、原子炉安全専門審査会会長あて安全性の審査を行なうよう指示することを決定した。

 3 アメリカ原子力委員会の原子力発電所出力制限について事務局から、アメリカ原子力委員会がBWR型炉10基について燃料の稠密化の観点から出力制限をするに至った経過の説明があった後、わが国において当面とるべき措置について検討した。

 その結果、上記原子炉と同型炉である敦賀炉と福島1号炉については、現在の運転の状況から、調査結果を待って必要に応じ措置を講ずることにした。

 また、この件に関し「燃料ペレットの稠密化問題に関する措置について(案)」「燃料ペットの稠密化について」のとおり、
①専門家を米国に派遣し本件について調査させる、

②燃料ペレットの稠密化について原子炉安全専門審査会で調査するよう指示する、

③アメリカ原子力委員会に対し、両国の原子力委員会が原子力発電所の建設あるいは運転に影響を与えるような何らかの措置を講ずる場合は、かかる措置について事前に十分な情報交換を行ないうるよう緊密な連絡体制を確立する
よう申し入れることとした。

第 37 回(臨時)

〔日 時〕昭和48年8月31日(金)14:00~15:30

〔議 題〕
  昭和49年度原子力関係予算見積方針について

〔審議事項〕
  昭和49年度原子力関係予算見積方針について
  事務局から、「昭和49年度原子力関係見積方針について(案)」に基づき説明があり審議を行なった。

 審議では、主として「核燃料対策調査」、「原子炉の安全審査、安全研究に関する原研の人員」、「障害防止法施行業務の地方移譲」および「原子力発電所の保安監督の責任の所在」等について質疑討論を行なった結果、原案どおり見積方針を決定した。

 また、先に内定した昭和49年度原子力関係予算要求および昭和49年度原子力関係Ⅱ項予算要求を「昭和49年度原子力予算概算要求捻表」のとおり決定し、これと上記見積方針をあわせ内閣総理大臣へ報告することを決定した。
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