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中国核実験による放射能測定結果



第15回中国核実験にともなう放射能調査について

 放射能対策本部は、昭和48年6月28日中国の核実験に関するインドの情報「インドのバーバ原子力研究所は9時25分(日本時間27日午後0時55分)にマイクロパアログラフにより核爆発を探知した。」および気象庁(米子、輪島、東京、秋田、稚内、釧路)において、6月27日16時32分から17時27分の間にごく微弱な異常微気圧振動を観測したことに基づき、第86回放射能対策本部幹事会を開催し、6月28日以降核実験時における放射能調査体制をとり、7月17日平常時の調査体制に復帰したが、その期間における放射能調査結果では、6月80日北部上空で採取した高空浮遊じん中に313ピコキュリー/立方メートルの放射能を検出し、その後、雨水、ちり、地表浮遊じんおよび空間線量に影響が見られたが、7月9日にはそれぞれ平常値に近くなった。

 また、牛乳中の放射性ヨウ素については、7月4日に千葉、宮城県等で始めて検出され、最高220ピコキュリー/リットルに達したこともあったが、7月16日までに検出限界以下(50ピコキュリー/リットル)になった。

 今回の核実験の影響による放射能水準は、放射能対策本部が定めている暫定指標よりかなり低いものであった。

 なお、調査結果の詳細は次のとおりである。

(1)高空浮遊じんの放射能調査(防衛庁)

集じん飛行経路図

 (2)モニタリングポスト(気象庁、都道府県)

 気象庁2ケ所(旭川、輪島)16道府県(北海道、青森、秋田、宮城、福島、茨城、静岡、新潟、福井、鳥取、島根、大阪、高知、福岡、佐賀、鹿児島)に設置しているモニタリングポストは、7月1日から2日にかけて、旭川、福井、鳥取の観測では平常値に比べやや高い値を示したが、その他については平常の値と同様であった。

 (3)地表浮遊じんの放射能調査
  イ 気象庁

  ロ 放射線医学総合研究所


 放射線医学総合研究所においては、地表浮遊じんの連続測定を、6月28日以降7月10日まで実施した結果は次のとおりである。

 この調査結果からして、自然放射能の寄与を多少上まわっていたが、定量するまでには及ばなかった。

 なお、同じ地点における空間線量率は次のとおりで雨水、落下じんについて6月28日より7月9日まで毎日24時間毎に水盤法により採取、測定した結果は表のとおりである

空間線量率

 (4)雨水・落下じんの放射能検査
   イ 気象庁

 ロ 放射線医学研究所

 雨水、落下じんについて6月28日より7月9日まで毎日24時間毎に水盤法により採取、測定した結果は表の通りである。

 ハ 都道府県衛生研究所の調査結果

   (5)核種分析
イ 高空浮遊じん
 高い放射能が検出された高空浮遊じんについては、防衛庁技術研究本部において核種分析を行なった。 その結果、今回の核実験によると推定される。
ロ 牛乳中の放射性ヨウ素
 放射線医学総合研究所、農林省各試験場〔九州農業試験場(熊本)、畜産試験場(千葉)、北海道農業試験場(札幌)、12道県衛生研究所において毎日牛乳中の放射性ヨウ素を測定した結果は次のとおりである。

 
 (参考)

 過去の中国核実験後に測定した牛乳中の放射性ヨウ素の最高値(主なものは)次のとおりである。


 なお放射能対策本部が定めている緊急自体対策の牛乳中の放射性ヨウ素-の濃度は6,000ピコキュリー/リットルであり、実施する対策は、乳幼児の生牛乳の飲用中止指示、葉菜類の十分な洗浄の指示等がある。
(6) 強放射性粒子の確認


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