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海洋投棄規制条約について


昭和48年7月3日
原 子 力 局

〔経 緯〕

 海洋投棄規制条約は、ストックホルム会議(第1回国連人間環境会議)の準備作業の一環として、1971年6月の第1回海洋汚染作業部会(ロンドン)、1971年11月の第2回作業部会(オタワ)、1972年4月のレイ キャビック会議、1972年5月のロンドン会議を経て、条約作成作業が進められていたもので、ストックホルム会議までに作業を完了し、同会議で署名のために開放されるはずであったが、準備作業が十分でなかったため、1972年6月のストックホルム会議後の1972年10月末から11月にかけてロンドンで開かれた海洋投棄規制条約の作成会議で、全文22カ条、附属Ⅰ、Ⅰ、Ⅲからなる「廃棄物およびその他の物質の投棄による海洋汚染防止に関する条約」
(Convention on the Pr-evention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other  Matter)が採択された。

〔条約署名・批准について〕


 本条約は署名のため、1972年12月29日から1973年12月31日まで開放されており、本年1月現在で署名国は、英、ソ、米、メキシコを含む36カ国となっている。

 わが国の署名については、6月22日(金)の閣議において了承され、同日署名を完了した。
 本条約は、15カ国が批准した段階で効力を生ずることとなっている。

〔条約の内容〕

 本条約は、特定の有書物質の海洋投棄を全面禁止または規制することによって、海洋汚染の悪化を防止しようとするもので、有機ハロゲン化合物、水銀およびカドミウムおよびカドミウム化合物、耐水性プラスチック、高レベル放射性廃棄物など、特に有害な物質は全面的に投棄を禁止する品目として同条約に記載されている。

〔放射性廃棄物等の海洋投棄〕

(1)規定の概要
(イ) IAEAにより海洋投棄が不適当と定義される高レベル放射性廃棄物又は高レベル放射性物質の海洋投棄は、禁止される。

(ロ)上記(イ)で禁止される以外の放射性廃棄物もしくはその他の放射性物質の海洋投棄は事前の特別許可を必要とする。

(ハ)上記(ロ)の許可を発出し、記録を保存し、海洋の状態を監視するため、締約国は適当な当局を指定する。
(2)IAEAにおける作業
 本条約に基づいて
(イ)海洋投棄が禁止される高レベル放射性廃棄物を定義すること

(ロ)投棄のための特別許可発出に関する条件および手続についての勧告を作成すること
等がIAEAの任務となっている。
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