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1 従来、わが国の原子力平和利用に必要な情報、資材、設備等は、日米、日英、日加の三原子力協定に基づき入手していたが、原子力の実用化の進展に伴い、原子力の国際協力関係を多角化していくことが必要となってきている。
とりわけ、今後の原子力エネルギー需要の飛躍的増大に伴い、当面および将来の核燃料資源の安定的、経済的確保を図ることが急務となっているが、これに対処するため、新たにウラン資源国たる豪州および核物質保有国たるフランスとの間に、両国からの希望もあり、保障措置規定を含む原子力協定を締結して、核燃料供給源の多角化を早急に図る必要がある。 |
2 この様な観点から、政府は、両国政府との間で、それぞれ原子力の平和的利用に関する協力のための協定について、一昨年以来協定締結のための交渉を続けてきたが、合意に達したので、日豪協定は、2月21日にキャンベラで協定の調印が行なわれ、また、日仏協定は、2月26日東京で協定の調印が行なわれた。
両協定の締結により、日豪および日仏両国が相互協力の基礎の上に立って核物質の供給、受領等の協力を行なうことが可能となるので、わが国の原子力平和利用の開発促進に大きく貢献するものと考えられる。両協定は、今通常国会に承認をもとめるため提出している。 |
3 合意されている両協定案の主なる内容は、次のとおりである。 |
(1)協力の範囲および方法 |
両国政府は、両国における原子力の平和的利用を促進しおよび開発するため、次の方法で協力すること。 |
① 専門家の交換による協力を助長すること。 |
② 公開の情報の交換を容易にすること。 |
③ 資材(核物質等)、設備、施設等および役務の供給、受領を可能とすること。 |
④ その他の方法によって協力すること。 |
(2)平和利用の保証等 |
① この協定に基づき受領された資材、設備、施設等が平和的目的のみに使用されることおよび受領国の管轄内では「認められた者」のみに移転されること。 |
② 受領された核物質等がその移転先において国際原子力機関(IAEA)の保障措置の下に置かれるか又は供給国政府の事前の同意がなければ、自己の管轄外に移転されないこと。 |
(3)保障措置 |
① 両国政府は、国際原子力機関との間で三者間の保障措置協定を締結すること。 |
② NPT保障措置協定が締結された場合には、(ただし、日仏協定の場合には、加えて 「これと同様の協定で他方の政府が受け入れることができるものをIAEAとの間に締結する場合であっても」)その締約国に関する限り、上記三者間協定の適用は停止すること。 |
(4)有効期間 |
日豪協定は25年間、日仏協定は10年効力を有し、以後終了通告が行なわれない限り自動延長されること。(日豪・日仏原子協定は、これを全文を資料に掲げる。)
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