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内閣総理大臣 殿 原子力委員会委員長 東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の設置変更 昭和46年8月6日付け46原第5755号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。 記 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に、適合しているものと認める。 なお、本設置変更に係る安全性に関する原子炉安全専門審査会の報告は別添のとおりである。 東京電力(株)福島原子力発電所の原子炉の設置変更 昭和46年8月17日 原子力委員会 原子炉安全専門審査会 東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の設置変更 当審査会は、昭和46年8月12日付け46原委第302号をもって審査の結果を求められた標記の件について結論を得たので報告します。 Ⅰ 審査結果 東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の設置変更(3号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「福島原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(3号原子炉施設の変更)」(昭和46年8月6日付け申請)に基づいて審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうるものと認める。 Ⅱ 変更事項 本変更は、福島原子力発電所の3号炉の施設を変更しようとするもので、変更事項は、次のとおりである。 従来、気体廃棄物の廃棄施設として設置される予定のガス減衰タンクのかわりに活性炭ホールドアップ装置を設け、気体廃棄物の放射能の減衰を同装置で行なおうとするものである。 活性炭ホールドアップ装置は、除湿装置、フィルター、活性炭吸着塔等により成っている。 ガス減衰タンクに比べはるかに大きな減衰能力を有している。 Ⅲ 審査内容 活性炭ホールドアップ装置は、活性炭による希ガスの可逆的吸着現象を利用するものであり、活性炭が希ガスの吸着離脱を繰り返すことにより、希ガスの同装置内の通過時間が遅くなり、気体廃棄物の放射能が減衰するものである。 本装置について、国内の実験成果および外国のデータを参考に検討した結果諸条件の設定は妥当であり、その能力は従来のガス減衰タンクによる方式に比べはるかに優れた性能を有するものと認められる。また、本装置の据付によって原子炉の安全性が損われることはない。 1 気体廃棄物の廃棄施設 気体廃棄物の主要部分を占める主復水器空気抽出器からの排ガスは、排ガス中の水素、酸素を再結合させたのち、減衰管、活性炭ホールドアップ装置で放射能を減衰させ排気筒から大気中に放出する。また、タービン衛帯蒸気復水器排出器からの排ガスは減衰管を通し、排気筒から放出する。 定常運転時には、装置の前後に設けられる放射能検出器によりその性能が維持されていることが確認される。 2 気体廃棄物の放出管理 気体廃棄物の放出に当っては放射能レベルは連続的に測定される。 気体廃棄物の最高放出率は、1日平均7.3mCi/secに抑えられ、装置に不具合が生じた場合は、1ケ月に限り18.3mCi/sec以下に抑えることになっている。 3 平常運転時の被ばく評価 気体廃棄物の放出率は、前述の様に年間を通じて11ケ月は最高7.3mCi/sec(γ線エネルギー0.19MeV相当)、1ケ月に限り最高18.3mCi/sec(γ線エネルギー0.27MeV相当)に抑え、これをこえるような運転は行なわないことになっている。なお、1、2号炉の気体廃棄物最高放出率は、1日平均で1号炉50mCi/sec、2号炉80mCi/secに抑えられる。(それぞれγ線エネルギー0.17MeV相当)かりに、1、2、3号炉ともそれぞれ最高値で連続放出するとして気象データを考慮し、年間の積算線量を計算すると、周辺監視区域外の最大値は、約70mremで許容値(500mrem/年)を十分下廻っている。 実際の運転時にはこれよりもはるかに下廻るように保安管理される。また、敷地内外において、所要の放射線監視が行なわれているので、許容値をこえるおそれはない。 Ⅳ 審査経過 本審査会は昭和46年8月17日の第94回審査会において審査の結果、本報告書を決定した。 |
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