前頁 |目次 |次頁

昭和46年度原子力平和利用研究委託費の
交付決定について



 昭和46年度原子力平和利用研究託費については、さる3月1日試験研究題目および申請書の提出期間について官報に告示し、3月22日申請を締切った。その後、書類審査、申請内容聴取、関係機関との意見交換、日本学術会議の推せんによる学識経験者の意見聴取、現地調査を行ない、5月31日付けで次のとおり交付決定を行なった。

昭和46年度原子力平和利用研究委託費総括表





昭和46年度原子力平和利用研究委託費交付一覧





昭和46年度原子力平和利用研究委託費交付概要


1 原子炉配管系の構造設計基準に関する試験研究

(社)日本溶接協会


(研究目的)

 原子力発電所用の機器配管等に関する規格として、米国では1963年制定のASMEボイラおよび圧力容器規格SecⅢ“原子炉圧力容器の構造規格”に続き1969年にUSAS B 31.7“原子炉配管構造設計規格”が制定されている。
 我が国でも、原子力容器についてはSecⅢの方式が技術基準として採用されたが、原子力配管については現在は古い方式になっていて、まだ、B 31.7の方式になっていない。
 このため本試験研究は新らしい方式による応力計算式にもとづいて、各種配管要素の内圧荷重、モーメント荷重に対するピーク応力指数等を実験的に明らかにするとともに、溶接欠陥が疲労応力指数の低下に及ぼす影響を明らかにし、原子炉配管系の合理的な構造設計基準の確立に資することを目的とする。

(研究内容)

(1)原子炉配管系要素のピーク応力指数ならびに疲労曲線に関する研究
 
(i)分岐管
 SUS 27製T継手を試験部とする試験体を用いて、内圧荷重、面外曲げ、面内曲げおよび軸荷重に関する疲労試験を行ない、分岐管の各荷重様式における疲労強度を求める。

(ii)湾曲管
 SUS 27製湾曲管試験体を製作し、これに面内曲げ荷重を加えて疲労試験を行なう。試験体には抵抗線歪計を貼付して試験中の歪分布を計測し、また内圧漏洩をもって疲労寿命を検知する。

(iii)小型試験片による素材低サイクル疲労試験分岐管、および湾曲管の試験体に使用するSUS 27素材について歪制御両振れ低サイクル疲労試験を行ない、等価弾性、応力振幅対寿命の疲労曲線を求める。

(2)原子炉配管継手における溶接欠陥が疲労応力指数に及ぼす影響に関する研究

(ⅰ)溶接欠陥を含有するシーム溶接円筒の内圧疲労試験
 SUS27鋼相当の鋼管を供試材とし、中央試験円筒を製作する。継手はシーム溶接継手とし、この継手内に溶接欠陥を有するもの、および強度の基準値を得るため無欠陥の溶接継手試験片も製作する。これらの供試体について、溶接欠陥が疲労応力指数に及ぼす影響を考察する。

(ⅱ)目違いを有する突合せ溶接円筒の曲げ疲労試験
 SUS27シームレス管を供試材とし、疲労試験機により、一様曲げモーメントの繰返しを与えて、疲労応力指数に及ぼす影響を考察する。

(ⅲ)A係数に関する試験
 上述の項目の試験結果に解析的根拠を与えるため、低合金鋼、2 1/4 Cr-1Mo鋼および304ステンレス鋼を供試材とし、砂時計型ならびに円周切欠付試験片についてUSAS B31.7のAPP.E-190に従う方法で低サイクル疲労試験を行なう。さらにこの方法によって求められたA係数とB31.7が一義的に与えているA係数との比較考察を行なう。


2 地震時における原子力施設の限界設計に関する試験研究

(社)日本電気協会


(研究目的)

 最近の原子力施設の大型化に伴い耐震設計基準もより限界設計に近いものを要求する方向に進んでおりその為耐震設計基準に於ても実験等による設計余裕の検討を行い限界設計への目安を得、安全かつ、より合理的な耐震設計基準の作成が望まれている。したがって本試験研究に於ては、模型でそのような複雑な組合せ応力状態を発生させ、最終的には崩壊を目標とした試験を行ない、設計に対する原子力施設の安全余裕度を調べ、地震時に対する妥当な許容応力値の設定に役立つ資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

(1)配管要素の静的試験
 炭素鋼及び不銹鋼製の直管、湾曲管及び直角分岐管について、静的内圧、曲げモーメント及び捩りモーメントが生ずる負荷を載荷し、弾性域を越え塑性域から崩壊に至るまでの局部的な変形挙動を実験的に究明し、崩壊に対する安全裕度を確かめる。
 更に、機器配管許容応力小委員会による理論値との対比を行い、耐震設計用許容応力の妥当性を検証する。

(2)配管系の振動試験

 炭素鋼及び不銹鋼製の直管及び乙型管について静的内圧及び振動荷重を与える。なお、乙型管は途中に油圧防振器を取付可能なものとする。
 これらの試験体について自由振動および強制振動実験を行なう。


3 軽水冷却型動力炉用安全弁の漏洩に関する試験研究

(財)原子力安全研究協会


(研究目的)

 軽水炉の安全評価において主蒸気隔離弁、逃し弁の漏洩率は重大な意味をもつものであり、漏洩試験方法の確立を図ることは緊要である。そこで本試験研究では実用弁を用いて常温状態で空気圧による漏洩量と運転状態と同じ蒸気条件で漏洩量を測定し、漏洩量の変化を求め、空気一飽和蒸気の漏洩量の換算方法を確立し、弁の試験方法の確立に有用な資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

(1)繰返し開閉試験前の漏洩試験

(ⅰ)空気(又は窒素ガス)圧による漏洩試験
 a 補護法による漏洩量の測定
 弁の管端にフランジを取付け、弁用状態にしておき、弁込流側(入口側)より空気圧を加え、弁シートおよびステム部より漏洩空気をそれぞれ別にメスシリンダの水中に受けて漏洩量を測定する。
 b 減圧法による漏洩試験の測定
 aの補護法の外に減圧法によっても漏洩量を測定し、妥当性を検討する。

(ⅱ)飽和蒸気による漏洩試験
 弁を全開して飽和蒸気を流しながら適当な暖機を行なったのち弁閉鎖後弁シート部の漏洩蒸気を凝縮器へ導びき凝縮水をメスシリンダに受けて漏洩量を測定する。同時にステム部の漏洩量は事前に水を入れておいたメスシリンダの水中に漏洩蒸気を導びき、その増分により漏洩量を測定する。

(2)繰返し開閉試験

(ⅱ)の飽和蒸気漏洩試験終了後、適当速度により繰返し開閉試験を行なう。

(3)繰返し開閉試験後の漏洩試験

(ⅰ)飽和蒸気による漏洩試験
 繰返し開閉試験終了後(1)の(ⅱ)と同様の要領で漏洩量を測定する。

(ⅱ)空気(又は窒素ガス)による漏洩試験

(3)の(1)の試験終了後、常温状態にして再び(1)の(i)の要領で空気(又は窒素ガス)圧による漏洩試験を行なう。

 本漏洩試験終了後、分解点検を行ない異常なきことを確認する。

 又極端な傷などが生じている場合は損傷部を補修して再試験を行なう。


4 使用済核燃料輸送容器の落下時の貫通強度に関する試験研究

日立造船(株)


(研究目的)

 わが国の原子力発電の本格的開始とともに近い将来使用済燃料の排出が予想される。それに伴い、使用済燃料輸送容器(キャスク)の安全設計およびその評価は早急に解決すべき重要な課題となっている。
 キャスクの安全に関する諸問題についてはIAEA規則等に指針が与えられているがキャスクの強度設計については未だ十分資料が得られていない。特に突起物に対するキャスクの対衝撃性を縮尺模型により実験し、キャスクの安全設計およびその評価方式を早急に確立する必要がある。本試験研究はキャスクの貫通強度に対する安全設計および評価方式の確立を目的として実施する。

(研究内容)

 従来の実験では平滑なターゲットにキャスクモデルを落下し対衝撃性を検討したが、本研究ではターゲットに直径25~125mm、長さ30~150mmの丸棒を垂直にたてて、この上に1~4mの高さからキャスクモデルを落下して対衝撃性試験およびその結果の検討を行なう。

(1)供試体の製作および補修

(ⅰ)キャスクモデルの設計および製作

(ⅱ)鉛の歪・応力試験用モデルの設計および製作

(ⅲ)鉛中空筒の貫通試験モデル

(ⅳ) 円柱状突起物

(ⅴ)キャスクの補修

(2)試験の内容

(ⅰ)対衝撃試験
 キャスクモデルを1~4mの高さから円柱突起物の上に落下させ、キャスク外面の変形およびキャスクの衝撃を測定する。キャスク内胴の変形も測定する。

(ⅱ)鉛の応力・歪の測定
 (2)項のモデルを使い、モデルをたてて直径75mmの円柱棒で圧縮し、応力一歪曲線を求める。

(ⅲ)鉛中空筒の直径(D)と突起物円柱(a)の直径の比と落下衝撃変形量εの測定
 (3)項のモデルを使いD/d-εの関係を求める。

(ⅳ)衝撃部分の断面写真の作成
 衝撃部分を切断し、研磨してミクロ写真を作成する。

(3)結果の検討
 上記試験結果を総合的に検討し、キャスクの内、外胴板の強度設計および蓋等の設計および安全評価に必要な資料を得る。


5 軽水冷却型原子炉の異常検出による
   安全評価手法の開発に関する試験研究

(株)日立製作所


(研究目的)

 本研究は軽水冷却炉の事故発生を未然にあるいは、その初期の段階で検出することにより、炉の安全性能を向上させ、さらに炉の種々の運転状態において得られる資料を炉心安全評価の有用な情報として利用するために整備し、軽水冷却炉の運転中における炉心の核熱的異常変動あるいは、燃料破損に至る初期現象などを迅速に検出する方法を確立するとともに、炉心安全評価の資料をえ、事故による災害を防止して、原子炉安全性向上に資する。

(研究内容)

(1)異常検出モデルの作成
 炉信号からその反応度平衡、雑音のパワースペクトル密度などをオンラインで算出し、その挙動から炉内異常を検出するモデルの作成をする。

(2)異常原因判定モデルの作成
 炉内に異常が検出された場合、その原因を決定するため、炉信号のパターンを求めてあらかじめ経験的あるいは、理論的に求めたモデルと比較するシステムを作成する。

(3)異常検出手法の開発
 炉信号を処理するデータ処理装置、データの演算処理装置、異常原因判定処理装置および結果の表示装置など、一連のハードシステムを作製する。

(4)異常検出の実証実験
 JMTRにおいて上記のモデル装置を動作させ、種々の運転状況における炉内状態とデータとの関係を求める。これにより炉内異常検出に必要なデータを得るとともにモデルの有効性を検討する。

(5)炉内異常現象の解析
 上記実験結果をもとにして軽水冷却炉について事故初期の異常を解析し、異常原因の判定結果と事故発生との関係を明らかにする。
 とくにJMTRの水ループ(OWL-1)内の沸騰現象を利用して燃料破損に伴う沸騰と異常信号との関係を明らかにして燃料破損の未然検出を可能にするよう努める。

(6)安全性評価のための資料作成
 実験によって得られる種々の炉内現象におけるデータを整理して、軽水冷却炉の炉心安全評価に対して有用な資料を作成する。


6 ガドリニア入り二酸化ウラン燃料の照射挙動に関する試験研究

東京芝浦電気(株)


(研究目的)

 熱中性子原子炉の経済性を向上させるために、ほう素入り鋼材カーテン使用に代って可燃性毒物物質として酸化ガドリニウム(Gd2O3)を燃料体(UO2)内に固溶させて使用する方法が採用される傾向がある。このような燃料の照射挙動(例えば炉内での熱伝導度やガドリニウムの偏析、融点など)を原子炉内外の実験により調べることは熱中性子炉用燃料の設計および炉心の安全性検討のために欠くことができない、本研究はガドリニウム入り燃料の設計および安全性検討資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

(1)JMTRにおける照射試験中性子吸収断面積の大きい天然のGd2O3をUO2に2%および4%溶させたペレットにGd2O3を含まないUO2の被覆を施したもの、並びに中性子吸収断面積の小さい安定同位元素160Gd2O3をUO2に2.5%固溶したペレットを製造し、これらを燃料中心および熱媒体中の温度計測付カプセルに入れ温度条件を調節しつつ、JMTRで照射する。本実験により極めて短期間の照射により実用の天然Gd2O3入り燃料の長期間照射後の状態をつくりだす。

(2)JMTRホットラボにおける照射後試験
 照射後、燃料を切断し組織観察を行ない、照射中のサーモカップルのよみおよび組織観察の結果からinpileの熱伝導度を算出するとともに燃料の健全性を調べる。

(3)炉外実験(照射結果の解析に必要な下記の試験を行なう。)

(ⅰ)中心加熱実験
 中心温度を変化させて加熱実験を行ない試験後組織観察を行なって温度と組織化の関係を知る。

(ⅱ)温度勾配下のGdの偏析
 Gd入り燃料に温度勾配をつけて加熱しX線マイクロアナライザーによってガドリニウムの分布を測定し、炉内でガドニウムが移動し偏析するかどうか調べる。

(ⅲ)融点測定
 ガドリニア添加による融点変化をガドリニア添加量の関数として求める。


7 ジルカロイ被覆管の炉内照射の影響に関する試験研究

(財)原子力安全研究協会


(研究目的)

 軽水動力炉の燃料被覆管に使用されるジルカロイにとって最も重要な特性の一つは円周方向の延性であるが、この延性に対しては水素化物とともに使用中にうける照射の影響が大きい。今まで水素量および水素化物の影響についてはかなりの程度の研究がわが国でも行なわれたが、燃料の設計基準を検討する上に必要な照射後試験を加えた周方向延性の評価のデータについては、今までは出せなかった。
 本試験研究では、(財)原子力安全研究協会・燃料安全専門委員会が今までに研究、開発してきた周方向延性の評価法を用いて照射の効果を検討し、軽水炉燃料の安全設計基準作成のための資料を得ようとするものである。

(研究内容)

 ジルカロイ-2被覆管およびジルカロイ-4被覆管の国産被覆管について特に水素を加えない場合と、軽水炉燃料の寿命末期の水素吸収量に相当する水素を加えた場合とについて、JMTRを用いて、実用軽水炉での使用期間中の照射量に近い値の積算照射量までの照射をした後、周方向延性の評価を(財)原子力安全研究協会・燃料安全専門委員会で開発してきた評価法により照射後試験を行なう。あわせて長手方向引張試験を行ない照射効果を検討する。なお試験温度は定温および高温とする。


8 船舶用一体型加圧水炉の概念設計に関する試験研究

(社)日本造船研究協会


(研究目的)

 現在舶用として実用化がもっともすぐれている一体型加圧水炉(約300MWt)の概念設計を実施し、その構造、配置、性能その他の概要を求め、技術的、経済的諸問題を摘出し、この型式の舶用炉の適応性および経済性の解析評価のための資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

 研究対象炉を搭載する想定船(30ノット、2000個積み、コンテナー船)の機関部、原子炉付属部の概念的一般計画を検討し、その要目に従って次の研究を行なう。

(1)炉心核熱計算
 炉心核計算、熱水力計算、動特性計算

(2)炉心構造設計
 燃料集合体の設計、制御棒設計、制御棒駆動装置設計、炉心支持構造設計

(3)主冷却系統設計
 圧力容器設計、蒸気発生器設計、主冷却水ポンプ設計、加圧設備設計、熱水力計算

(4)格納容器解析設計
 格納容器設計、格納容器支持構造設計、貫通部設計、格納容器内配置設計、圧力抑制効果解析

(5)遮蔽計算
 格納容器以内の遮蔽計算
 また、西ドイツで開発された一体型、加圧水炉、(EFDR)の設計データの収集、評価を行ない、上記各項目の解析結果との比較検討を行なう。


9 新型炭化物燃料の炉外評価に関する試験研究

古河電気工業(株)


(研究目的)

 45年度の研究によって得られた被覆粒子燃料の評価資料を基礎にし、新型燃料として有望視されている分散型燃料のマトリックスの炉外評価を行なうことにより、本系統燃料の超高温での特性及び挙動の評価に関する基礎的資料を得る。

(研究内容)

(1)資料の調整
 高密度マトリックスを得るため、黒鉛粉末でオーバコートした被覆粒子をホットプレスで成型するいわゆるオーバー・コート・プレスにより試料を調整する。
 試料は黒鉛粉末のみを成型した非燃料ペレットおよび黒鉛粉末に被覆粒子を分散させた燃料ペレットの2種類であり、前者によりペレット・マトリック自体の評価を、後者によりマトリックスと被覆粒子の相互作用の評価を行なう。

(2)評価試験

(ⅰ)加熱前試験
 燃料ペレット及び非燃料ペレットについて、密度外観試験、組織の顕微鏡試験、機械的試験、He透過度測定試験、被覆粒子破壊率測定試験、化学的安定試験等を行ない、成型状態を評価する。

(ⅱ)高温加熱試験
 2種類のペレットを真空中、約1,500℃および1,700℃で5時間保持し、黒鉛マトリックの特性変化、被覆粒子との相互作用等を観察する。

(ⅲ)熱サイクル試験
 燃料および非燃料ペレットを高温で300℃程度の熱サイクルを与えた後の黒鉛マトリックスの特性変化あるいは被覆粒子との相互作用を観察し、本燃料の耐熱性を検討する。

(ⅳ)中心加熱試験
 炉内使用条件下を模擬した温度条件下での燃料ペレットの中心加熱試験を行ない熱伝導度を測定すると共に、測定後のペレットの顕微鏡観察により温度勾配下における燃料の物質移動ならびに被覆燃料粒子の健全性を検討する。


10 食品照射における照射効果に関する試験研究

(社)日本放射性同位元素協会


(研究目的)

 昭和42年度からひきつづき、原子力委員会の定めた食品照射開発基本計画にもとづいて進められている各省庁の食品照射研究を補完し、照射効果に関する研究をすすめてきたが、本試験研究では、ウインナーソーセージ、かまぼこ、みかん、玉ねぎ、魚肉への照射効果について検討し、食品照射の実用化に必要な基礎的資料を得ることを目的として行なう。

(研究内容)

(1)ウインナ・ソーセージの照射効果
 豚肉40%、マトン40%、牛肉20%の混合肉を原料とするウインナ・ソーセージに500Kradのガンマ線を照射して10℃に貯蔵し、貯蔵効果、脂質の変化、照射臭の分析および微生物学的試験を行なう。

(2)かまぼこの照射効果
 板付かまぼこに300Kradのガンマ線を照射して室温および5℃で貯蔵し、しよ糖、ソルビトール、ポリリン酸塩、グルタミン酸の変化を分析し、さらに包装方法の貯蔵効果に及ぼす影響およびかまぼこ板の照射殺菌を検討する。

(3)みかんのかび防止
 みかんを0.5Mevの電子線で150Krad(表面部分について)照射した後、4℃で貯蔵し照射および包装のかび防止効果を調べる。

(4)玉ねぎ(札幌黄)の照射適期の予知法
 収穫時期(熟度)を異にする札幌黄の試料に7Kredおよび15Kredのガンマ線を照射し発芽抑制効果を調べるとともに、内芽の組織学的変化、カロチノイド色素および還元性物質の消長と発芽抑制効果との関連を調べ照射適期を考察する。

(5)低線量照射魚肉におけるボツリヌスE型菌毒素の生成
 タラの切身に102および104個/gの割合でボツリヌスE型菌の芽胞を接種して300Kredのガンマ線を照射し、5℃に貯蔵し、マウスを用いて経時的に毒素生産を検査する。


11 核融合を目的としたプラズマ生成用高出力レーザーの
    開発に関する試験研究

ウシオ電機(株)


(研究目的)

 レーザーによりつくられるプラズマは磁界中任意の場所に発生させることが可能であり、不純物が少なく、核融合研究用のプラズマ発生方法として期待されている。このため、本試験研究では超高出力のレーザー発生装置の技術開発を行ない核融合の研究開発の推進に資する。

(研究内容)

(1)レーザー素子の開発
 現在のガラス・ロッドは12J/cm2で破損するが、これは白金ルツボからの白金等の混入によると考えられており、それを除くためセラミックルツボを用いて百倍程度の強度のガラスの製造方法の研究を行なう。

(2)レーザー装備品の研究
 増幅されたレーザー光線の反射によるレーザーのロッド、偏光子等の破損を防ぐため、ファラディ・ ローテーター及びガラス・スタックを用いて反射レーザー光線の逆行を阻止する機構を開発する。

(3)レーザー光発振器の改良
 45年度委託費で開発した発振器の性能をさらに高めるため、ガラスの代りにYAGレーザー素子を用いて、レーザー光線をさらに絞る方法について研究する。又、ケルセルの電圧の立上りに若干の問題があるため、ポッケル・セルによる方法について検討する。


12 水中微量元素の放射化分析データの迅速解析に関する試験研究

東京都


(研究目的)

 都市並びに工業地域を主とした水道水、工業用水の水源である河川、地下水などの分析方法のうち、放射化分析法は、従来の方法よりも感度が一段と優れているので近年広く各方面で利用されるようになってきており、この方法による多数の試料の迅速処理技術の開発が期待されてきている。
 このために、本試験研究は、河川、地下中水の微量重金属元素の放射化分析法を研究し、とくに、その分析データの迅速処理方法を確立することを目的とする。

(研究内容)

(1)予備実験

(ⅰ)試料の低圧高濃縮装置の収率についての検討を行なう。

(ⅱ)磁気テープに記録されたα線スペクトルの信頼性についての検討を行なう。

(2)放射化分析実験

(ⅰ)河川、地下水中のHg・Cl・Ca・Znなどの重金属類を主とした微量有害元素を迅速定量する。

(ⅱ)α線スペクトロメーター→磁気テープ→小型電子計算機への組み合せによって前記元素に対する放射化分析データの処理方法を研究する。


13 元素の迅速分析法に関する試験研究

大阪府


(研究目的)

 水および大気などの環境物質中の微量金属元素の分析はかなり、高度な微量元素分析に属するので、分析技術の観点からは種々の問題点をかかえている。最近、環境物質の急速な汚染増加が憂慮されており、適確な分析法が要望されている。
 本試験研究の目的は、放射性同位元素を利用した螢光X線分析法により、微量の環境物質試験料から汚染元素を適確に定量する方式を確立するとともに、その方式を応用して、水又は大気浮遊塵の元素分析を行ない、公害対策を樹立するための基礎的資料を得ることである。

(研究内容)

(1)分析方式の確立
 Si(Li)検出器による螢光X線スペクトロメトリーと電子計算機によるスペクトル解析を用いる螢光X線分析により、環境試料中からできるだけ多くの元素を分析することを目標として、電子計算機の合理的プログラムの開発、分析用試料、励起用線源および検出器の配置の検討試料調整法の検討等を行なう。

(2)確立された分析方式の応用
 確立された分析方式を実際の水または大気浮遊塵試料について適用し、その有用性を確かめる。


14 放射化分析による環境試験料中の
    微量元素の迅速分析法に関する試験研究

(財)日本分析化学研究所


(研究目的)

 最近環境汚染問題が社会的にも大きな問題となっており、有害物質についての微量分析が要求される。
 微量分析法の一手段としてすぐれた検出感度を持つ放射化分析法は既に多くの試料にも応用されている。従来は放射化した後、放射化学的分離によって目的元素を単離測定する方法が一般的であったが、近年半導体検出器を用いることにより非破壊多元素分析が可能になって来た。然し環境試料は直接放射化し、非破壊分析を行なう方法は妨害物質の混入によっては必ずしも有効でない場合がある。
 本試験研究はこのような観点から、異なる種類の多数の環境試験料中の有害微量元素を分析するための半導体検出器を用いたスペクトロメーターと有効な試料の前処理、照射条件、測定条件等について研究を行ない、環境試料中の微量元素の迅速有効な測定方法を確立することを目的とする。

(研究内容)

(1)放射化のための前処理法の検討
 対象元素は環境基準に決められているAS・CdHg・Cr等を主体とし、他の測定可能な元素についても検討を行なう。
 試料は浮遊塵、河川水、海水、土壌及び生体試料を対象とする。
 放射化分析の際、特に測定を妨害しやすい元素例えばNa・Br等の除去法について検討を行なう。さらに半導体検出器を用いる非破壊分析を行なうための目的元素の分離濃縮法として、共沈法、溶媒抽出法を主体として検討する。
 また放射化を行なうための試料の形状、量等について検討を行なう。

(2)照射条件及び測定条件の検討
 目的元素によって照射時間、冷却時間を変えて測定を行なう必要があるので、試料毎に標準及び対照を加えて種々の条件及び測定を行なったα線スペクトルについての解析法についての検討を行なう。


15 放射性廃棄物固化体からの放射性核種の
    溶出と環境での移動に関する試験研究

(財)原子力安全研究協会


(研究目的)

 放射性廃棄物の海洋処分を考えるに当っては環境汚染を防ぐための固化体安定度と溶出率の低減を図る必要がある。又地中処分を考えるに当っては、放射性核種が地中、特に帯水層においてどのような挙動をするかを把握する必要がある。このため、本試験研究は、模擬放射性廃棄物の固形化ならびに核種の溶出に関する試験、裸の固化体試料の安定性に関する試験、放射性核種の地下移動速度に及ぼす無機塩の影響の検討を行ない、安全評価のための基礎資料をえることを目的としている。

(研究内容)

(1)模擬放射性廃棄物の固形化ならびに核種の溶出に関する試験
 原子力発電所から発生する放射性廃棄物としては濃縮廃液フイルタースラッジ廃樹脂等があるが、試験には実際に出されるこれら廃棄物の化学的ならびに放射能的に近似した模擬廃液をつくって、セメントで各種条件下で固形化し、固形化された試料を平圧下ならびに0~350kg/cm2下の高圧海水中に浸漬して、固化体からの各核種の溶出状況を検討する。

(2)裸の固化体試料の安定性に関する試験
 恒温恒湿装置を用いて模擬廃棄物固化体試料を海水中に長期間浸漬し、適当な時間間隔で試料の動弾性係数を測定し、併せて三軸試験器を使って所定水圧(100~400kg/cm2)の横圧、縦圧による変形量を測定し、その長期安定性を求める。

(3)放射性核種の地下移動速度に及ぼす無機塩の影響
 放射性物質の地下帯水層における移動現象を解明するために硅砂を中心とする土砂を詰めたカラムを用いて、帯水層構成土砂と地下水との相互作用および地下水中に存在する共存物質が放射性核種の分配係数に与える効果について調べる。又模擬コンクリート固化体を作り、固化体からの放射性核種の溶出現象および固化体と地下水との相互作用を環境水中の共存物質濃度を変化させて調べる。


16 放射線障害回復促進物質に関する試験研究

(社)日本放射性同位元素協会


(研究目的)

 昭和44年度ならびに45年度原子力平和利用研究委託費による試験研究によって、動物の個体において、急性放射線障害の回復を促進する物質の存在ならびにそれらの組合わせにより、回復効果の促進が示唆される結果が得られたので、本年度は、これらの組合わせの効果および投与方法についての至適条件を決定し、放射線障害の薬物的治療法の基礎資料をうることを目的とする。

(研究内容)

(1)細胞での回復促進物質等の検討
 哺乳動物細胞であるエールリッヒ細胞、あるいはL細胞を用い、これらを培養系あるいは生体系の両方について、照射後、核酸関連物質等を投与して起こる回復の促進作用を、細胞の生存率、誘発染色体異常と、DNA量の動態から追求し、有効な投与方法を検討する。

(2)個体での回復促進物質とその投与条件に関する検討
 多数のメダカに致死線量のX線を照射した後、核酸およびその関連物質を投与し、生残検定を行なう、つぎに、近交系マウスを用いて致死線量を照射した後、核酸および関連物質を注射し、その後、マウスの死亡率曲線、体重、骨髄細胞数、脾臓重量を指標として、回復の程度を判定し、メダカ、マウスの実験から、回復に有効な物質およびその組合わせ、および投与方法などの条件を検索する。

(3)哺乳動物での総合判定
 上記の各研究により、得られた回復促進物質等を致死線量を与えたマウスに投与し、(2)で得られた結果にしたがった投与条件について、治療としての効果を判定する、これらの結果から、回復促進物質の種類、ならびにこれらの投与方法についての至適条件を決定する。


17 密封された放射性同位元素の検査基準に関する試験研究

(社)日本放射性同位元素協会


(研究目的)

 近年、RI利用の発展に伴い、密封線源の使用数量が著しく増加するとともに、多種類の線源が開発、利用され、その使用形態、使用環境もまたきわめて多様化してきた。このような状況に対処し、密封線源の安全性に関する技術的基準の確立が要望されている。
 本試験研究は、各種密封線源について、安全性確保の面から、それぞれに要求される最適の漏洩、汚染検査法に関する技術的基準ならびに障害防止法の規定に適合する使用環境条件に関する技述的基準の確立に資する基礎資料を得ることを目的としている。

(研究内容)

 現在汎用されている、あるいは近く汎用が見込まれる密封線源のうち国産もしくは国内加工の12種(9核種)の線源を対象として汚染・漏洩検査法に関する試験研究を行なう。
 各密封線源について、それぞれ、その形状、カプセルの材質その他の仕様に応じ、安全性確保の面から要求される最適の汚染・漏洩検査法とその組合せ、ならびにその検査法を適用する際の具体的要件を、予め汚染、欠陥を生じさせたダミーを用いて検索する。


18 保障措置システムに関する研究

(財)工業開発研究所


(研究目的)

 わが国の各核燃料取扱い事業所に対する国際原子力機関の査察に対処するため、わが国に最も適する合理的な国内査察システムを確立しておく必要があり、それに必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

(1)コンピューターモデルの実用化への検討
 コンピューターモデルを実際の各施設にあてはめて、計量点のとりかた、計量データの分散などが現実にそくしているかどうかを試験する。

(2)検証方式の検討
 国際原子力機関による検証方式の、概念的なシステム解析の結果にもとづいて、最も合理的かつ効果的な方式を提示する。

(3)迷惑度の精度向上
 迷惑度の定量的とらえ方を向上させる。

(4)オンライン・データ伝送システムの検討
 具体的なデータ集収方式を検討し、シミュレーションのためのレイアウトを設計する。

(5)核燃料物質のデータ・プロセシング・システムの開発
 国際原子力機関による核燃料物質の計算機処理方式を参考として、NPT下の国内データ処理基本プログラムの概念を作成する。


19 核燃料物質の輸送中における保障措置システムに関する研究

住友原子力工業(株)


(研究目的)

 核拡散防止条約発効後の保障措置の適用にとって、核料サイクルにおける保障措置の検討は不可欠である。この中で、核燃料の輸送について保障措置の観点から調査ならびに研究を行い、わが国において保障措置を実施するために必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(研究内容)

 1 米国からUF6を輸入する場合の燃料サイクルにおける燃料の輸送に関する調査
 UF6の入手、米国におけるUF6の輸送、転換工から燃料加工工場へのUO2粉末の輸送、核燃料加工工場から原子炉施設への燃料の輸送等について保障措置の観点から輸送技術払出し受入れ方法等を調査する。

 2 米国および英国の燃料サイクルにおける燃料の輸送に関する研究
 U3O8の入手、転換工場へのU3O8の輸送、転換工場から濃縮プラントへのUF6の輸送、濃縮プラントから転換工場へのUF6の輸送、転換工場から燃料加工場へのUO2粉末の輸送、燃料加工工場から原子炉施設への燃料の輸送、原子炉施設から再処理工場への使用済燃料の輸送等について保障措置の観点から輸送技術、払出し受入れ方法等を調査する。

 3 燃料輸送の保障措置技術に関する研究
 UF6、UO2、ウランの新燃料要素および使用済燃料要素の輸送時における同一性を確認する技術の開発状況について調査する。

 4 総合評価
 上記1、2、3の調査をもとにして、保障措置の立場から、わが国に適用できる燃料輸送について検討する。


20 核燃料加工施設の最適査察方式に関する試験研究

三菱金属鉱業(株)


(研究目的)

 査察頻度を無駄に多くすることは、加工施設側にとって操業阻害等の弊害があるので、不明量アプローチによる核燃料加工施設の計量管理システムに不明量の管理方式を附随させ最大流出量を推定して加工施設の査察時期を決めることができるシステムを開発する

(研究内容)

 1 不明量アプローチによる核燃料物質の査察システムの開発

(1)不明量の発生要因の解析
 UO2加工施設内の各工程ごとに、不明量の発生要因をしらべサンプリング方法や検量方法との関連を解析する。

(2)加工施設の査察頻度算定方法を与えるシステムの開発
 加工施設内の各工程ごとに発生する不明量を時系列に配列し不明量時系列を基礎データとして、その性質および性質の分類を行ない、さらにその時系列、数列を統計的手法により、時間的変動を解析するとともに最適査察頻度を算定できるシステムを開発する。

 2 核燃料物質の査察時期の例題計算

(1)核燃料物質の流出最大量の計算
 仮想した加工施設内で取扱う核燃料物質の計量管理のもとで発生する不明量をもとにして、査察の時期および期間と施設外に流出する流出可能な核燃料物質量との関連を求める例題計算を行なう

(2)加工施設の査察頻度の算定
 2の(1)で求めた流出推定量をもとに加工施設の最適査察頻度を決める例題計算を行なう。


21 高濃縮ウランの計量管理に関する試験研究

住友電気工業(株)


(研究目的)

 高濃縮ウラン板状燃料成型加工工程における計量管理に関し、オンラインシステムの開発を図るとともに、実際の工程における核燃料物質の流れの解析を行ない、計量管理システムの確立に必要な基礎資料を得る。

(研究内容)

 1 計量管理システムの研究
 小型コンピュータを利用して、板状燃料加工工程におけるウラン燃料の入荷から、成型燃料体の出荷までの燃料の移動、滞留状態や工程の性能を解析する為の計量管理システムの開発を行い、工程中における燃料の所在、状況を常時把握するプログラムを作成する。

 2 データ伝送システムの研究
 加工施設内の各所に入力用端末機器を設置し、核燃料物質の移動の都度そのデータを小型コンピュータで処理し、磁気ドラムに記録しておき、必要時に、適当な形の資料を得るシステムについて研究する。さらに、コンピュータで処理され磁気ドラムに貯蔵されるオン・ライン機器の開発を行なう。

 3 加工工程の解析
 いくつかのキャンペーンについて、上記計量管理システムを実際の加工工程に適用し、スクラップ損失量、不明損失量等を調べ、ウランの流れの解析を行なう。
 この結果を用いて、他のキャンペーンへの応用の妥当性、ストラテジック・ポイント(straegicpoint)の選定、計量管理上からの加工工程の合理化、施設設計等の検討の基礎資料を得る。
 次に、現在行なっている計量管理システムとの経済性、信頼性等について比較する。



22 核燃料物質の管理技術開発に関する試験研究

近畿大学


(研究目的)

 核燃料物質の高エネルギー制動放射線(γ線)による光核分裂反応の特異性に着目し、多種多様の物理的及び化学的形状をもった2種以上の核燃料物質の共存する試料に対して迅速かつ非破壊的に行なう方法を開発する。

(研究内容)

 1 核燃料物質の光核分裂生成物のγ線スペクトルの照射エネルギー特性依存性に関する試験研究
 核燃料物質の光核分裂反応生成物のγ線スペクトルの照射エネルギー制動X線のエネルギー特性の変動により、光核分裂生成物のγ線スペクトルがどの程度影響されるかを、ライナックに密接した理想的照射条件と比較して測定する。

 2 核燃料物質の照射条件の検討に関する試験研究
 多種多様の現実の核燃料物質試料を模疑するため、U-235/Al合金、近大炉燃料板、酸化物ペレット、固化及び溶液状スクラップ、照射済燃料試験片について実際に照射を行ないコンバータからの距離の選定移動回転照射の動作条件の決定などに必要なデータを求める。

 3 核燃料物質の光核分裂生成物の多重γ線スペクトルの電子計算機解析に関する試験研究
 本試験研究の目標である迅速、かつ簡易な管理に適合したγ線スペクトルの電算機解析コードを作成し、実際のデータの解析に適用して、その有用性を確認する。


23 核燃料物質の非破壊検査法に関する試験研究

テイアック(株)


(研究目的)

 核燃料物質の非破壊検査法に関し、従来諸外国で主流を占めている中性子法及びガンマ線法を、調査研究し、さらに実験により適用性の評価を行なって実用的検査方法を確立する。併せて検出装置の簡易化、安定化を目的としたデータ処理回路を作成し、安価な実用的システムを開発する。

(研究内容)

 1 測定法の調査研究と実験的評価
 文献により諸外国データ、および国内で行なわれた方法について調査研究し、原子力発電所等の現場からの要求をつき合わせる検討を行なう。

 2 ガンマ線法の実験的評価
 実験資料による低エネルギー・ガンマ線Ge(Li)検出法の適用性の検討、特に再処理施設のpu検出およびデータ処理回路製作の基礎資料を得る。

 3 中性子法の実験的評価
 鉛減速型スペクトロメータを用いた中性子法に関し、基礎研究を行なう。

 4 データ処理回路の設計および実験
 装置の簡易化とオンライン使用を可能にする為、少チヤネル波高合析器を使用することができ、かつミニコンピュータでデータを解析し得る単体の測定装置を設計する。


24 核分裂中性子測定法による核分裂性物質の非破壊分析法に関する試験研究

(株)日立製作所


(研究目的)
 保障措置のための核燃料物質の実際的な管理技術として、核分裂中性子の測定による非破壊分析法を確立するため、原理的な基礎資料を得る。

(研究内容)

 1 中性子スペクトル分析に関する研究
 低レベルの中性子束について、感度よく中性子スペクトルを分析するための測定系、電子回路について検討し、作動特性を高めるための運転条件を求め、中性子スペクトル分析特性を241Am-Be中性子源を用いて把握する。

 2 核分裂中性子計測による核分裂性物質量測定の研究
 241Am-Be中性子源から発生する中性子を減速してから、あるいはHTRの熱中性子実験孔より得られる熱中性子ビームを天然ウランおよび濃縮ウラン試料に照射し、発生する核分裂中性子の量を照射中性子やガンマ線と弁別して測定する。
 この際、試料の形状、線源-試料-検出機器の幾何学的配置試料の種類、組成、試料周囲の雰囲気などが測定値に及ぼす影響を調べる。
 核分裂性物質としてU235のみを有する試料系について、核分裂中性子計測値と核分裂性物質量との相関を、中性子照射時の核分裂断面積などの関連の下に明確にする。


25 ひずみ計の応用による保障措置のための計量方法に関する試験研究

(株)共和電業


(研究目的)

 ひずみゲージの応用により核物質の重量測定用機器として使用される自動計量システムを開発する。

(研究内容)

 1 耐γ線ひずみゲージの開発
 耐γ線特性を有する抵抗材料、接着剤、絶縁フィルム等の耐γ線特性を研究し、耐γ火線ひずみゲージを開発する。

 2 各種部材の開発
 各部材にγ線照射テストを行ない、照射線量に対する各部材の特性を調べ、耐γ線特性を有する部材を開発する。

 3 荷重変換器の開発
 耐γ線特性を有するひずみゲージ及び起歪部材、配線、接続部材等を用い荷重変換器の製作をし、γ線照射中及び照射後に総合特性試験を行なう。


前頁 |目次 |次頁