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核兵器不拡散条約の調印について



 政府は2月3日の閣議で、「核兵器の不拡散に関する条約」に調印することを正式決定した。これに基づいて外務大臣は同日、米国、英国およびソ連の各国駐在大使に調印するよう訓令した。なお、政府は同日、本条約調印に際しての「政府声明」を発表、口上書の形で各国政府に送付した。
 本核兵器不拡散条約は、1968年6月の国連総会で推奨決議がなされ、同年7月1日から米国、英国およびソ連三国を批准書寄託国として調印のため開放されている。本条約は、米国、英国、ソ連を含む43か国の批准書寄託で発効するが、まだ発効していない。しかし、近々にも米国、ソ連両国が批准書を寄託し、これに歩調をあわせて批准書を寄託する国も多いといわれ、本条約は近々、発効するものとみられている。
 なお、参考のために2月10日現在、調印国は96か国、批准承認国は52か国、うち批准書寄託国は33か国である。
 原子力委員会は同日、政府の調印に際し、下記の委員長談話を発表した。
 また、「核兵器の不拡散に関する条約」全文を資料として別掲する

核兵器不拡散集約の調印について

 昭和45年2月3日
 原子力委員長談話

 政府は、本日の閣議において核兵器不拡散条約に調印することを決定したが各国が、本条約の精神を体して世界平和に寄与するよう努力することを期待する。
 本日の政府声明においては、原子力委員会の意見が、本条約の運用にあたっては、原子力平和利用が阻害されることのないよう必要がある。とくに、国際原子力機関が行なう保障措置については、外国の管理制度を活用して簡素化を図る等、今後著しい発展が期待されるわが国の原子力産業の活動を阻害しないよう配慮がなされるべきこと、また核兵器国が自国における平和目的の原子力利用を国際原子力機関の保障措置の対象とすることの重要性をかねて強調し、政府がこの方向に一層力を尽すよう期待する。




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