国際原子力機関(IAEA)の第12回総会は、昭和43年9月24日からウィーン・ノイエ・ホッフブルク会議センターに於て開催され10月1日に8日間にわたる会議を終了した。
以下国際原子力機関第12回総会の概要を議題を追って報告する。
1. |
加盟国および国際機関等参加数加盟国 |
75 |
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国際連合および専門機関 |
3 |
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その他の国際機関 |
8 |
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非政府機関 |
9 |
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その他の国 |
4 |
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2. |
参加人員 |
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加盟国代表 |
360名 |
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国際連合および専門機関 |
4名 |
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その他の国際機関 |
13名 |
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非政府機関 |
12名 |
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その他の国 |
5名 |
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計 |
394名 |
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3. 日本代表団
代 表 |
新関 欣也 |
在オーストリア大使 |
代表代理 |
穂崎 巧 |
在オーストリア大使館参事官 |
代表顧問 |
川島 芳郎 |
科学技術庁原子力局国際協力課長 |
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大沢 弘之 |
在オーストリア大使館一等書記官 |
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矢田部厚彦 |
外務省国際連合局科学課長 |
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藤本 芳男 |
在オーストリア大使館一等書記官 |
4. 会議議事
(1)開会式
第12回総会開会式は9月24日(火)午後3時10分ウィーン・ノイエホッフブルク会議センターにおいて行われた。
(2)議長選出
総会議長にはメキシコ代表Sandoval Vallarta氏が選出された。
(3)第12回総会代表信任
(a)信任状委員会任命
同委員会メンバーとして、ベルギー、ボリビア、ハンガリー、イラク、日本、ペルー、フィリピン、ソ連、米国からの9ヶ国代表が選出された。
(b)信任状委員会報告
ソ連からは東独のIAEA加盟の問題について、更に、ルーマニアおよびパキスタンから中国代表権について言及のあと(Ⅰ)第12回総会においては、中国代表権を変えるための提案に関する何らの措置をとらないこと、および、中華民国共和国政府代表の信任状を承認すること、(Ⅱ)信任状委員会の報告を採択することの決議案が採択された。
(4)副議長選出
副議長として、オーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、日本、ウガンダ、ソ連、英国の8ヶ国代表が選出された。
(5)一般委員会任命
同委員会のメンバーとして、議長、副議長8名、主委員会委員長(計画技術予算委員会委員長ポーランド代表、行政法律委員会委員長イタリー代表)のほか、ブルガリア、ドイツ、フランス、米国の4ヶ国を合わせ、計15名が選出された。
(6)本機関加盟申請
リヒテンシュタイン、ザンビア、ニジェールの3国の加盟が承認された。
(7)事務局長声明
(要旨)
さる6月、国際連合総会において採択された核兵器の不拡散に関する条約に、関連し、その3条に唱われた国際査察との関係において、同条約成立後のIAEAの役割の重要性を強調し、IAEAは、国連事務総長に対し、同条約によってIAEAに課される義務を遂行する用意がある旨通告した。
事務局は、既に、法的、技術的、運用上及び財政上の問題について分析を始めており、その分析結果及びコンサルタントと協議の上、同条約下のIAEA保障措置のモデル協定を作成しようとしている。
技術的には、査察技術の研究開発が最重要問題であり、財政的には、保障措置の範囲や費用に関する推定は、保障措置を受ける施設の推定がなされなければ出来ないし、今後5~6年先のことを予測することは難しい。
運用上の問題
として、原子力の先進国が、その国の核物質管理についての国内制度を、IAEA保障措置制度と調和させれば運用を容易にすることが出来ると確信する。
IAEAの事業に関し、IAEAは保障措置及び査察局に開発部を新設し、全刊行サービスを技術援助局に合流した。
ザイベルスドルフ研究所は保障措置適用との関連において分析作業等の仕事が多くなるので、同研究所の拡張についてコンサルタントグループを設置する。
また、トリエステ国際理論物理センターは、イタリア政府及びユネスコの協力のもとに運営されているが、将来の財政上の問題は解決されていない。
技術援助の問題では、各加盟国による任意拠出金が目標通り達成せず、目標額200万ドルの68%しか誓約を受けていない。
一方、原子力発電は全世界で、運転中のもの、建設中のもの及び具体的計画のあるものが133,000MW(e)に達している。
そのうち、北米、西欧、ソ連、日本以外の国の原子力発電は僅か2,000MW(e)でしかなく、今後は、低開発国の要求に合った、比較的小型の動力炉の開発の技術的進歩が期待される。
非核保有国会議では、多くの国が核爆発平和利用に言及したが、同分野での原子力利用はまだ開発途上の段階にあり、数年間に、その純粋な産業開発を望むことは無理である。
従って、同目的のための機関を設置することは時期尚早である。
国際連合代表による声明 (略)
(8)議題採択及び議事割当 (略)
(9)一般演説及び1967-68年度理事会報告
47ヶ国が一般演説に参加し、各国ともNPTの問題について何らかの意見をのべたことが、今総会一般演説の特色であった。
我が国は、原子力委員会の作成した長期計画に基づいて開発しつつある原子力開発計画の主なものを披露したほか、先進国向桝こIAEAがなし得る役割及び低開発国向けの活動について述べ、更に、核拡散防止条約の三、四、五条に関し、IAEAの為すべき役割の重要性を強調した。
(10)閉会期日
9月30日に閉会することに決定。
(11)第13回IAEA総会開催日程。
1969年9月23日に開催することに決定。
(12)総会選出の理事国選出
アルゼンチン、イラン、イタリー、シンガポール、ベネズエラの5ヶ国が新たに選出された。
(全理事国名は後記)
(13)1969年度IAEAの予算及び1969-74年計画の承認
(14)1969年度の各加盟国の分担率の承認
その結果、わが国は、IAEA経常予算の前年度より約1%高い3.43%を分担する。
(全加盟国中の7位を占める)
(15)1967年度IAEA会計報告 (略)
(16)政府間機関との関係 (略)
(17)国際連合提出用のIAEA年次報告
IAEA総会に提出した理事会の年次報告に、若干の追加を行って国際連合総会及び国連経済社会理事会に報告することを承認。
(18)IAEA職員恩給委員の選出
正委員として、チェコスロバキアのMr.Nejedlyが選出された。
(19)1969年度IAEA一般資金に対する任意拠出金
1969年度IAEA一般資金に対する任意拠出金として、9月27日5時現在、51ヶ国から1,233,951ドルの誓約を受けた。
これは目標額200万ドルに対し、その61.7%にしかすぎない。
なお、日本への査定額は、68,600ドルである。
(20)閉会
1968年10月1日から1969年総会までの理事国
(A)理事会指定(13ヶ国)
(1)技術最先進国(憲章6条A-1、5ヶ国任期1年、再選可能)
米、加、英、仏、ソ連
(2)(1)以外の地域の技術的先進国(憲章6条A-1、5ヶ国、任期1年、再選可能)
オーストラリア、ブラジル、インド、日本、南アフリカ
(3)原料物質生産国(憲章6条A-2、2ヶ国、任期1年、選出1年おき)
ベルギー、ポーランド
(4)技術援助提供国(憲章6条A-2、1ヶ国、任期1年、再選不可)
フィンランド
(5)総会選出(憲章6条A-3、12ヶ国、任期2年、再選不可)
アルゼンチン、ヴェネズニラ、ペルー、イタリア、ブルガリア、マダガスカル、アルジェリア、イラン、トルコ、セイロン、シンガポール、フィリピン
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