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放射線審議会の動き


1 アイソトープ部会

第 2 回

(自発光安全標識板について)

〔日 時〕昭和42年6月27日(火)13.30〜17.00

〔議 題〕自発光安全標識板の放射線障害防止に関する技術的基準について(諮問)

〔議事要旨〕
 放射性物質を用いた自発光安全標識板のJIS制定に関してさきに放射線審議会より付託された通商産業大臣の諮問について審議した結果次のような意見が多かった。
(1)本件に係る自発光安全標識板は、これに使用される放射性物質の量からみて放射線障害防止法施行令第1条第4号に定める科学技術庁長官が指定するものとして認めることは適当でない。

(2)自発光安全標識板の工業標準を制定することは放射線障害防止の面からも望ましい。

 なお、今後開催される通商産業省の安全標識専門委員会には放射線障害防止の専門家を参加させる。

第 3 回

(自発光安全標識板について)

〔日 時〕昭和43年2月14日(水)13.30〜16.30

〔議 題〕自発光安全標識板の放射線障害防止に関する技術的基準について(諮問)

〔議事要旨〕
 放射性物質を用いた自発光安全標識板のJIS制定に関して審議した結果次の結論を得た。

(1)日本工業規格(案)自発光安全標識板の適用範囲、安全性に関する試験方法等については、通商産業省の安全標識専門委員会で検討し、その結果を同事務局でとりまとめる。

(2)アイソトープ部会報告については、前回の意見もとりまとめ山崎部会長から木村放射線審議会長あて報告することに決定された。

〔報告書〕別添(1)
2 総括部会

〔日 時〕昭和43年2月1日(木)14.00〜16.00

〔議事要旨〕
(1)自発光安全標識板の技術的基準について(答申)
 事務局より標記の件に関してアイソトープ部会における現在までの審議状況について説明があり、同部会における報告書が作成された場合は、次回の第22回放射線審議会総会にはかることが了承された。

(2)再処理施設等から生ずる放射性廃液の海域放出に係わる障害防止に関する考え方について事務局より、核燃料再処理施設の建設等に関する最近の状況説明があり、標記の件に関しての取扱い等について審議がなされた。
3 放射線審議会

第 22 回

〔日 時〕昭和43年3月26日(火)13.30〜17.00

〔議 題〕
(1)アイソトープ部会の報告について
(2)自発光安全標識板工業標準制定にあたって放射線障害防止の技術的基準について
(3)再処理施設等から生ずる放射性廃液の海域放出に係る障害防止に関する考え方について(諮問)
(4)その他
〔議事要旨〕
(1)自発光安全標識板工業標準制定にあたっての放射線障害防止の技術的基準について(答申)
 さきに、アイソトープ部会に審議が付託されていた「自発光安全標識板標準制定にあたっての放射線障害防止の技術的基準について(諮問)」に関して、アイソトープ部会報告書が提出され、山崎部会長から審議経過および結果等の説明があり了
承された。

 さらにこれに基づき答申案が審議され、答申することが決定された。

(2)再処理施設等から生ずる放射性廃液の海域放出に係る障害防止に関する考え方について(諮問)
 内閣総理大臣から昭和43年8月19日付で諮問のあった標題の件に関しては、新たに海域放出特別部会を設置し、同特別部会に審議を付託することとなった。

(3)環境放射能特別部会の解散について
 解散が了承された。
〔答申文〕別添(2)

〔諮問文〕別添(3)

別添(1)
自発光安全標識板に関するアイソトープ部会報告書

昭和43年3月26日

 放射線審議会会長 木村健二郎殿

アイソトープ部会長 山崎文男

 昭和42年3月20日付をもって本部会に審議を付託された「放射線障害防止の技術的基準について」に関しては、本部会において昭和42年5月23日から昭和43年2月14日まで3回にわたって審議を重ねてきたが、下記のとおり結論をえたので報告する。

 審議の概要

 本部会は、放射線障害防止の技術的基準に関し、次の二つの点について審議を行なった。

 すなわち

1 プロメチウム-147およびトリチウムを用いた自発光安全標識板を工業標準として制定するにあたり、同標識板に用いられる放射性物質の数量を定め、安全性に着目して規格の統一をはかることが、同標識板に対する放射線障害防止の観点から適切であるかどうかについて検討を行なった。

2 上記の工業標準を制定した場合、同標識板に用いられる自発光性の塗料が放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第1条第4号に該当するものであるかに関しては、同標識板が通常の使用状態とともに事故、災害等の異常環境においても安全が確保できるかどうかについて検討した。

 また、製造から使用、廃棄にいたるまでの経過における管理上の問題について検討した。

 審議結果

1 自発光安全標識板に関する工業標準の制定について
 プロメチウム-147およびトリチウムを用いた自発光安全標識板の適切な利用をはかるため工業標準を制定し規格の統一をはかることは放射線障害防止の面からも望ましいものと考えられる。

2 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第1条第4号による科学技術庁長官の指定について
 同標識板は、工業標準(案)においては、その使用、保管および廃棄等について放射性物質の数量からみて放置することは放射線障害防止の観点から適当でないと考えられる。

 したがって、法施行令第1条第4号に基づく自発光性の塗料として指定することは適当でない。

3 その他
 放射線の利用はますます多角化して進展して行く傾向があるので、これにともなって将来合理的な規制方法を検討することが必要と思われる。

別添(2)
放射線障害防止の技術的基準について(答申)

43政審議第5号
昭和43年3月26日

  通商産業大臣 殿

放射線審議会会長

放射線障害防止の技術的基準について(答申)

 昭和42年1月7日付41、40-2754号をもって本審議会に諮問のあった標記については、アイソトープ部会において慎重に審議を重ねてきたが、昭和43年3月26日開催の第22回放射線審議会総会において下記のとおり結論を得たので答申する。

 なお、アイソトープ部会の報告書は別添(別添と同じ)のとおりである。

1 自発光安全標識板に関する工業標準の制定について
 プロメチウム-147およびトリチウムを用いた自発光安全標識板の適切な利用をはかるため工業標準を制定し規格の統一をはかることは放射線障害防止の面からも望ましいものと考えられる。

2 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第1条第4号による科学技術庁長官の指定について
 同標識板は、工業標準(案)においては、その使用、保管および廃棄等について放射性物質の数量からみて放置することは放射線障害防止の観点から適当でないと考えられる。

 したがって、法施行令第1条第4号に基づく自発光性の塗料として指定することは適当でない。

別添 3
  別添1と同じ

別添(3)
再処理施設等から生ずる放射性廃液の海洋放出に係る障害防出に関する考え方について答申

43原第1206号
昭和43年3月19日

 放射線審議会会長 木村健二郎殿

内閣総理大臣 佐藤栄作

再処理施設等から生ずる放射性廃液の海域放出に係る
障害防止に関する考え方について(諮問)

 使用済核燃料の再処理施設等における低レベル放射性廃液の海域への放出については、国民生活の環境における安全性が確保されるよう十分配慮されなければならないものである。

 この問題については、これまで昭和41年3月2日貴審議会から具申された意見にしたがって、調査研究を進めてきたところであるが、今後再処理施設等が設置される場合には、低レベル放射性廃液の海域への放出に関する適正な具体的基準を定めて安全審査を行なうことが必要となるので、その指針となる考え方について放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和33年法律第162号)第6条の規定に基づき諮問する。
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