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東京電力(株)福島原子力発電所
原子炉施設の設置変更について



 原子力委員会は、東京電力(株)福島原子力発電所原子炉施設の設置変更(2号炉増設)に関する許可の基準の適合について内閣総理大臣から昨年9月20日付けで諮問を受けた。

 安全性については原子炉安全専門審査会に審査を指示し、本年3月18日に審査会長から安全性は確保し得る旨、原子力委員長に報告がなされた。

 原子力委員会としては安全性のほか、平和利用、計画的な開発利用、経理的能力等についても審査を行ない、3月26日付けで内閣総理大臣あてに答申した。

 変更の計画概要と答申は以下のとおりである。

東電福島原子力発電所変更(2号炉増設)計画の概要

1 原子炉の位置、型式・出力
 2号炉は福島県双葉郡大熊町に現在建設中の1号炉と同一敷地内に隣接して設置され、型式は直接サイクルの低濃縮ウラン、軽水減速・軽水冷却の沸騰水型(BWR)で熱出力約2380MW電気出力約780MWである。

2 工事計画
 建設工事の予定は、昭和43年3月に着工、昭和47年9月燃料装荷、昭和48年5月運転開始である。

 工事は米国GE社が原子炉機器、タービン発電機ならびに技術役務を供給するとともに、原子炉、再循環系の主要部分の据付けを行ない、その他の機器配置類の供給、および全般のプラント据付けは国内メーカーが行なう。

3 建設費
 変更に要する資金は約641億円(初期装荷燃料を含む)であり、そのうち外資借入れは約281億円である。

 発電単価はKWH当り初年度2円52銭、耐用年平均2円21銭の見込みである。

東電福島原子力発電所原子炉施設の設置変更について

43原委第82号
昭和43年3月26日


 内閣総理大臣 殿

原子力委員会委員長

東京電力株式会社福島原子力発電所原子炉施設の設置変更について(答申)

 昭和42年9月20日付け42原第4448号(昭和43年2月23日付け43原第1047号、昭和43年3月13日付け43原第1407号および昭和43年3月25日付け43原第1593号をもって一部訂正)をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 東京電力株式会社福島原子力発電所原子炉施設の変更(低濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却の沸騰水型熱出力2,380MWの原子炉1基の増設)に関し、同社が提出した変更の許可申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準に適合しているものと認める。

 なお、各号の基準の適合に関する意見は別紙のとおりである。

別紙

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準の適合に関する意見

(平和利用)
1 本変更に伴ない設置される原子炉は一般電気事業を営むために用いられるものであって、平和の目的以外に利用されるおそれがないものと認める。

(計画的遂行)
2 本変更は、「原子力開発利用長期計画」に定める方針にのっとっており、将来のエネルギー供給の安定を図る上で十分な意義を有するものと考えられるので、この原子炉の設置がわが国の原子力開発および利用の計画的な遂行に支障をおよぼすおそれがないものと認める。

(経理的基礎)
3 本変更に必要な資金については、自己資金、外資借入れ、日本開発銀行を含む国内金融機関からの借入れ等により調達する計画になっているが、その計画内容からみて調達可能と考えられるので、原子炉の設置変更をするために必要な経理的基礎があるものと認める。

(技術的能力)
4 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり、この原子炉の設置変更を行ないその運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるものと認める。

(災害防止)
5 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり本変更は核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物または原子炉による災事の防止上支障がないものと認める。

 なお、原子炉安全専門審査会答申は資料を参照のこと。
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