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原子力特定総合研究のすすめ方について


原子力委員会
昭和42年9月14日

 原子力委員会は、本年4月13日に改訂した「原子力開発利用長期計画」において、特定の研究開発課題につき、原子力特定総合研究としてこれを推進することとした。

 これは、原子力開発利用の各分野における多くの研究開発課題のうち、関連する分野が広く、これらの分野を総合してすすめることにより、大きな効果が期待される研究課題、または、わが国の原子力開発利用を一段と進展せしめうる開発課題について、政府の調整または計画のもとに、関係各機関あるいは民間企業が協力し、分担を明確にして推進するものである。

 原子力特定総合研究の推進方策については、原子力開発利用長期計画において明らかにした基本方針に基づき、下記の要領により推進するものとする。

(1)原子力特定総合研究の指定
 原子力委員会は、専門部会等で提案された研究開発課題の中から
1 原子力開発利用の推進上きわめて重要であり、かつ、緊急性の高いこと。 または、先導的もしくは波及的性格を有し、その成果が原子力の利用技術および産業技術の向上に著るしく寄与すること。

2 研究開発に多額の資金および長期間を要し、政府の果たすべき役割が大きいこと。

3 研究開発の目標を設定することが可能であり、その達成について技術的見通しのあること。

4 研究開発機関の機能を調整し、総合的な協力体制のもとに、分担を明確にして実施することが効率的であること。
の各要件を備えている課題を選定し、財政資金の投入とその効果を評価したうえで、特定総合研究として指定する。

(2)基本計画の策定
 原子力委員会は、専門部会の報告等を尊重して、指定した計画毎に、次の事項を明らかにした基本計画を定めるものとする。
1 研究開発の目標および内容
2 研究開発体制
3 計画期間
4 所要経費
5 計画実施結果の評価方法
(3)研究開発の実施
(イ)運営会議
 原子力局は、計画毎に、各実施機関の関係者、学識経験者および関係行政機関の職員からなる運営会議を定期的に開催するものとする。

(ロ)実施計画
 運営会議は、原子力委員会の定めた基本計画に基づき、毎年度、研究開発業務の内容、機関毎の分担、所要資金見積り等を明らかにした実施計画を定めるとともに、計画実施に関して、必要な連絡と調整を行ない計画の推進を図るものとする。

(ハ)工業所有権の取扱等
 計画実施に伴って発生する工業所有権の取扱、財産の管理等に関する基本的事項については、原子力委員会が別途定めるものとする。

(ニ)計画の変更等
 原子力委員会は、計画内容、研究開発体制、終了時期、所要経費の見積り等に重大な変更を要するときは、基本計画を変更するものとする。
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