前頁 |目次 |次頁

食品照射研究開発の推進について


原子力委員会
昭和42年9月21日

 原子力委員会は、昭和42年7月6日食品照射専門部会から、食品照射研究の推進方策に関する報告書の提出を受けた。

 当委員会としては、食品照射の研究開発の重要性にかんがみ、その早期実用化を目途として次の方針によりこれを推進することとする。
1 食品照射の研究開発は、食品の損失防止、流通の安定化等国民の食生活の合理化に寄与するところが大きく、かつ、広範囲な分野の研究を結集する必要があるので、食品照射専門部会の報告を尊重しつつ、関係各機関の協力のもとに原子力特定総合研究として計画的に推進することとし、別に定める食品照射研究開発基本計画に基づき実施するものとする。

2 これに伴い、食品照射専門部会は解散するものとする。

食品照射研究開発基本計画

原子力委員会
昭和42年9月21日

 食品照射の研究開発は、次に示す基本計画に基づき実施するものとする。

1 研究開発の目標

 食品照射の研究開発は、国民の食生活の改善に著しく寄与し得る食品を対象として、食品としての適正および照射効果等を確認することにより、適正な照射線量を把握するとともに経済的な照射技術を確立し、その実用化の見通しを得ることを目標として推進するものとする。

2 研究開発の内容
(1)発芽防止を目的とする馬鈴薯、玉ねぎの食品照射については、昭和42年度から3年計画として、また、殺虫および殺菌を目的とする米の食品照射については、昭和42年度から5年計画としてそれぞれ毒性試験、栄養成分の変化に関する研究、衛生化学的研究等食品としての安全性および健全性に関する研究を行ない、かつ、照射効果の研究を行なうものとする。

(2)主として殺菌を目的とする畜産物、水産物等の食品照射については、別途6品目程度を指定して研究開発を実施するものとする。

(3)これと併行して包装材、線源工学、微生物殺菌等の研究を行なうものとする。
3 研究開発の体制
(1)食品照射研究運営会議の設置
 この研究開発を円滑に実施するため、原子力局に各実施機関の関係者、学識経験者および関係行政機関の職員からなる食品照射研究運営会議を設けることとする。

(2)共同利用施設の設置
 研究開発の推進に必要な大量照射施設については、昭和45年度より稼動することを目途に関係機関の共同利用施設として設置することとする。

 なお、設置機関、設置場所、施設の規模および内容等については、上記運営会議で検討を進めるものとする。

(3)国際協力
 ENEAの食品照射研究計画については、研究者の派遣、情報交換等を行ない、その成果の活用を図るものとする。

(4)研究開発の分担
 研究開発の関係各機関の分担は、原則として次のとおりとする。
(イ)農林省所属研究機関は主として照射効果を把握するための予備的研究および貯蔵試験を行なう。

(ロ)厚生省所属研究機関は主として毒性試験、栄養成分の変化に関する研究および衛生化学的研究を行なう。

(ハ)通商産業省所属研究機関は主として包装材の研究を行なう。

(ニ)日本原子力研究所高崎研究所は主として照射技術の開発を行なう。

(ホ)理化学研究所は主として微生物殺菌に関する研究を行なう。

(ヘ)大学および公立研究機関には主として基礎的な研究を期待する。
4 所要経費

 研究開発は、昭和49年度完了を目途に行なうとともに、所要経費は共同利用施設の設置に関する経費を除き、約7億円とする。

5 計画実施結果の評価

 3の運営会議は、原子力委員会が毎年度関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積りおよび配分計画を決定する際ならびに計画が終了する際、それまでの研究成果の評価を行ない、その結果を原子力委員会に報告するものとする。
前頁 |目次 |次頁