前頁 |目次 |次頁

日本原子力研究所のOECD、
ハルデン計画への加盟について



 日本原子力研究所はかねてからJPDR-Ⅱ計画を円滑に遂行するため、計装燃料その他に関する技術情報の入手、燃料照射試験の実施等を目的としてOECDのハルデン計画(1967~1969年)に参加すべく諸準備をすすめていたが、去る5月31日付でハルデン計画運営会議においてその加盟が承認された。

 日本原子力研究所は、現在JPDR-Ⅱ燃料4体をハルデン炉において照射する計画を立て、うち2体は本年7月から炉に電荷すべく、現地で準備が行われているが、他の型の燃料についても、照射試験が検討されている。

 なお、加盟費は計144,000千円で、3ヵ年分割支払をすることになっている。

 OECEハルデンプロジェクト協定書(1967年1月1日~1969年12月31日)は以下のとおりである。

OECDハルデンプロジェクト協定書
(1967年1月1日~1969年12月31日)

 ノルウェー原子力研究所(Norwegian Institutt for Atomenergi)(以下「研究所」(Institutt)という。)、オーストリア原子力研究有限責任会社、(Osterreichisehe Studiengesellsehaft fur Atomenergie GmbH)、デンマーク原子力委員会(Danish Atomic Energy Commission)、フィンランド原子力委員会(Finnish Atomic Energy Commission)、ドイツ産業グループ(ドイツ科学開発省との協定により業務提携しているSiemens-Sehuckertwerke AG,Allgemeine Elektrizitats-Gesellschaft(AEG)およびNuklear-Chemie und Metallurgie GmbH(Nukem)の3社から成るグループ)、イタリー原子力委員会(Italian Comitato Nazionaleper I'Energia Nucleare)、日本原子力研究所(Japan Atomic Research Institute)、オランダ原子炉センター(Reactor Centrum Nederland)、ストックホルム原子力研究所(Aktiebolaget Atomenergi in Stockholm)、スイス連邦政府(Government of the Swiss Confederation)および英国原子力公社(United Kingdom Atomic Energy Authority)(以下「各加盟者」(Signatories)という。)は次の事項を考慮して下記の協定を締結した。

 考慮事項
(1)ハルデン沸騰水炉の協同運転に関する1958年6月11日付の協定、同協定を延長並びに修正した1960年6月14日付の協定、1963年1月1日から1964年6月30日までの期間にわたるOECDハルデンプロジェクトの協定、および1964年1月1日から1966年12月31日の期間にわたるOECDハルデンプロジェクトの協定に従って、1958年1月1日以降、ハルデン重水沸騰炉は、ENEA協同事業として運転されてきた。

(2)上記諸協定の履行に伴なって、炉力学(静力学および動力学)、水化学、炉心計装開発、燃料エレメントの長期試験、および燃焼度物理学の面での諸計画が実施されてきた。

(3)研究所は、ハルデン炉を使用して行う3ヵ年にわたる協同計画(燃料の高熱発生率、炉心計装、トルウムの物理的および燃料科学的、水化学、燃料エレメント試験、および炉のオン・ラインデジタルコンピューターによる制御の分野での研究開発を内容とする)に参加するよう他の各加盟者を招請した。

(4)各加盟者は、上記計画に技術財政両面で参加する意向を表明した。

(5)この計画に必要な費用総額は5,300,00OE.M.A.u/a(European Monetary Agreement units of account)と見積られている(この総額の内訳案を本協定書添付書類Ⅰに示す)。

(6)ハルデン炉の運転は、その所有者である研究所の責任において且つ関係諸法規ならびに諸協定に従って行われる。

協定事項

第 1 条

 各加盟者は、本協定書の各条項に従い、本協書添付書類Ⅱに示す計画案ならびに炉の運転条件にもとづいて、1967年1月1日に始まる3ヶ年間のハルデン炉使用協同計画を推進する。

第 2 条

(a)各加盟者から各々一名ずつ選任される委員から構成される運営会議(Board)(以下「ハルデン運営会議」(Halden Board of Management)という。)は以下のことを行う。
(i)協同研究開発計画を1年ごとに承認すること。
(ii)協同研究計画に関する支出予算を1年ごとに承認すること。
(iii)協同計画の実施により生じた特許権に関する規則、特に各加盟者が当該特許権の通常実施権を取得するための条件を決定すること。
(iv)研究所又はハルデン計画グループにより運営会議に提起されるその他一切の問題を処理すること。
(b)ハルデン運営会議は毎年議長及び副議長の選任と運営規則の制定を行わねばならない。

 会議は少なくとも年に2回開かれ、原則としてENEAの本部において、議長によって招集されねばならない。

 投票権の50パーセントを代表する委員から文書による要請を受理したときは議長は2週間以内にハルデン運営会議を招集しなければならない。

 ENEAの代表は助言者としての資格においてハルデン運営会議に出席することができる。

(c)ハルデン運営会議は作業の一般的進行状況をENEAの運営委員会(Steering Committee)に随時報告しなければならない。

(d)ハルデン運営会議の議決は、投票総数の2/3以上の多数決による。各委員は1票の投票権を持つが、研究所選任の委員は2票の投票権を持つ。

 また保険に関する決定、安全性に関する決定或は本協定期間満了後の原子炉ならびに付属設備の利用に関する決定については研究所選任委員の同意を要する。

第 3 条

(a)各加盟者から一名宛選出される高級技術専門家から構成される委員会(以下「ハルデン計画グループ」(Halden Programme Group)という。)は、作業の遂行、特に協同計画の作製にあたってハルデン運営会議を補佐し、且つ研究所による協同計画の実施を監督する。

(b)ハルデン計画グループは特に次の事を行う。
(i)協同計画の実施あたり研究所が締結する50,000E.M.A.u/a以上の契約の承認。
(ii)協同計画に従事し、協同予算から給与の支払をうける科学者および技術者の雇用条件の承認。
(c)ハルデン計画グループは毎年、議長及び副議長を選ぶ。

 会議はグループの必要に応じて開かれるが、少くとも年に4回、原則としてハルデンにおいて、議長によって招集されなければならない。

 議長は投票権の50%を代表する委員から文書による要請を受理したときは2週間以内にハルデン計画グループの会議を招集しなければならない。

 ENEAの代表者は助言者としての資格でハルデン計画グループの会議に出席することができる。

(d)ハルデン計画グループの議決は投票数の2/3の多数決による。各委員は1票の投票権を持つが、研究所から選任された委員は2票の投票権を持つ。

第 4 条

(a)研究所はハルデン計画グループと協議し、ハルデン運営会議が承認した計画及び予算の範囲内で技術上、運営上の作業実施に当る。

(b)研究所が指名し、ハルデン運営会議によって承認されたプロジェクト・マネージャーは助言者としての資格でハルデン運営会議の会議に出席し、且つハルデン計画グループの会議にも出席する。

 プロジェクト・マネージャーは共同計画の実施に関する一切の情報を要求に応じて提出しなければならない。

(c)科学者および技術者は各加盟者の同意を得て研究所が任命し、その配属は研究所の裁量に委ねられるものとする。

 研究所は全職員に関し彼らの業務の遂行中および遂行より生ずる一切の作為不作為の行為についてすべての面で責任を負う。

(d)各加盟者は原子炉及び附属施設に研修生を送ることができる。

 各加盟者は研修生に対する報酬支払いの任を負う。

 研究所は、研修生の人員に関するものを含む研修生受入規則を作製しハルデン運営会議の承認を得なければならない。

第 5 条

(a)3ヶ年間5,300,000E.M.A.u/aを限度とする協同計画実施のための費用は各加盟者が負担するが、その各国別分担額は本協定書添付書類Ⅲに示される通りである。

 第6条の規定による場合を別として、本計画実施のための各加盟者の分担額は上記添付書類に示される金額を限度とする。

(b)研究所は、毎年前年度の会計を含む報告書と次年度の計画案及び予算案を作製し、これにハルデン計画グループの意見書を付してハルデン運営会議に提出しその承認を得なければならない。

 研究所は、協同計画の実施に関する費用の予算及び会計報告を記載するための書式をハルデン運営会議に提出しその承認を得なければならない。

 上述の計画案及び予算案は当該年度の始まる2ヶ月前までに、また報告書は当該年度の終った後3ヶ月以内に提出されなければならない。

 会計年度は1月1日から12月31日までとする。

(c)ハルデン運営会議は年度予算を当該会計年度の始まる30日以前に承認しなければならない。

 運営会議は最初の年度予算を1967年2月1日までに承認しなければならない。

(d)上記の承認が行われた後、各加盟者から支払われる分担金は運営会議が決めた期日に研究所に払い込まれ、共同計画実施のために割り当てられる。

(e)研究所はハルデン原子炉及び附属施設の運転に起因して発生する訴訟、苦情、代金、費用の一切について全ての責任を負うものとし、他の各加盟者が債務を負うかもしれないこれら一切の訴訟、苦情、代金、費用に関し研究所は他の各加盟者を免責するものとする。

(f)ハルデン運営会議と研究所の間に特別な合意がなされている場合を除いて、協同計画及び予算にもとづいて研究所が取得したすべての資産は本協定期間満了時に研究所に帰属するものとする。

第 6 条

(a)本協定にもとづき燃料エレメント試験の委託を希望するすべての加盟者は以下の責任を負う。
(i)依頼する試験が安全に実施できることを研究所になっとくさせること。

(ii)燃料の供給、必要な一切の計装を含めた燃料エレメントの選択及び加工、およびプロジェクトへの引き渡しまでを行うこと。

(iii)試験終了後、照射後試験を実施する場所までエレメントを輸送し、且つ照射後試験を行なうこと。
(b)当該加盟者は、照射後試験の結果および、その実験結果を正しく理解するに必要な一切の情報をプロジェクトに対し報告しなければならない。

(c)本条(a)項及び(b)項に関して発生する一切の費用は当該加盟者が負担するものとし、協同計画の資金をこれに充当してはならない。

第 7 条

(a)研究の成果、および第6条(b)項にもとづいて各加盟者から提供される情報も含めて、ハルデン原子炉の運転と共同計画の実施によりえられたすべての情報は各加盟者に通知される。

(b)研究成果、及びこのようにして得られた情報は、ハルデン運営会議の指示に従い、各加盟者への報告書として頒布される。

第 8 条

(a)本協定は1967年1月1日から3ヶ年間で終了する。もしこの期間中に添付書類Ⅱに示される計画の実行が疑わしくなった場合には、各加盟者は協議して、実状を確かめなければならない。

 特にどの程度まで、且つどんな条件の下で計画達成が可能であるかを検討しなければならない。

(b)他の団体は各加盟者全員の同意、およびこれら全員により定められた諸条件に従って、本協定に加盟することができる。

(c)研究所は、ハルデン運営会議の承認をえて、協同計画の推進のために各種の協同協定を締結することができる。

 この種の協定には特に、情報交換、科学者、ならびに技術者の交換およびハルデン運営会議ならびにハルデン計画グループの業務に関する協力を目的とするものを含むものとする。

添付書類Ⅰ

総支出予算内訳

添付書類Ⅲ
分担金

各加盟者の分担金

TENTATIVE REACTOR TIME SCHEDULE 1967-69

前頁 |目次 |次頁