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ENEA運営委員会報告



 第30回ENEA運営委員会は1966年11月17日パリにおいて開催された。以下議題にそって、その概要を報告する。

 なお、アイルランド、トルコを除く16加盟国及び3準加盟国のほか、ユーラトム、IAEAの代表が参加した。我国からは、在仏大使館一等書記官福永博が出席した。

1 議題の採択
 議題の採択は、原子力船研究グループを第8項として追加し採択した。

2 1966年度議長副議長選出
 1966年の議長として、スイスのHochstrasser副議長として、ドイツ連邦共和国のCartellieriと、デンマークのH.H.Kochが選出された。

3 第29回会議議事録承認
 同議事録は承認された。主な進展項目は次のとおりである。
A 西欧における原子力の長期的役割
 動力炉特性に関する研究グループの第2次報告書は、OECD協議会により承認され、公表された。

B 原子力分野における科学ドキュメント播布
 連合王国は、同国立科学技術貸出図書館が、試験的に、ヨーロッパ播布センターとしてサービスすることを提案した。しかし、これは、終局的に独立センターを設立しようというものではなく、加盟国の負担を要求するものでもない。同提案はOECD科学技術情報政策のad hocグループへ提出される。

C 放射性夜光塗料塗布の時計に対する放射線防護規準
 本規準はOECD理事会により承認された。

D 放射性廃棄物
 6月に本問題に取組み、9月には第一回の実行グループ会議が開催された。同会議開催により、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、ノールウェー、連合王国は出席して、興味を示し、また、イタリア、スウェーデン、スイス、トルコは出席したが、最初は参加する意向がないこと、一方、スペイン、ポルトガルは管理手続きについて関心があること、が確認された。

 同実行グループはENEA参与としてLep運輸会社の任命を勧告した。これで、加盟国ENEA、Lepが協議することになった。実行グループは、1967年初めに会議を開き、計画概要を作製することになっている。

 一方、1967年3月か4月、リスボンにおいて専門家会議が開催される予定であるが、この会議が成功すれば、国際的投棄事業が開始される。

E ENEA計算機コードライブラリー及び中性子データ編集センター
 1967年度予算について、各委員会において再検討が行われ、改訂案は、態度保留の国もあったが、一般に受容された。事務局長は、予算委員会の雲行きでは、ライブラリー及びセンターの運営について難色が示されることを考え、同委員会のメンバーに、ライブラリー及びセンターの特殊な予算上の立場を認めるよう要請した。
4 アイソトープ発電機
 事務局長は、新提案を行い、コンパクト型発電機に関する計画を除き、研究グループ憲章案を修正したことを示した。

 スイス、ポルトガル、オーストリア、オランダ、連合王国、ドイツ、スウェーデン、スペイン、デンマーク代表は、同計画に関心を示した。

 オーストリア、スウェーデン、デンマークは、主に、アイソトープ電池に、また、連合王国は、地上用発電機に興味を示している。

 合衆国は、「ad hoc」ベーシスで、研究グループに参加することを表明している。

 フランス、連合王国、イタリア、ギリシアは、本計画に予算を計上することが出来ないことを考え、研究グループを、研究の交換及び調整の場にすることを提案した。

 スペインは、研究グループに対し、場所と援助を申し出た。

 オランダは、計画の優先順位を変えること、つまり、第一に応用範囲、第二に安全問題、第三に、原型の特性及び運転の定義、最後に、特定のプロジェクトについての研究を行なうことを提案した。

 IAEA代表は、1に情報交換、2に保健安全について関心を示した。

 予算の伴わない研究グループは、IAEAのCost−freeの研究契約に関する研究グループと似ており、ENEA事務局は、IAEAと連絡されたい旨申し出た。

 同事務局長は、参加国が限られているので、IAEA関与の問題とはなり得ないとし、スペインの申し出に謝意を表し、その問題について再検討したい旨明らかにした。

 各国によって示された意見提案を聴取し、本委員会は、関係国が何らかの寄与を行うことによって同計画を行なうつもりか否か、また研究グループが、同関係国間の研究を調整し得るか否か、関係情報交換を組織化し得るか否か調査するよう事務局へ要請した。

5 熱イオン分野における国際協力
 事務局長は、MHD発電においてそうしたように、連絡グループを結成し、年に一度か二度会合を持つよう強調した。

 連合王国及びギリシア代表は、このような連絡グループ会議には、OECD非加盟国及びIAEAからの専門家をオブザーバーの形で招聘し、行政機能には加えるべきではない旨述べた。

 更に連合王国は、MHD、熱イオン、アイソトープ発電機は、同一人が関係している国があるので、それらの連絡会議は、続けて行なってほしい旨述べた。

 IAEA代表は、IAEA総会において、ポーランド代表から、1968年のMHD国際会議をワルシャワで開催するよう申し出を受けている旨報告した。

 このような会議は両機関が共催すること、また、1968年に開催されるべき熱イオン国際会議の問題があるが、後者の会議開催には関係出来ないことを述べた。

 しかし、IAEAも同問題に関する地域的関心は充分に認めている。

 ギリシア及び連合王国代表は、ワルシャワ開催は適当ではない旨述べた。

 本委員会は、熱イオン連絡グループの設置を承諾した。

 IAEAはオブザーバーとして参加する。

 熱イオン、MHD、アイソトープ発電機連絡会議及び研究グループは、可能な時はいつも連続的に行われる。

 また、本委員会は、加盟国外で行われる会議には主催も共催もすべきでないことを決定した。

6 本機関の第8次事業報告
 本報告書は、1月、ノールウェ一産業省によって行われるヨーロッパ理事会協議会に提出される。

 本報告書は、原則として承認された。

7 欧米委員会二年報告

8 原子力船研究グループ
 スウェーデン、イタリア、連合王国代表は、最後の研究グループ開催以後、造船技術が進歩し、大コンテーナ船の原子力推進の可能性を検討する時期が来たことを述べた。

 同研究グループの目的は、関係専門家間の情報交換を鼓舞することである。

 事務局長は、OECDの海運委員会に対し、本研究グループへ、経済上の資料を提供するよう要請し、造船経験を持つ国に対し、原子力の船舶推進の可能性及び利益についてアドバイスを与えるよう要請した。

 事務局は1967年春開催予定の会合に資料を提出することが出来よう。

9 その他
A ENEA核データ編集センターとIAEA核データ室の関係
 1年前、本委員会は、両者間のデータ交換の原則を承認しており、1年後に両者協力の実績を査定することに同意していた。

 同センター委員会
は、この問題を検討し、この交換事業は最近益々活発になっているが、今後の1年間、どうするかの判断を下すには時期尚早であると思われる、と述べている。

 連合王国は、1967年5月、本問題を、1967年6月あるいは11月運営委員会の議題に載せることが出来るか否か決定すべきであると提案した。

 事務局長は、代表団と協議し、これらの関係を再検討する適当な時間を、本委員会の6月あるいは11月にするかを考慮するよう要請された。

B 会議議事録
 事務局長は、OECD理事会及び実行委員会の議事録を除き、他の全委員会レポートは、結論及び決定事項の概要のみとすることに注意を促した。

 ただし、科学技術的討議の場合、この規則の適用にある余裕を与えることとする、ことを確認した。

C 次期会合
 1967年6月前半とする。

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