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ENEA運営委員会報告



 ENEAの運営委員会は6月9日パリにおいて開催された。以下議題にそって、その概要を報告する。

1 議題の採択及び議長の選出
 議長に前回同様スイスのHochstrasser教授を選出したあと、事務局長Saeland氏より前回会議以来の経過説明があった。議題採択においては、1967年度ENEA予算案の審議を繰上げて審議することとしたほか、とくに異議はなく、原案のとおり承認された。

2 前回議事録の承認
 昨年11月パリで開催された前回運営委員会の議事録を承認した。

3 西欧における原子力の長期的役割について
 1964年11月に本課題に関する作業グループが設立され、将来の核原料物質需給見通し、長期エネルギー需要、動力炉設置構成等について検討することとなった。

 今次運営委員会には、昨年8月に発行された「世界のウラン及びトリウム資源」について、各種動力炉特性に関する第一次報告の草案が提出され、運営委員会は、Study Groupの作業継続と本件報告の刊行を承認した。

4 アイソトープ発電器に関する作業グループの設置について
 昨年11月の運営委員会において、本件課題について、作業小グループを設け、作業グループの業務計画、予算見積をたて、機構、運営規則についての案を作成することとなった。

 今次運営委員会には、上記小グループが作成した報告が提出され、作業グループの設置、その運営規則、作業計画及び予算について承認が求められ、審議の結果、事務局が、参加国の誓約をとりまとめるべきであるという議論を念頭におき、小委員会は、その報告を再検討することとして、作業グループの設置については次回運営委員会で決定することとなった。

5 アイソトープ発電器に関する情報センター
 現在公表されているアイソトープ発電器に関する情報を収集、頒布することにより、アイソトープ発電器の研究開発に役立てようという目的で、当情報センターを、当初試験期間として一年間だけ設立する旨の案が提出された。

 この目的のため、フランスは、職員提供とサクレー原子力研究所の一部使用を申出ており,一年の試験期間については,何ら出費をともなわないことになっている。

 これに対し、ドイツ代表から現在すでに存在するアイソトープに関する情報センター(ユーラトムの情報資料センター)と重複するのではないかと発言があったが、アイソトープ発電器は特殊の分野であり、サクレー原子力研究所の職員及び施設の提供もあり、一応一年という期間を限って試験的に活動してみることになった。

6 1967年度ENEA予算について
 事務局より、1967年度ENEAの予算案が提出された。それによると、1967年度予算は、総額3,277,000フランで1966年度予算に比べ10.9%増になっている。これは1966年度の1965年度に対する増加率がマイナスであったため、見掛上大きくなっているもので対1965年度の比率でみると8%増であり、国際機関の予算増加率としては、きわめて妥当なものであると考える旨事務局より説明があった。

 これに対し運営委員会においては、さらに予算を効率的に運用してゆくよう要望があった。

 本予算案については、さらにOECD理事会の承認を求めることになっている。

7 原子力分野における科学資料の頒布について
 昨年11月の運営委員会設立が決定された、作業グループは、米国における原子力情報センター(Clearinghouse)の設立、原子力委員会による原子力資料配布の停止に対処して、西欧における原子力資料の配付について検討を行なった結果、欧州センターの設立を提案した。

 このことに関しては、米国の強い要望もあり、また、英国のOECDのアドホックグループ意見も聞くべきだとの提案もあり、作業グループを開催し、再度次回運営委員会に提案することになった。

8 放射性時計文字盤に関する放射線防護基準について
 本課題については、今次運営委員会には、上記ENEAおよびIAEAの合同専門家グループ作成の基準草案が提出を受け、これを承認した。

 なお、本基準案については、IAEAの9月理事会への提出が予定されている。

9 放射性廃棄物の大西洋投下実験について
 標記課題に関する専門家からなる委員会の報告が提出され、この報告にそって、放射性廃棄物の大西洋投下実験計画が実施さるべきこと及び計画への参加国が全予算を分担すべきことを運営委員会が承認するよう求められた。

 これに対し、運営委員会においては、各国代表から、原則的には異議ない旨の表明があったが、ポルトガル代表より、漁業及び観光との関連において、投棄実験実施の公表にあたっては、時期等を慎重に検討して欲しい旨要望があり、西独代表は、現在同国が行なっている海洋調査の結果が年末か明年早々でるので、それまで実際投棄はおこなうべきでない旨発言した。

 結局、運営委員会は、専門委員会報告を承認し、実際の投下実験は、西独の海洋調査結果がでるまで行なわず、これの公表は、慎重に行なうこととし、加盟国と協議のうえ、ENEAがおこなうこととなった。

10 ENEA関係会議開催状況
 すでに承認されている会議開催の進捗状況について運営委員会の了知を得、今後予定されている会議について原則的承認を求められ異議なくこれを承認した。

11 ENEA計算機プログラムライブラリーについて
 本課題はENEA計算機プログラムライブラリーの将来計画及び1967年度予算案について審議するもので、運営委員会に先だち、2月及び5月にライブラリー委員会において検討しており、その結果を今次運営委員会に報告している。その報告において、ライブラリー委員会は次の諸事項を運営委員会が承認することを要望している。

(i)ライブラリー事業の継続
(ii)ライブラリー事業の財政等の3ヵ年方式は、今後単年度方式に改める。
(iii)ライブラリーは将来も拡大継続してゆく価値を認めるが、この拡大は除々に行なうべきである。
(iv)1967年度予算は、総額1,498,000フランとする。
(1966年度は651,900フランで、主要増加額は、職員の増員及び計算機借料の増大によるものである。)
 運営委員会においては、各国代表とも、ライブラリー事業の意義を認め、ライブラリー運営を単年度方式に改めることを含めて、ライブラリー委員会の報告を承認したが、予算については、再度ライブラリー委員会で検討することとなった。

 同時に1968年度以降の予算増加割合の見通しについてを検討することになった。

12 ENEA中性子データ編集センターについて
 本課題は、ENEA中性子データ編集センターの将来計画及び1967年度予算案を審議するもので、センター委員会の承認を得ている事務局原案が提出された。それによると、センターの将来計画及び1967年度予算案として次の提案がおこなわれている。
(i)センター活動の継続
(ii)センター運営の3ヵ年方式は、単年度方式に改める。
(iii)センターの拡大は除々に実施する。
(iv)1967年度予算は、総額1,967,250フランとする。
(1966年度予算は1,504,850フランであり、主要増加分は、職員の増員及び計算機借料の増大によるものである)。
 運営委員会においては、センター活動の継続、運営の3ヵ年方式を単年度方式への改正等について承認したが、30%増加の予算案については、センター委員会を開催して検討することとし、7月末迄に結論を出すことになった。

13 ENEAの第7次年報の欧州議会諮問会議への提出にともなう提案について
 第7次年報を諮問会議で審議した際、ジーシーセントラル、ダンジネスB発電所等に関して、すでに発表されている資料をENEAは、編集すべきである旨要望された。

 これに対して、運営委員会において、英国代表は、原子力発電所の経済的比較は商業ベースにぞくすることでもあるのでENEAが直接実施すべきではない旨発言したが、この提案は、比較ということではなく、単に資料を提供することであるということで、結局事務局が、政府当局に欧州議会への資料提供ということで要請を行ない、運営委員会での一般的留保を議会に通報しておくこととなった。

14 その他
 事務局長から、ハルデンの運営委員会がハルデン計画の第6次年報を提出した旨報告があった。これは現在印刷中であり、まもなく各国に配布されることになっている。

 次回運営委員会は、11月17日に開催予定である。
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