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IAEA 6月理事会報告



 IAEA6月理事会は、6月14日から17日までウィーンで開催された。以下議題をおってその概要を報告する。

1 第10総会仮議題について
 9月21日からウィーンで開かれる、第10総会の仮議題について審論の結果、一般討論、理事国の指定、予算案の審議等通常の議題のほか、保障措置、緊急援助協定等が審議されることになった。

2 1965年度IAEA会計報告
 1965年度IAEAの会計監査報告について、理事会に先立って開かれた予算行政委員会における、経常予算項目内での予算流用を5,000ドル以内の範囲で認める権限を事務局長に与えるべきであるとの監査報告を事務局で再検討し、理事会に別途案を提出する旨の報告書を、今理事会は承認し、別途事務局案の提出を待って結論を出すこととなった。

3 1966年度IAEA予算について
 IAEA事務局の職員給与の増額497,000ドルについて、そのうち、322,000ドルを事業予算から1966年度経常予算にまわし、残額175,000ドルは事務局の経費節約によるものとするという決議案を理事会が第10総会に提出するという趣旨の報告を、予算行政委員会から受け、理事会はこれを承認した。

4 1967〜68年度事業計画及び1967年度予算
 事務局案に対し、予算行政委員会において、医学及び公衆衛生に関するもので、WHOと協力するものについては費用を同機関と分担すべきであること、2年度計画の総括には事業計画の当面のねらいと方針を示すべきこと、関連する国際会議はできるかぎり統合するよう配慮することなどの意見が出され、これらの意見をとり入れて事務局の最終案を作成するようにという勧告が予算行政委員会より理事会に提出されたが、理事会はこれを承認した。

5 1965〜66年度理事会年次報告
 第10総会に対する理事会の年次報告において、1965年7月1日から1966年6月30日までのIAEAの活動を報告するが、この報告は、事業計画にそって作成されているもので、理事会はこれを承認した。

6 IAEA事業活動に関する年次報告
 1965〜66年度国連総会に対する報告と1966〜67年度国連経済社会理事会に対する報告に関し、両報告を例年にならい理事会の権限により提出することとする旨の総会による決議を求めるためのものであり、理事会はこれを承認した。

7 国際間機関との関係
 第10総会への出席を招待する国際間機関について、ユーラトムの招待にはソ連が反対したが、例年どおり、ユーラトム、コメコン、セルン等10機関に招待状を出すこととし、理事会は承認した。

8 1966〜67年度理事国の指定
 第10総会直後から1年間の任期をもつ総会選出理事国の改選を行なったもので次の13ヵ国が選出された。
 アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、フランス、インド、日本、南ア、ソ連、英国、米国、ベルギー、ポーランド、デンマーク

 なお、南アの選出に対しては、政治的理由により、いくつかの国から反対の意見も出されたが、地域先進国を選出するという憲章の精神から、多くの国の支持を得た。

9 放射性物質安全輸送規則の改訂
 1964年安全輸送改訂規則のうち、大放射線源の安全輸送容器に関連した部分の改訂について、2月に開催された専門家パネルの案を細部の字句修正のうえ、承認した。

10 保障措置
(1)英国の原子力施設への適用
 英国のブラッドウェルにある2つの動力炉へのIAEAによる保障措置適用に関する協定案が承認された。なお、この協定は、IAEAの新規則作成後、単独国の要請にもとづく最初の適用である。

(2)保障措置の再処理施設への拡大適用
 本項に関し5月に開かれたワーキンググループの検討結果が報告され、これに基づいて、オランダが提出した決議案を今理事会は暫定的に承認し、2年後には必ずレビューする旨の決議案を若干修正して承認した。

 なお、再処理施設への保障措置適用条項は、現行保障措置規則の付録とし、暫定的性格を強くあらわしたものである。
11 原子炉計画
(1)メキシコに対する燃料供給
 臨界末満集合体のための天燃ウラン2530kgおよび5キュリーの中性子源供給なるメキシコの要請を承認した。

(2)フィンランドに対する燃料供給
 フィンランドの研究炉用20%濃縮ウラン740gの追加燃料供給の要請を承認した。

 なお、両計画とも米国からの供給に対し、IAEAが仲介者となるものである。
12 放射線事故時の緊急援助協定
 2月理事会の決議に基づく統一委員会が5月開かれ、その報告書が提出された。この委員会の目的は、多国間協定の草案および二国間協定のモデルとしての草案を作成し、そのなかのIAEAの役割を明らかにすることであった。

 理事会においては、アラブ連合の協定草案提出という意見と、英国の理事会において結論を出さねばならないが早急に出すことは無理であろうという意見が述べられ、調整の結果、次のように承認された。

 すなわち、事務局長が全加盟国に現在までの進捗状況を配布し、コメントを受けて、これを理事会に通報するように要請するとともに、本件を9月理事会および第10総会の仮議題とする。また第10総会以降の理事会の審議には、統一委員会のメンバーであった国に対し招請を行なうよう要請する。

13 技術援助供与実績報告
 1965年度IAEA技術援助供与の実続の報告を受け、これを第10総会に提出する旨を承認した。

14 科学諮問委員会委員の任命
 2月28日で任期の切れた科学諮問委員会委員について、いままでの7名を10名に、任期を1年から3年に変更し、次の10名を任命した。

 L.Cintra do Prado(ブラジル)、M.A.M.ElGebeily(アラブ連合)、B.Goldschmidt(フランス)、W.B.Lewis(カナダ)、I.Malek(チェコ)、S.Mitsui(日本)、W.Penny(英国)、I.I.Rabi(米国)、H.N.Sethna(インド)、V.I.Spitsyn(ソ連)

15 事務局長の定期報告

16 次回理事会日程
 次回理事会は9月19日に開催されることになった。

17 国際理論物理センター
 予算行政委員会における国際理論物理センターへの1967年度支出の増加に対する疑問案について、理事会は業務監査のため科学諮問委員会による報告書をも受け、審議を行なった。

 事務局は、センター設立2年を迎える今秋までは運営評価は無理であるとし、科学諮問委員会は、センターの研究成果を高く評価する報告を行ない、各国は科学諮問委員会の意見に同調し、事務局案の支出増額を支持した。なお、同センターの存続期間延長の問題についても、財政問題と合わせて、その解決は将来にもちこされた。

18 燃料供給
 インドからの緊急動議による、インド政府へのプルトニウム80g供給の要求に対し、事務局長に必要な手続きを進める権限を与えることとなった。

19 その他
 保障措置の再処理施設への拡大についての審議のあと、南アから、保障措置協定の簡素化について検討の要望があった。
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