東海地区放射線管理協議会発足


 東海村における原子力関係諸施設の拡充にともない、昭和35年2月関係諸機関の連絡を密にするとともに、統一的な放射線管理を行なうため、東海村放射線管理連絡会が設立され、一方事業所間には昭和37年3月東海放射線管理協議会が設立、事業所間の放射線管理に関する共通的な諸問題の検討が行なわれてきた。
 この間昭和38年10月、水戸原子力事務所の開設、原電の商業発電の開始、原研大洗研の建設、原燃のプルトニウムラボの運転開始ならびに原燃燃料再処理施設の計画などが浮かびあがり、現地の問題が多くなるに従い関係機関による協議会の結成の要望が強まってきた。これらの問題点を協議するため、昭和40年12月これ等を統合し、東海地区放射線管理協議会を設立、その協議事項および構成メンバーをあらためて発足することとなった。
 ここに簡単に現在までの経過をふりかえりあわせて協議会の紹介をしたい。

1.東海村放射線管理連絡会の経過について

 この会の構成メンバーは、一部発足後追加されたが、

日本原子力研究所

原子燃料公社

日本原子力発電株式会社

日本電信電話公社

気象庁

茨城県

厚生省

通商産業省

科学技術庁原子力局

からなり、連絡会は委員会、小委員会に分れ、委員会は主に東京で開催、中央での問題ならびに小委員会から要請される諸問題の検討が行なわれ、小委員会は東海村の現地関係者で構成、現地の諸問題、すなわち環境放射能に関する測定、そのデータのまとめ等を中心に技術的な事項の検討が行なわれてきた。
 発足以来、昭和40年12月まで委員会は8回、小委員会は16回を重ね、野外モニタリング組織、緊急時の粗織、測定技術の統一、データの報告等、発足当時の目的は略々達せられてきたといえる。

2.東海放射線管理協議会の経過について

 一方、現地事業所間に設立されたこの会は、各事業所における業務の上に立っての諸問題の検討に主眼がおかれ、その主なる検討事項を上げれば

イ.事故時の問題

ロ.事故時のサーベー訓練

ハ.野外管理の異常値の取り扱い

ニ.施設からの排気等の施設面

ホ.被ばく事故等の披露

ヘ.線量評価の問題

ト.原燃の地質の調査

チ.機器・機材の現有調査

リ.調査団の報告

ヌ.法規の討論

など、業務に密着した問題の検討が行なわれてきた。
 発足以来昭和40年12月までに23回を数え、それぞれの結果が各事業所の業務に反映されてきたことは、大きな成果といえる。

3.東海地区放射線管理協議会の発足について

 このような情勢のもとに、原子力に対する住民の関心も高まり、事業所の拡充にともなう事業所、関係機関の連絡も一段と密にする必要と地域防災計画との関連において、放射線管理についての技術的事項をも含める必要から本協議会が発足、事務局は水戸原子力事務所があたることとなった。
 昭和40年12月1日、その第1回委員会を開催、会の規約、当面の議題等を協議し、次いで12月14日第1回幹事会において、さらに細部にわたり検討、明年1月20日予定の第2回幹事会を皮切りに、いよいよ問題の検討に入る予定である。

4.東海地区放射線管理協議会の当面の議題について

 昭和40年12月1日に開催した本協議会において今後検討することとした議題は次のとおりである。

議題

1.平常時における環境放射能監視組織とその分担に関する事項

(1)各事業所、関係機関の平常時における放射線監視(放射能調査を含む)とその分担について

 (イ)原研の放射線監視、特に大洗研の放射線監視の構想について

 (ロ)原燃の放射線監視の概要、特にプルラボ稼働に伴う放射線監視について

 (ハ)原電炉の運転開始に伴う放射線監視について

 (ニ)国(水戸原子力事務所)および県(県衛生研究所)の行なう放射線管理について

 (ホ)その他の機関の放射線管理について

 (ヘ)海洋調査と海洋放射線監視について

 (ト)その他放射線監視に必要な調査研究について

(2)原研、原燃、原電の要注意線量レベルの設定について

(3)その他

 (イ)年報、PR活動について

 (ロ)放射線管理報告等の提出について

 (ハ)その他(報告会、講演会、関係法規改正打合せ会等の開催)

2.防災業務計画および地域防災計画を基にした事故対策に関する事項(原子力施設の事故時における具体的応急対策)

(1)災害時における各事業所、関係機関の連絡方法について

(2)災害時における各事業所、関係機関の支援体制ならびに動員計画(人員、機器のならびに将来計画)について

(3)警戒線量について

(4)その他

5.東海地区放射線管理協議会規約について

本協議会の規約は次のとおりである。

東海地区放射線管理協議会規約

(会の名称)

第1条 本会は東海地区放射線管理協議会と称する。

(所在地および事務局)

第2条 本会の事務所を水戸市愛宕町2181番地科学技術庁水戸原子力事務所内におく。

2.本会の事務を処理するため、本会に事務局をおく。

3.事務局は科学技術庁水戸原子力事務所とし、事務局長は科学技術庁水戸原子力事務所長とする。

(目的)

第3条 本会は東海地区(大洗地区を含む)における原子力施設周辺の環境放射能の監視および原子力災害の防止等に関して関係諸機関の連絡を密にするとともに、必要な対策を協議し同地区における放射線管理を円滑に行なうことをもって目的とする。

(審議事項)

第4条 本会は前条の目的達成のため次の事項について審議を行なう。

(1)平常時における環境放射能監視組織とその分担に関する事項

(2)放射線管理に関する放射能測定法および測定結果の解析等の技術事項

(3)防災業務計画および地域防災計画を基にした事故対策に関する事項

(4)その他本会の目的を達成するに必要な事項(会議の勧告等)

第5条 本会は前条の審議事項に関し、関係諸機関の分担を定めるほか意見の交換をはかる。

2.本会は関係諸機関に対して、その業務に関し勧告をすることができる。

(会の構成)

第6条 本会は次の委員をもって構成する。

日本原子力研究所安全担当理事

原子燃料公社東海製錬所長

日本原子力発電(株)東海建設所長

茨城県企画開発部長

東海村村長

水戸地方気象台長

水戸原子力事務所長

(会議の招集)

第7条 本会は委員が開催の必要を認めた場合に事務局長が招集する。

(幹事会の構成)

第8条 本会に幹事会をおく。幹事会は次の幹事をもって構成する。

 日本原子力研究所東海研究所保健物理安全管理部長 

 原子燃料公社東海製錬所安全管理課長

 日本原子力発電(株)東海建設所保健安全課長

 住友原子力工業(株)東海研究所長

 第一化学薬品(株)東海研究所長

 電気通信研究所茨城支所長

 茨城県原子力課長

 茨城県防災課長

 茨城県衛生研究所長

 東海村村長

 大洗町町長

 財団法人日本原子力普及センター事務局長

 水戸地方気象台技術課長

 放射線医学総合研究所東海支所長

 水戸原子力事務所長

2.幹事は本会の審議事項について委員を補佐する。

(幹事会の招集)

第9条 幹事会は原則として月1回および幹事が開催の必要を認めた場合にその都度事務局長が招集する。

(規約の改廃)

第10条 この規約は委員の過半数の同意を得て改廃することができる。

(雑則)

第11条 この規約に定めるもののほか、議事の手続その他会議の運営に関し必要な事項は事務局長が会議にはかって定める。

附則

この規約は昭和40年12月1日より施行する。