海外における軽水冷却型舶用原子炉開発の状況およびこれら舶用原子炉の導入の可能性について調査し、もって原子力委員会およびその決定に基づいて設置された原子力船懇談会における原子力第1船建造計画について審議に資するため、科学技術庁原子力局原子力開発機関監理官田宮茂文ほか2名(日本原子力船開発事業団原子炉部開発課長島栄吉および同課主任技師加藤豊、この両名は昭和40年9月13日付をもって科学技術庁調査員に採用された。)は、昭和40年10月3日から同月28日まで、西ドイツ、連合王国およびアメリカ合衆国を歴訪し、これら各国における原子力船開発機関の諸施設を視察するとともに、それぞれの要職にある者と意見交換を行なった(別表「日程表」参照)。 1.米国のBabcock&Wilcox社(B&W)は、西ドイツの原子力船Otto Hahn号原子炉として設計したFDRを改良設計した舶用炉CNSG−J(熱出力36,000kW)を、わが国に輸出する用意のあることを表明した。この炉の製作費概算見積額は、コンテナーおよび艤装の工賃を除き約22,3億円であり、技術的にもわが国原子力第1船に搭載可能とみられるので、原子炉を輸入して原子力第1船を建造する場合には、有力な候補になりうる。 2.米国のAmerican Machine&Foundary社も、舶用炉の制御棒駆動装置の対日輸出の意向を明らかにした。 3.米国政府の舶用炉および技術輸出に関する規制政策については、日本が西独のFDRとほぼ同様な炉を輸入する場合には原則的には問題がない。 4.西ドイツにおいては、GKSS(造船、航海原子力利用協会)が開発の主体となって、1964年6月進水した15,000重量トン鉱石専用船Otto Hahn号(熱出力38MW、最大軸出力11,000馬力)を建造中であり、船殻は上部構造も含め略完了している。原子炉関係も原子炉室の2次遮蔽をすでに施工済であって、11月始めコンテナーを積込む予定となっている。 訪問先および日程表 |