原子力委員会

昭和39年度原子力年報の発表

昭和40年7月27日

 原子力委員会は、わが国における原子力開発の動きを跡づけるため、昭和31年度以降毎年原子力年報を作成し公表してきたが、この度、39年度を中心とする第9回原子力年報を作成し、7月27日の閣議に報告した。
 本年報は、総論および各論から成り、総論(第1章)においては、39年度を中心とする内外の原子力開発の動向を述べ、各論(第2〜8章)においては、原子炉、核燃料・材料、放射線利用に関する研究開発の成果と安全対策、国際協力の分野における施策の進展状況とを述べた。そのうち、主要な動きについて述べるとつぎのとおりである。

(1)京都大学原子炉実験所の研究炉と日本原子力研究所(原研)のJRR−4が臨界に達し、また材料試験炉等の設置される原研大洗研究所が開所されるなど、開発の初期段階に必要な研究施設がほぼ整備された。

(2)日本原子力発電(株)の東海発電所(16万6000キロワット)が完成に近づき、さらにこれにひきつづく原子力発電所建設計画も具体化されつつあって、わが国においても原子力発電の実用化の時期を迎えることとなった。

(3)わが国における動力炉開発の基本的な方向を確立するため、在来型導入炉、新型転換炉および高速増殖炉の開発のあり方について全般的な検討を行なうことを目的として、原子力委員会は動力炉開発懇談会を開催して審議をすすめている。

(4)放射線の利用が一段と普及し、それに対応してラジオアイソトープセンターを設置すべきであるとの従来からの構想が、原研にアイソトープ事業部が新設されたことによって具体化しつつある。

(5)わが国は、経済協力開発機構(OECD)の下部機構である欧州原子力機関(ENEA)に準加盟した。

(6)米国原子力潜水艦のわが国への寄港について、原子力委員会は総合的見解を発表し、またひきつづき寄港地周辺の放射能調査体制を整えるなど、米国原子力潜水艦の寄港に伴う安全の確保に関して万全の措置を講じた。

〔なお、原子力年報の総論は資料に掲げてある。〕