放射線審議会の動き



I 第17回放射線審議会

 第17回放射線審議会総会は昭和40年5月7日、国立教育会館において開催されたが、議題および議事概要は次のとおりである。

〔議題〕

(1)原子力発電所における放射線障害の防止に関する技術的基準の制定について(審議状況)

(2)1962年国際放射線防護委員会勧告について(審議状況)

(3)放射線審議会の運営について

(4)その他

〔議事概要〕

(1)原子力発電所における放射線障害の防止に関する技術的基準の制定について(審議状況)

 通商産業省から諮問のあった「原子力発電所における放射線障害の防止に関する技術的基準の制定について」の審議状況について矢木原子力発電基準特別部会長から報告があった。
 同報告において①原子炉の事故時の性能要求について、②原子炉格納施設の強度についての2つの問題点があるが、①については通産省令には明確に規定されていないので明確にすることとし、②については圧力・温度等の設計の条件を入れる必要があるとの説明があり、このような方針で審議を進めて行くことが了承された。
 また、許容被ばく線量を確保するための施設基準を審議するにあたっての基本的な考え方を審議会において検討してほしい旨の要望があり、これについては審議の結果、ICRP勧告特別部会に審議を付託し、検討を進めることとした。

(2)1962年国際放射線防護委員会勧告について(審議状況)

 田島ICRP勧告特別部会長から、資料第4号に基づいて、同部会における審議状況について報告があった。 同報告において、同部会における審議は、1962年勧告において新たに改正された部分のみについて行ない、新たに改正された部分のうち、わが国の法令に直ちに採り入れることが可能であるものと、直ちに採り入れることが困難であるものがあることが説明され、後者については、同部会としては、現在直ちに関係法令を改正する方向でなく、将来において改正するのが適当であると考えているが、この考え方の適否につき検討して欲しい旨要望があった。
 検討の結果、わが国の関係法令はICRP勧告と合致していないものがあるので、合致させる方向で検討すべきだという意見が大勢を占め、この考え方にそって今後の審議を進めて行くことになった。

(3)放射線審議会の運営について

 事務局から部会を再編成して常設部会は、総括、基本、原子炉、アイソトープ、測定の部会とするという説明があった。これに対し、各部会の所掌事項に関し、総括部会については、審議会の運営方針について審議を行なうことができる旨明確に表現すること、測定部会については、例示が適当でないので、これを改めること等の意見が出された。
 総会、幹事会についてはその性格が不明確であるので、はっきりさせるべきであるという意見が出された。

II 放射線審議会部会の議事概要

1962年ICRP勧告特別部会

第5回

〔日時〕昭和40年5月19日(水)13.30~17.10

〔議題〕

(1)1962年ICRP勧告について

(2)その他

〔議事概要〕

5月7日に開催された放射線審議会総会において中間報告を行なった結果、積極的にICRPの精神を採り入れるという意見が示されたので、本部会はこの線にそって審議を進め、1962年勧告において新たに改正された事項中すでに審議を行なった眼の水晶体に許容される線量、90Srの最大許容濃度、ウランの化学毒性、体内被ばくと体外被ばくの加算の問題等についてまとめた報告書草案について検討を行なった。
 とくに、体内被ばくと体外被ばくの加算の問題については、身体負荷量の概念を現行法体系に採り入れるよう報告することになった

第6回(最終回)

〔日時〕昭和40年5月31日(月)9.40~12.50

〔議題〕

(1)1962年ICRP勧告について

(2)その他

〔議事概要〕

厚生省において検討中であった姙娠可能年令の婦人の職業上の被ばくについての審議結果が報告された。部会は、同報告を採り入れ1962年ICRP勧告(草案)について再検討を加え、放射線審議会総会に提出する最終報告書を決定した。

原子力発電基準特別部会

第5回(最終回)

〔日時〕昭和40年5月21日(金)13.40~17.10

〔議題〕

(1)原子力設備に関する技術基準を定める省令案について

(2)その他

〔議事概要〕

第17回審議会総会における問題点についての意見に基づいて、第1回の検討で問題となった点を主とし、第2回の検討を行なった。その結果、一応結論が得られたので、審議結果を審議会総会に報告することになり、報告案の内容を検討した。