原子力委員会

東海発電所(原電1号炉)の臨界について

原子力委員会委員長談話を発表

昭和40年5月4日


 日本原子力発電株式会社が茨城県那珂郡東海村に建設中であった東海発電所の原電1号炉は、昭和40年5月4日午後2時8分臨界に達した。
 なお、本原子炉臨界に際し、5月4日、原子力委員会委員長から次のような談話が発表された。

原子力委員会委員長談話

 かねて、茨城県東海村に建設中でありました日本原子力発電株式会社の発電用原子炉は、本日臨界に達しました。
 この原子炉は、商業発電を目的として去る昭和36年建設に着手して以来、種々の新しい問題を克服しつつ着々と工事を進め、予定通り臨界に達したことはまことに喜びにたえないところであります。
 本原子炉の設計は、英国から導入されたものでありますが、その建設にあたっては地震対策などわが国の環境事情に適応させるための研究開発の成果が十分におり込まれており、商業発電用原子炉として名実ともにわが国最初のものであるのみならず、その構造上も独自の特色を有するものであります。臨界後、本年中には定格出力運転に入る予定でありますが、今後、本発電所の建設、運転を通じて得られた経験がわが国原子力発電開発の進展に大いに貢献することを期待するものであります。
 本日、この意義ある東海炉の臨界を迎えるに当りまして、関係各位が今日まで数多くの困難を克服しつつ事業の遂行に払われた努力に対し、深く敬意を表するものであります。

       昭和40年5月4日

                原子力委員会委員長 愛知揆一

〔参考〕

燃料装填開始日:昭和40年4月21日

臨界日時:昭和40年5月4日(火)14時08分

臨界量:天然ウラン35,322kg(燃料チャンネル数387チャンネル、燃料棒本数3,093本に相当)

(原子炉の概要)

目的:発電用

原子炉型式:天然ウラン黒鉛減速、炭酸ガス冷却式

熱出力:585,000kW(電気出力最大166,000kW)

設置場所:茨城県那珂郡東海村

設置者:日本原子力発電株式会社

設計製作者:英国GE社

炉心構成燃料体:マグノックス被覆中空円筒型天然ウラン

燃料要素の支持:黒鉛スリーブによる個別支持

燃料チャンネル数:2,048

チャンネル当りの燃料要素数:8

減速材:6角柱黒鉛ブロックの積層

反射材:減速材と同じ

(原子炉設置の経過)

昭和34年12月:原子炉の設置許可

昭和36年3月:工事施行認可(一部)

昭和36年4月:着工

昭和38年11月:原子炉建家の完成

昭和40年5月:臨界

昭和40年6月(予定):燃料装填全量完了

昭和40年9月(〃):出力上昇試験開始

昭和40年11月(〃): 〃 完了(竣検後120MW程度で営業運転年に入り約半後全出力になる予定)