第15回放射線審議会開催



 第15回放射線審議会は、昭和39年10月28日、国立教育会館において開催され、1962年国際放射線防護委員会勧告等について審議された。
 審議会においては、木村健二郎会長の任期満了に伴い、新会長の選任を行ない、木村健二郎委員が会長として再任されたのち、議事に入った。議題は、(1)1962年国際放射線防護委員会勧告、(2)原子力船特殊規則、(3)放射性物質の航空輸送基準、(4)災害対策特別部会の中間報告の4議題であり、(1)から(3)までについては、それぞれ特別部会を設けて審議を付託することになりまた、(4)については、中間報告を了承した。
 以下に、各議題について、その経緯および特別部会の構成員を記す。

1.1962年国際放射線防護委員会勧告について

(1)経緯
 国際放射線防護委員会(以下「ICRP」と記す)は、1958年にこれまでの勧告についてかなり変更を加え改正した勧告を行ない、わが国においても、放射線審議会でこれをとり上げ審議を行ない、その結果国内法を改正した経緯がある。ICRPは、1962年にふたたび一部改正を行なった新勧告を作成し、1964年に公表したもので、この勧告について審議会で審議を行なった結果、ICRP勧告特別部会を設置して、審議を行なうこととなった。
 1962年のICRPの勧告の改正部分の主要は次のとおりである。

(a)子供をもち得る婦人および胎児に対する被ばく線量の制限が新しく加わったこと。
(b)ウランについての化学的毒性に関して許容量に制限が加わったこと。
(c)ストロンチウム90の最大許容濃度の変更を行なったこと。
(d)長寿命で選択的に骨に行き易い放射性同位元素の場合、外部被曝線量と内部被曝線量を加算する方法が加わったこと。

(2)ICRP特別部会の構成

委員    塚本憲甫
       山崎文男
       田島英三
       宮川正
専門委員 江藤秀雄
       伊沢正実
       田島弥太郎
       藤田順一
       浜田達二
       丸山正倫
       橋詰雅
       宮永一郎
       渥美節夫

2.原子力船特殊規則について

(1)経緯
 昭和39年9月26日付運輸省発舶原第85号をもって、運輸大臣から放射線審議会会長あて「原子力船における放射線障害の防止に関する技術的基準の制定について」の諮問があった。
 これは、運輸省において原子力特殊規則を制定するにあたり、同規則中の放射線障害防止に関する技術的基準について審議会に諮問を行なったものである。審議会としては、原子力船特殊規則特別部会を設置して、審議を付託することが決定された。

(2)原子力船特殊規則特別部会の構成

委員    矢木栄
       田島英三
       檜山義夫
       島史朗
       牧野直文
専門委員 江藤秀雄
       浜田達二
       大亀実
       多田正文
       佐藤加賀生
       竹村数男
       佐伯誠道
       都甲泰正
       浅田忠一
       一色尚次

3.放射性物質の航空輸送基準について

(1)経緯
 昭和39年10月12日付運輸省発空航第630号をもって、運輸大臣から放射線審議会会長あて「放射性物質の輸送基準等について」の諮問があった。
 これは航空法および航空法施行規則に基づいて、運輸省において航空機による爆発物等の輸送基準等を定めるについて、爆発物等のうち放射性物質輸送の技術的基準について審議会に諮問を行なったものである。審議会としては、放射性物質航空輸送特別部会を設置して、審議を付託することが決定された。

(2)放射性物質航空輸送特別部会の構成

委員    山崎文男
       西脇安
       今井美材
専門委員 越山義勝
       永石正孝
       大島竹治
       伊沢正実
       佐々木秋生
       柴田長夫
       庄司努
       守屋忠雄
       善如寺信行

4.災害対策特別部会の中間報告について
 昭和39年3月30日第1回の災害対策特別部会以来、5回部会を開催し、放射線物質の大量放出事故に対する応急対策の放射線レベルについて審議を重ねてきたが、この経過について特別部会長から中間報告が行なわれ、了承された。