日本原子力発電株式会社の原子炉設置変更


 日本原子力発電(株)の原子炉設置変更について内閣総理大臣から昭和39年9月24日および9月30日付をもって意見を求められていたところ原子力委員会は、10月9日付をもって次のとおり答申した。
 日本原子力発電株式会社が茨城県東梅村に設置する原子炉に係る昭和39年9月18日付変更許可申請については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準に適合しているものと認める。
 なお、本件に関し、原子炉安全専門審査会からの安全性に関する報告は、下記のとおりである。

(記)

原子炉安全専門審査会の報告

(昭和39年9月25日)

 I 審査結果

日本原子力発電(株)が茨城県東海村に設置する原子炉施設の変更に係る安全性に関し、同社が提出した原子炉設置変更許可申請書及びその添付書類(昭和39年9月18日付)に基づき審査した結果、同施設の変更に関する安全性は十分確保し得るものと認める。

 II変更事項

申請に係る施設の変更事項は次の通りである。

1.制御棒の本数

           従来   変更後
安全棒        7      9
微調整棒       18     10
粗調整棒       91     63
平担化トリミング棒  91     16
予備         -      11
計          116    109


2.制御材の材質
 従来すべてボロンステンレス鋼を使用する予定であったが、微調整棒及び平担化トリミング捧は、ステンレス鋼に変更すること。

3.緊急停止機構の組数
 従来49組としていたが、44組とすること。

4.制御棒駆動方法
 従来、微調整棒、粗調整棒とも可変低周波発生装置により電力を供給する予定であったが、粗調整棒には一定周波数のものにより供給するよう変更すること。

5.使用済燃料運搬装置
 使用済燃料分離室におけ運搬装置に、従来、ベルトコンベアを予定していたが、これを変更するもので、キャリッジユニットで行なうようにすること。

6.液体廃棄物処理系
 同処理系において、従来、グリーンサンド塔、陽イオン交換塔を使用する予定であったが、この部分を再生式の有機陽イオン交換塔、有機陰イオン交換塔に変更すること。

7.送電電圧
 従来275kVの予定であったが、154kVに変更すること。

III審査内容

 前項1.、2.及び3.については、申請者が設置許可後制御反応度計算をその後の資料、実験結果等に基づき精密に行ない、各制御棒当りの反応度抑制効果を再評価したことによるものである。
 この結果によれば、各種制御棒の本数、材質及び緊急停止機構の組数を変更しても、当初の総合制御効果を保持するものと考える。
 その他の変更事項である制御棒駆動方法、使用済燃料運搬装置、液体廃棄物処理系及び送電電圧についても、詳細設計の段階において具体化した結果のものであるが、何れも当初の安全性を損うことはないと考える。