放射線医学総合研究所養成訓練棟の完成式挙行


 放射線医学総合研究所の養成訓練棟は総工費7,100万円、2階建500坪で、昨年9月に着工、本年3月末に竣工したが、さる9月1日、その完成式が多数の来賓を迎えて盛大に行なわれた。

 式に先立ち、来賓および職員の見まもるなかで、「放射線医学総合研究所養成訓練部」の表札が塚本憲甫所長の手によって掲げられ、新棟はその第1歩を踏み出した。

 完成式は、午前11時、管理部長による開会の辞に始まり、塚本部長の式辞のあと、養成訓練部長から養成訓練棟建設の経過報告が行なわれ、続いて科学技術庁長官代理として科学審議官島村武久氏から告辞が述べられた。また70余名の来賓を代表して、日本医学放射線学会総務理事足立忠氏および日本原子力研究所ラジオアイソトープ研修所長宗像英氏から祝辞が述べられたあと、元科学技術庁長官近藤鶴代氏等からの祝電の披ろうがあり、11時半過ぎ式はとどこおりなく終了した。

 ひきつづき、会場を祝宴会場に移し、管理部長の司会により、塚本放医研所長、原子力委員西村熊雄氏、衆議院科学技術振興対策特別委員会理事西村英一氏、国立衛生試験所長刈米達夫氏、金属材料技術研究所長橋本宇一氏および日本原子力産業会議事務局長早川淳一氏等からそれぞれテーブル・スピーチがあり、養成訓練部の将来を祝って正午過ぎ散会した。

 なお、当日の科学技術庁長官の告辞は次のとおりである。

告辞

 本日ここに放射線医学総合研究所の養成訓練棟の完成式を挙行するにあたりまして、一言ご挨拶を申し述べます。

 かえりみますと放射線医学総合研究所は、昭和32年に科学技術庁の付属機関として設立されて以来、放射線障害および放射線の医学利用に関する研究に、多大の成果をあげてまいりました。また、昭和34年に設置された養成訓練部におきましても、設置以来早くも6年の年月を経たのでありますが、この間、400数十名対にし放射線防護、利用に関する教育訓練を行ない、放射線の安全管理に、また放射線の医学利用に大いに活躍しておられるのであります。

 すでにご承知のとおり放射線の開発利用の伸長は、きわめてめざましく、原子力委員会の推定によりますと、昭和45年には約6,000名の放射線利用関係科学技術者および放射線安全管理者が必要でありますが、これらの点を考え合わすとき、当養成訓練部が今後に果たすべき役割はきわめて大きいものと思います。

 このような秋にあたり待望久しき養成訓練棟が、関係者各位のご支援によりここに完成を見ましたことは、私の深く喜びとするところであります。

 所長をはじめ職員各位におかれては、本日を契機として、さらに一層の研鑚と努力を傾注され、わが国の放射線の開発利用のため、多大の成果をあげられることを期待する次第であります。

 ご多忙の折にもかかわりませず、本日の完成式にご列席下さいました各位に対し、心からお礼を申し上げますとともに、今日まで当研究所によせられましたご支援とご協力に対し、重ねて感謝し、今後とも一層のご指導とご鞭韃をお願い申し上げまして、ご拶挨といたします。

   昭和39年9月1日

科学技術庁長官 国務大臣 愛知撥一