原子力局

米国原子力潜水艦寄港に伴う放射能調査計画


 本調査計画は原子力潜水艦寄港に対処した佐世保、横須賀港湾の放射能水準の監視に関しその施策の万全を期するため両港周辺につき最初の入港前のバックグランド調査および寄港に伴うモニタリング調査を行なうことを目的とする。

1.港湾の放射能調査計画

(1)調査の種類および回数、期間等は次のとおりである。

 (イ)事前調査
 事前調査(最初の入港が行なわれる前に行なうバックグランド調査をいう。)は1港につき2回行なうこととし、その第1回調査を佐世保港において昭和39年9月24日から開始し、また横須賀港においては同年10月4日から行なうこととなった。

 (ロ)事後調査
 事後調査(最初の入港後以降に行なうモニタリングをいう。)は、両港とも3ヵ月ごとに定期調査(定期的または連続的に行なう調査をいう。)を行ない、また潜水艦の入港後および停泊中にその周辺にて臨時調査を行なう。

(2)事前調査の内容は、つぎのとおりとする。

 (イ)現地において海水、海底土および海産生物のサンプルを採取し、これらのサンプルについて、放射能測定分析機関において機器分析および化学分析等を行なう。

 (ロ)現地の空間線量および海水中のγ線量を測定する。

(3)事後調査のうち、定期調査の内容はつぎのとおりとする。

 (イ)現地において海水、海底土および海産生物のサンプルを3ヵ月に1回ずつ採取し、これらのサンプルについて放射能測定分析機関において、機器分析および化学分析を行なう。

 (ロ)現地にモニタリングポイントを設置し、フィルムバッチ、ポケットチェンバーまたはガラス線量計等により約1ヵ月間ごとに積算線量を測定する。また、モニタリングポストには放射能レベルの上昇を指示する等のため高感度G−M計数装置等を設置する。

 (ハ)現地港湾内において調査船は、所定のコースを3ヵ月に1回航行し、航行中自記測定装置により、現地の空間線量および海水中のγ線量等を自動的に測定記録する。

(4)事後調査のうち、臨時調査の内容はつぎのとおりとする。
 現地に常時待機している調査船に設置された測定器により、現地の空間線量および海水中のγ線量等を潜水艦入出港の前後および停泊中に測定する。

(5)モニタリングポイントの数は10(佐世保)および6(横須賀)とし、モニタリングポストは各々1とする。

(6)調査船の数は、1港当り1隻とする。

2.調査の分担

(1)海水、海底土および海産生物のサンプル採取を担当する機関は、次のとおりとする。

 (イ)海水、海底土の採取   海上保安庁水路部(運輸省)

 (ロ)海産生物の採取      西海区水研(農林省)
                    東海区水研(〃)

(2)海水、海底土および海産生物のサンプルの放射能測定分析を担当する機関は次のとおりとする。

 (イ)海水、海底土および海産生物のサンプルの全β測定は、これらのサンプルを採取した機関において行なう。(運輸省、農林省)

 (ロ)全β測定後、これらのサンプルの大部分を分析研または公衆衛生院へ送付する。(運輸省、農林省)

 (ハ)公衆衛生院および分析研は、送付されたサンプルにつきそれぞれ機器分析および化学分析を行なう。(厚生省、科学技術庁)

(3)以上のほか、所要の調査の担当機関は、次のとおりとする。

 (イ)事前調査において

   現地の空間線量および海中γ線量測定

                 公衆衛生院(厚生省)

 (ロ)事後調査において

   調査船の建造、管理および測定

                 海上保安庁警備救難部(運輸省)

   モニタリングポイント・ポストの建設保守および測定

                 佐世保および横須賀市(科学技術庁)

3.近海の放射能調査計画

(1)調査の内容

 (イ)わが国の近海の海産生物(主としてプランクトン)および海水のサンプルを採取し、これらのサンプルについて放射能測定分析機関において、機器分析および化学分析を行なう。

 (ロ)調査は、事前調査を2回、事後調査を2回、合計4回行なう。

(2)調査の分担

 (イ)サンプル採取 水産庁の各水研(6ヵ所)

 (ロ)化学分析   分析化学研究所

 (ハ)機器分析   公衆衛生院(厚生省)

4.昭和39年度原子力潜水艦寄港に伴う各省庁別放射能調査費(単位千円)