京大炉臨界に達す


原子力委員長談話を発表 6月25日


 京都大学原子炉実験所(大阪府泉南郡熊取町)の研究用原子炉が6月25日午後5時55分臨界に達した。この原子炉は、京都大学が中心となり、全国大学の学術研究および教育訓練の共同利用に供されるものである。
 なお、本原子炉臨界に際し、6月25日、原子力委員会委員長から次のような談話が発表された。

原子力委員会委員長談話

 本日5時55分京都大学研究用原子炉が臨界に達しました。この京大炉は、研究と教育訓練を目的として全国の大学の共同利用に供するためのもので去る昭和31年に計画されたものでありますが、昭和37年大阪府泉南郡熊取町において建設に着手して以来工事は順調に進捗し、今日その臨界に達したことは喜びにたえないことであります。
 わが国の原子力の開発は日本原子力研究所において始まっておりますが、この原子炉が全国の大学の共同利用のために計画され、しかも関西地区に設置されたのは、誠に有意義であるものと考えられます。この京大炉の完成により、今後原子力の研究に全国の大学が参加することが可能になりましたが、この共同利用を積極的に推進することによって日本原子力研究所とともに今後のわが国の原子力開発の進展に大きく貢献することを期待するものであります。
 今日、京大炉の臨界を迎えるに当り、関係者各位がこの原子炉の計画以来今日まで、数多くの困難を克服しこの事業の遂行に払われた努力に対し深く敬意を表するものであります。

昭和39年6月25日

原子力委員会委員長

佐藤栄作

 〔参考〕

原子炉の概要

 原子炉の型式:濃縮ウラン、軽水減速、不均質型(水泳プール系タンク型)

 熱出力:1,000kW

 平均熱中性子束:7×1012n/cm2sec

 超過反応度:約4.5%

 冷却方式:強制循環

 炉心タンク寸法:直径200cm、深さ820cm

 燃料体:90%濃縮ウラン(U−Al合金)MTR型

 寸法:約7.5×8.3×60cm

 燃料板枚数:1本当り18枚

 U−235装荷量:約4.5kg

原子炉設置経過

 31.11 関西研究用原子炉設置準備委員会発足

 32.1 宇治市が候補地に上る

 32.8 高槻市 〃

 34.3 北河内郡交野町〃

 34.12 〃四条畷町〃

 35.5 泉南郡熊取町〃

 36.3 現敷地・売負契約および移転登記完了

 36.9 設置承認申請書提出

 36.12 原子炉実験所建設工事起工

 37.3 設置承認

 39.6 臨界