日本原子力発電(株)東海発電庁用燃料の検査


1.まえがき

 東海村に建設中の日本原子力発電(株)以下(JAPCO)東海発電所用燃料は現在、英国原子力公社(UKAEA)スプリングフィールド工場において製造中で、JAPCOは本年1月から3名の検査員を派遣して検査を実施中であるが、日本政府としても、4月3日から24日まで約3週間にわたって検査を実施した。
 日本政府としての検査は、日英両国政府間の燃料協定第8条(2)に関連して、日英両国間に合意議事録がとりかわされ、日本政府に燃料の英国における検査権が与えられていることに基づくものである。検査は燃料製造の各工程について実施され、その範囲は、(1)AEAが実施した検査の結果を記載した記帝を利用しての検査、(2)工場における実物の抜取り検査、(3)AEAの検査への立会に大別される。

2.検査結果

(1)ウラン棒

 まず、チューブの段階で化学組成、内部欠陥、中空部寸法および表面欠陥について検査し、次にその両端にジルコニウム合金の端プラグを溶接したウラン棒の段階で、結晶構造、中空部Heリーク、寸法、重量、表面状態、端プラグ溶接について検査を実施した。これらの段階で主として問題となるのは、内部欠陥と表面欠陥で、AEA内部の検査でも初期においては鋳造したウラン棒のうち約半数が不良品としてはねられている。最近はかなり製品が安定してきたが、4分の1程度がはねられている。また、AEAの検査に合格したものの中からも、日本側の検査により表面欠陥についてかなり仕様に合わないものが発見されており、ごく最近になって、ウラン中空棒を直接鋳造により製造することをやめ、ウラン中空棒を中ぐりすることにより製造するよう変更されたこと等をも勘案すると鋳造に一番問題が大きいと云えよう。

(2)燃料要素

 ウラン棒に被覆を施し、スプリッタ一等の付属品を取りつけたカートリッジについては、各部品の化学組成、端キャップの溶接、Anti−Ratcheting Groove の結合、Heリーク、外観、寸法、表面汚染等について検査し、黒鉛スリープについては、化学組成、浸透度、表面欠陥、機械的強度等について検査を実施した。この段階では、問題はウラン棒の場合より少なく、カートリッジについては端キャップ溶接にしても不良品はほとんどなく、黒鉛スリープについては、表面にクラックとおぼしきものが認あられるものがあり、AEAはこの種のスリーブをかなり持っているようで、その使用を希望しているが現在JAPCOがその使用を拒否している。

3.まとめ

 以上総合してみると、一部AEAの内部検査に合格したものの中に仕様にあわないものが発見されてはいるが、これは日本側の抜取検査により十分効果的に発見されており、また性能に直接影響するような事項については十分仕様を満足しているので、日本側の受け入れた燃料については何ら問題はないものと考えられる。