原子力委員会

動力試験炉(JPDR)の臨界


 動力試験炉(JPDR電気出力12,500kW)は35年8月日本原子力研究所とG.E.Japan社との間で契約が調印されて以来、建設工事が進められてきたが、8月21日に通商産業省から原子炉施設試験使用認可が得られた。翌22日午前1時から燃料装荷が開始され、同日12時41分、燃料棒9本で臨界に達した。
 燃料装荷と同時に反応度の測定等の特性試験を行ない、6週間程度で72本の装荷を完了する。その後出力を上昇させ熱出力が1万kWに達したのち発電を開始する予定である。
 なお、本試験炉の臨界に際して8月22日原子力委員会委員長から次のような談話が発表された。

原子力委員会委員長談話

 本日12時41分、発電試験用原子炉(JPDR)が臨界に達しました。JPDRは、臨界の数10日後に、わが国最初の待望久しい原子力による発電を始めることになります。JPDRは、昭和35年秋建設に着手し、以来3年に近い月日と45億円にのぼる費用を投じて工事をすすめてきたものでありますが、ここに日米両国の技術者の緊密な協力が実を結び、この日を迎えるに至ったのであります。
 かえりみますに、わが国の原子力開発は先進諸国におよそ10年遅れて開始されたのでありますが、関係者のたゆみない努力により、昨年の国産1号炉の完成に引き続き、わが国初の原子力発電が近く始まることとなりましたことは、まことに喜びにたえないところであります。
 JPDRの臨界によって、わが国の原子力発電開発計画は、ここにさらに一歩を進めることとなりましたがこの建設の体験は、今後の軽水型動力炉の建設運転に大きく役立つことはもとより、原子力船の開発、国産動力炉の開発等、今後のわが国の原子力開発の鍵となる諸事業の進展に大きく貢献するものと期待しているものであります。
 終りに、日本原子力研究所、その他の関係者各位のこの事業の完成に払われたご努力に深く敬意を表するものであります。