JRR−4の一部変更の安全性ついて



38原委第14号
昭和38年3月8日

内閣総理大臣 殿

原子力委員会委員長

日本原子力研究所原子炉施設(JRR−4)の一部変更の安全性について(答申)

 昭和38年1月7日付37原第5425号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。


 日本原子力研究所原子炉施設(JRR−4)の一部変更の安全性については、日本原子力研究所が提出した「JRR−4の一部変更に関する書類II」(昭和37年12月5日付)に基づいて審査した結果、原子炉安全専門審査会の安全性に関する報告書のとおり、安全上支障がないものと認める。

昭和38年2月18日

原子力委員会
委員長 近藤 鶴代 殿

原子炉安全専門審査会
会長 山崎 文男

日本原子力研究所原子炉施設(JRR−4)の一部変更の安全性について

 当審査会は、昭和38年1月10日付38原委第1号をもって審査の結果の報告を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

I 審査結果

 日本原子力研究所が茨城県那珂郡東海村日米原子力研究所東海研究所に設置しようとする、濃縮ウラン・軽水減速型原子炉JRR−4(熱出力連続最大1,000kW、短時間最大3,000kW)の一部変更については、日本原子力研究所が提出した「JRR−4の一部変更に関する書類II」(昭和37年12月5日付)に基づいて審査した結果、この原子炉施設の安全性は、変更後も十分確保しうるものと認める。

II 審査内容

 今回の変更は、プールの液面低下によって作動することになっていた炉心出口管のサイフォンブレーカーを炉心タンクの液面低下により作動する方式とすること、および炉心タンクに2コ設けることになっていた自動液面調整弁を1コとすること、ならびに炉心入口管の主配管に設けることになっていた逆止弁を除き別に主配管より大気中に分岐した枝管を設けこれに逆止弁をつけサイフォンブレーカーとすることである。
 これを安全性の見地から検討すれば次のとおりである。

(1)炉心タンク内の液面低下を防止するためのサイフォンブレーカーおよび自動液面調整弁を設け三方針に変更はない。

(2)炉心出口管のサイフォンブレーカーは、従来の計画では炉心タンクの液面が低下しても自動液面調整弁が作動しなければサイフォンブレーカーは作動しない方式であったが、今回の変更計画では、サイフォンブレーカーを液面上に突出して、炉心タンクの液面の低下によって直接に作動す三方式としており、炉心タンクの液面低下はサイフォンブレーカーにより直接に防止される。

(3)したがって、自動液面調整弁の機能は従来の計画では炉心タンク内の液面低下を防止するために欠くことのできないものであったが、今回の変更計画では、炉心タンク内の液面低下はサイフォンブレーカーによって直接に防止されることになっているので、自動液面調整弁を1コとしても液面の大幅な低下は十分に防止しうると考える。

(4)炉心入口管には、従来の計画では逆止弁が設けられることになっていたが、今回の変更計画では逆止弁の代わりにサイフォンブレーカーを設けることになっており、このサイフォンブレーカーは炉心出口側のサイフォンブレーカーと同様、炉心タンクの液面低下により直接作動する方式であるので、逆止弁をサイフォンブレーカーに変更しても液面低下を防止するのに支障はない。

 以上の理由から、今回の変更計画によっても、安全上支障を与えることはないと認める。

III 審査経過