原子力委員会

合衆国原子力潜水艦の寄港問題について


 原子力委員会は原子力潜水艦の寄港問題について次のような見解を発表した。

 今回の合衆国原子力潜水艦の寄港問題については、当委員会としても重大な関心をもって検討してきたところである。

 原子力基本法第2条の「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的の限り、これを行うものとし、」という規定は、わが国の原子力の研究、開発および利用を行なうに当っての基本原則を定めたものであり、したがって、外国政府が原子力を潜水艦の動力として利用する問題と関係のないことは勿論、外国の原子力潜水艦の寄港の問題にまで適用があることは解しない。

 しかしながら、当委員会は、外国原子力潜水艦の寄港については、安全性の面を重視すべきであると考える。すなわち、外国原子力潜水艦の寄港を認めようとする場合においては、軍艦としての国際法上の地位を勘案しつつ、その安全性について保証を取り付け、かつ、わが方において安全上の諸対策、たとえば、原子力潜水艦による放射性物質の廃棄、核燃料の交換等の制限、入港前および停泊中における周辺放射能の測定等の措置を講ずるとともに、万一の場合における十分な補償を確保する方途を講ずる必要があると考える。