日米研究協力について


 日米研究協力については、前号においてこれまでの経緯等について説明されているが、このほど以下のような日米研究協力実施要領が決定された。

酸化物系および炭化物系核燃料に関する日米研究協力実施要領

〔目 的〕

1.日米原子力一般協定の趣旨にのっとり、原子力平和利用の分野に関し、日米両国間において技術情報の交換等を内容とする研究協力を推進し、わが国の原子力研究開発の向上に資する。

〔日米両国政府間に関する事項〕

(相互主義の原則)

2.研究協力は、日米両国間において相互主義の原則に基づき実施されるものとする。

 (対象研究分野)

3.研究協力の対象とする研究分野は、次の各号に関するものとする。

(1)酸化物および炭化物核燃料に関する研究であって次に掲げるもの

1)基本的な化学的および冶金学的性質

2)サンプルの製造方法および加工技術

3)照射挙動

4)他物質との共存性

5)燃料粉末の特性賦与

(2)金属マトリックス物質中へのウランおよびトリウムの酸化物ならびに黒鉛中へのウランおよびトリウムの炭化物の分散に関する研究であって次に掲げるもの

1)基本的な化学的および冶金学的性質

2)サンプルの製造方法および加工技術

3)照射挙動

4)他物質との共存性

 (研究協力の実施方法)

4.研究協力の内容は、次の各号に掲げる方法による情報の交換等とする。

(1)ニューズレターおよび報告書の交換ならびに専門家会議の開催等

(2)サンプルの交換

(3)照射試験および照合試験の実施

(4)長期または短期の研究者の交流

 (情報交換に関する原則)

5.情報の交換は、次の各号に掲げるところに従い、日米両国政府間において行なうものとする。

(1)日米両国政府は、第三者により発表を制限されているものを除き、国の機密に属さない情報の交換につとめる。

(2)情報提供国政府が公表を望まない情報については、情報提供国政府は、情報提供にあたって公表禁止の条件を付することができる。

(3)ニューズレターの発行は、定期的にこれを行ない、相互に交換する。ニューズレターの内容は、研究の状況および成果を相互に知らせるに適するものとする。

(4)研究が完了したときは、日米両国政府は、すみやかに報告書を作成し、相互に交換する。

(5)情報の交換には、日米両国の研究者間における非公式な直接通信も含む。

(サンプルの交換、照射試験の実施等に関する原則)

6.(1)照射試験を含む共同作業計画は、日米両国政府間の合意に基づき、実施国側の計画に従い実施されるものとする。

(2)照射試験実施のために交換されるサンプルについては、挙動評価を行なうに十分な情報が付されるものとする。

(3)サンプルの交換によって得られた情報は、前項の原則に従って交換されるものとする。

(研究者の交流に関する原則)

7.(1)研究者の交流は、日米両国政府間における既存の手続きによって行なわれるものとする。

(2)長期間にわたる研究者の交流については、日米両国政府が後に合意するところによる。

〔国内に関する事項〕

(参加者)

8.研究協力への参加者は、第3項に掲げる研究を行なっている者であって、別に定める念書を添えて原子力局長に参加を申し出るもののうち、原子力局長が適当と認めるものとする。

〔参加者に与えられる便益〕

9.(1)参加者は、日米両国政府により提供されたニューズレターおよび報告書の頒布を受ける。

(2)参加者は、専門家会議に出席することができる。

(3)参加者は、非公式な直接通信による情報の交換、サンプルの交換、照射試験および照合試験の実施、ならびに研究者の長期または短期の交流に関し、便益を受けることができる。

(参加者の義務)

10.(1)参加者は、その行なっている第3項の各号に関するすべての研究(参加者が、日本原子力研究所、原子燃料公社等公的性格を有する機関の場合においては、それらの機関が行なっている当該研究とし、参加者が前記以外の者である場合においては、補助金または委託費による当該研究のほか補助金または委託費によらない当該研究も含む。)について、正当な理由なくして、情報の提供を拒まないものとする。

(2)参加者は、研究協力により得た情報のうち、政府により公表禁止の条件を付されたものについては、第三者にこれを漏らさないものとする。

(3)参加者は、照射試験の実施、研究者の交流等に際しては、日米両国政府間で合意される条件に従うものとする。

(4)参加者は、正当な理由なくして、研究協力の対象となる米国研究者の受入れを拒まないものとする。

(5)参加者は、研究協力によって得られた情報をもとにして研究開発した成果について特許を出願したときは、原子力局長にその旨通報するものとする。

(6)参加者は第12項の規定に基づく原子力局長の指示に従うものとする。

(7)参加者でなくなった者は、参加者であった間にえた情報を第三者に漏らさないものとする。

(情報の秘密の保持)

11.(1)参加者は、情報提供にあたって、その提供する情報のうち公表を望まない情報については、公表禁止の条件を付することができる。

(2)前号の情報については、政府は、情報の提供にあたって公表禁止の条件を付するものとする。

(情報の提供等の指示)

12.原子力局長は、研究協力推進のため必要と認めたときは、参加者に対し、情報の提供を求めるほか必要な指示を与えることができる。

(参加資格の喪失)

13.原子力局長は参加者のうち、第8項に該当しなくなった者および第10項に定められる義務に違反したと認める者を研究協力の参加者から除くことができる。

(研究協力官)

14.研究協力事務の円滑な推進を図るため、原子力局に研究協力官を置き、核燃料課長をもって充てる。研究協力官は、原子力局長の決議を経て次の各号に掲げる事務を行なう。

(1)協力のために必要な通常事務の処理および詳細な取りきめをするための米国研究協力官との相互直接交通(一般政策および研究者交流の取りきめを除く)

(2)研究者の交流についての米国研究協力官との相互意見交換

(3)ニューズレターの編集ならびに発行回数、時期および部数の決定

(4)報告書をすみやかに作成するために必要な措置および必要部数の決定

(5)研究者間の非公式な直接通信に必要な措置

(6)協力推進のために必要な技術上の詳細についての助言および援助ならびに研究者間で進められた計画の検討および実施

(研究協力連絡会)

15.研究協力推進に必要な国内連絡のための機関として研究協力官、参加者および原子力局の職員または参加者の関連機関であって原子力局長が適当と認めるものをもって構成する研究協力連絡会を設ける。研究協力官は、原子力局長の命を受けて研究協力連絡会を主宰する。