原子力委員会参与会

第 8 回

〔日 時〕 昭和37年10月11日(木)14.00〜16.00

〔場 所〕 総理大臣官邸

〔配布資料〕

(1)IAEA第6回総会について
(2)昭和37年度上半期末核燃料物質等保有量一覧
(3)東海地区原子力施設地帯整備について
(4)原子力事業従業員災害補償専門部会の設置について
(5)核爆発実験区域周辺における放射能汚染調査の週間発表
(6)原子力委員会専門部会等の審議状況

〔出席者〕

(原子力委員会)石川、有沢、西村、兼重、駒形各委員

(参    与)稲生、大屋、岡野、菊池、倉田(代)、久留島、瀬藤、成富、伏見、藤岡、正井、松根、三宅、安川(代)、山県、吉沢、我妻、和田各参与

(関 係 者)政務次官、通商産業省、日本原子力研究所

(事 務 局)江上次長、政策課長、調査課長、国際協力課長、核燃料課長、原子炉規制課長、研究振興課長、放射線安全課長、放射能課長、原子力開発機関監理官、その他担当官

〔議事概要〕

 議題に入る前に石川委員の開会の挨拶があり、政策課長から配布資料1号から7号までの確認があった。

〔1〕IAEA第6回総会について

石川委員:IAEAの第6回総会に関する件からお願いします。

 国際協力課長から資料1号にもとづいてIAEA第6回総会の経過概要について説明があった。

石川委員:理論物理センターの問題でイタリアのトリエステの方はもうすんだが、デンマークの方はどうなっているのか。

国際協力課長:まだはっきりとわかっていません。

岡野参与:石川委員、原子力シンポジウムやアジア原子力会議はIAEAが主催なのか、それとも日本政府が主催なのか。

国際協力課長:シンポジウムはIAEAの主催であり、アジア原子力会議は日本政府の主催である。

藤岡参与:1964年に開催予定の第3回ジュネーブ会議はIAEAでなくて国際連合が主催なのか。

国際協力課長:今のところ電訳だけであって詳細はわかりません。

藤岡参与:現在、早川氏はIAEAにお客として行っているがどういうことをしているのか。

国際協力課長:国際理論物理センターでゼミナールを行なうために行っている。

藤岡参与:IAEAの職員がほしいということまで早川氏を通じてきている。

石川委員:いずれお帰りになればデンマークの理論物理センターの問題も明らかになるでしょう。

〔2〕核燃料物質等の在庫量について

 核燃料課長から資料2号にもとづいて昭和37年度上半期における核燃料物質等の在庫量について説明があった。

石川委員:これは数字だけです。

それでは地帯整備専門部会について政策課長にお願いします。

〔3〕原子力地帯整備専門部会の設置について

 政策課長から資料3号にもとづいて原子力地帯整備専門部会の設置の趣旨、諮問事項および構成について説明があった。

藤岡参与:質問にならないかもしれないが東海村に始めて原子力研究所が出来たとき原研の職員が僻地手当を要求したことがあったが、こういう整備がされるということは学校や病院等を含めた1つの文化センターと併せて考えられないのか。

政策課長:意図としているものはそういうものでなく、安全的な見地からの検討である。

石川委員:病院等も考える必要があるが、差し当っては原子力施設にしている。

石川委員:地帯整備の問題については原産で最初に案をねってもらっていた。

では次の原子力事業従業員災害補償専門部会ついてお願いします。

〔4〕原子力事業従業員災害補償専門部会の設置について

 政策課長から資料4号にもとづいて原子力事業従業員災害補償専門部会の設置について説明があった。

政策課長:我妻参与にお願いして懇談会の形式で審議していたが発展して専門部会になった。審議事項については懇談会の報告内容を検討した。これは資料の別記に書いてある。

西村委員:「疾病」とされていない病気とあるが病気を症状に訂正して下さい。

石川委員:この問題はかなり前からの問題であったが労働省にお願いしていたが、あちらではなかなかやってくれないので委員会で取上げるようになった。

政策課長:委員の構成は次の4グループから成っている。現在(3)(4)のグループについて調整中である。

(1)学識経験者、大学の先生、医者等で懇談会メンバーの引きつぎである。

(2)関係行政機関

(3)使用者側

(4)労働組合側

石川委員:(3)と(4)はいろいろ議論があるので現在調整中である。

内田政務次官:今までにあった懇談会とこの専門部会では性格が違うのか、懇談会では手に負えないということで専門部会にしたのか。我妻参与の報告では従業員補償は現行の制度に含まれるとあるのでとくに専門部会で審議する必要があるのか。

政策課長:懇談会の構成メンバーの11名は中立的な大学の法律の先生および行政機関からであり、開設当初から後日に従業員および使用者を加えねばならないということであり、昨年の11月、12月および本年6月に懇談会を行なったが、直接代表を加えて問題をもう少し進めたい。

内田政務次官:懇談会で必要な行政および立法措置を行なわないのは怠慢ではないか、期間をかせぐために専門部会を作るのだと思われないか。もう1つは専門部会の名に補償と書いてあるがこれは後で困らないかということだ。

石川委員:今までは使用者と労働者の2つのsideがぬけていた。

我妻参与:私は懇談会は専門部会の準備会であって、従業員の意見を聞かなければならないが、始めから加えると混乱するので始めにまず懇談会で土俵を作った。この補償は賠償することだけでなくて、防止および治療等を加えた広い意味の補償を考えたい。補償が必要ないということは補償法にいれないことと記憶しているが、外国では原子力補償は別なものがないが、これは法律体系の問題として残されている。

内田政務次官:放射線手当についての検討は別個にやるのかそれともこの専門部会でやるのか。

我妻参与:補償措置の中で取り上げて考えなければならないと思っている。

内田政務次官:給与の一環として放射線手当というような特別手当を支給しろというようなことがいわれているがこれもやるつもりか。

西村委員:そういうような点に解決を与えたい。

我妻参与:原子力事業の従業員が放射線を受けるから一般的に寿命が短いとか、病気や普通人と違った状態が生じた場合にどこまでを補償するか。また人が嫌うような仕事は労務管理上給与が高くなるような形になるのではないか。

内田政務次官:どうもありがとうございました。

石川委員:それでは(5)の放射能汚染調査船について放射能課長にお願いします。

〔5〕照洋丸の調査結果について

 放射能課長から資料5号にもとづいて照洋丸による核実験水域における調査結果およびソ連の核爆発実験にともなう最近のフォール・アウトおよび食料中の放射能について報告があった。

石川委員:I131 の量が少しは増えているということである。

伏見参与:しかしヨウ素に関するかぎり日本人はよいのではないですか。

石川委員:その他の中で、CP−5について原子炉規制課長にお願いします。

〔6〕その他

 原子炉規制課長からJRR−2の10MWの全出力運転について次のように報告があった。9月中に1,000kW、3,000kW、5,000kWの順で運転試験を行ない、10月に入り7,000kWの連続運転を行なって10,000kWのための検査中であった。10MWの全出力運転を行なうとArの量が規定より多くまた重水の出口温度が計算値より高いので原研では7MWとして使用するよう検討されたい。

石川委員:菊池参与、何かご意見はございませんか。

菊池参与:私は帰国したばかりで、いま聞いたところです。出口温度は設計値は533℃と決められているが10,000kWでだいたいこの値であるが、夏は冷却水温度が高いのでこれを上まわる。

岡野参与:10MWの設計に対して能力がぎりぎりで7MW以上で運転を行なうと危険なのですか、熱で12MWであると聞いたが。

菊池参与:危険の問題でなくて規格の問題である。

岡野参与:そうですか、本当のことはまだわからないのですか。

菊池参与:10MWの熱出力を出すこと自体は問題がないが、Arの量に問題がある。

石川委員:今のでよろしいですか。それでは後で読んでいただくつもりでお配りした資料6号を時間が少々ありますので読んでいただきます。

 政策課長から資料6号に基づいて専門部会等の審議状況について報告があった。

正井参与:お何いしますが、第5回の放射線化学専門部会を欠席したので良くわからないのですが、放射線化学中央研究所の体整が出来たので解散するのですか。

石川委員:これは難しい問題で、継続するとしても構成メンバーを少々変えなければならないがまだ止めるかどうか決定していません。

石川委員:こちらから申し上げることは以上のことですが、今度の予算はなかなか問題が多いのでどの位いの歩留りになるか。来月は11月8日は東海村で国産1号炉の完成式があるので8月9日(金)に行ないます。

石川委員:山県参与、清水氏はいかがですか。

山県参与:イタリアで原子力船のシンポジウムがあったので適当な人がいたら出席しないかということで、経団連のEEC視察団の中に幸い三菱造船の専務で清水氏がいたので視察団よりも4、5日前に発っていただいて参加してもらった。無事にシンポジウムを終って経団連の土井さんのグループに加わったという通知を受けとった。