原子力局 厚生大臣に対する放射線審議会の答申 −医療法施行規則の一部改正について− 医療法施行規則の一部改正については、昭和35年10月1日付の「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の改正内容との斉一化を図るため、かねてより厚生省において関係各方面の学識経験者の意見を求めて改正原案を準備中であったが、本年8月厚生省原案(省令案)のとりまとめがなされたので、同月25日付をもって厚生大臣から放射線審議会に諮問が行なわれた。 この諮問をうけて放射線審議会は、9月22日第12回総会を開き、審議および答申を医療法施行規則および金属鉱山等保安規則一部改正のための特別部会に付託した。ひきつづき9月27日、同特別部会は、慎重に審議を行ない、その結果下記のとおり答申を行なった。 なお、その主たる改正の内容について付記することとする。 37放審議第2号 昭和37年9月28日 厚生大臣 西村 英一殿 放射線審議会会長 木村 健二郎 医療法施行規則の一部改正について(答申) 昭和37年8月25日厚生省発医第230号をもって当審議会に諮問のあった「医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)の一部改正(案)」については、昭和37年9月22日の第12回放射線審議会および同年9月27日の医療法施行規則および金属鉱山等保安規則一部改正のための特別部会において下記のとおりその結論を得たので答申する。 記 おおむね貴案のとおりで適当であると考えるが、なお次の点について考慮すること。 1.第25条について 第3号を次のとおり改めるのが適当であること「診療用高エネルギー放射線発生装置の定格出力」 2.第30条について 第2項第5号中の「8ミリレム」は「8ミリレントゲン」とするのが適当であること。 なお、放射線量の単位については、実態に合わせた名称を採用しているが、統一を欠くうらみがあるので、将来これらの斉一をはかるよう検討するとともに、その取扱いについて誤解のないよう指導すること。 3.第30条、第30条の2および第30条の3について (1)第30条第1項第1号、第30条の2第1号および第30条の3第1号の放射線量および放射線量率の測定方法については、明確に指導すること。 (2)第30条の2第2号を次のとおり改めるのが適当であること。 「電路の開閉直後の不必要な放射線を室外から遠隔操作により有効にしゃへいできる構造のものとすること。」 4.第30条の3および第30条の6について 診療用放射線照射装置および使用室の出入口のとびらについては、インターロックの構造とすべきものと考えられるが、医療機関の実情にかんがみとりあえず照射中に室内にみだりに人が立ち入らないようにするため、自動表示装置およびとびら等を設けるようにすること。 5.第30条の9について 貯蔵施設に一律に貯蔵容器を備えさせることおよび貯蔵容器に一律に同条第8号イの要件を要求することについては、実態に即さない場合があるので、その取扱いについて検討すること。 6.第30条の21について 「エックス線量計」の名称については、計量法との斉一はかること。 7.診療用放射線照射装置および器具よりの漏出汚染の検査を管理者に行なわせることが適当であること 8.診療用放射線照射器具の廃案に関する記録を管理者に行なわせること。 9.本規則に定める各種標識については、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則に定めるものと斉一をはかること。 10.医療用放射線に関する監視については、都道府県担当職員にとくに技術面における指導を徹底させ、他の関係法令との競合について円滑な運営をはかるよう配慮すること。 (付 記) 主たる改正の内容 1.ベータートロン、リニアアクセレレーター等の診凍用高エネルギー放射線発生装置について届出、装置の防護および使用室の構造設備に関する規定を設けたこと 2.エックス線装置および診療用放射線照射装置の防護基準を従来の鉛当量による基準から放射線量率による基準に改めたこと 3.エックス線診療室、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用放射線照射装置使用室および診療用放射線照射器具使用室の画壁等の防護基準を従来の鉛当量による基準から放射線量率による基準に改めるとともに、その基準の引上げを図ったこと 4.診療用放射性同位元素使用室の主要構造部等は、耐火構造または不燃材料を用いた構造とすることとしたこと 5.貯蔵容器および運搬容器の防護基準を従来の鉛当量による基準から放射線量率による基準に改めるとともに、その基準の引上げを図ったこと 6.貯蔵施設、廃棄施設および放射線治療病室の放射線防護の基準を放射線量率による基準に改めるとともに、その基準の引上げを図ったこと 7.放射性同位元素によって汚染された物の焼却廃棄および固体状の診療用放射性同位元素または固体状の診療用放射性同位元素によって汚染された固体状の物の土中埋没は行なえないこととしたこと 8.病院または診療所内の人が居住する区域および病院または診療所の敷地の境界における放射線量、放射線診療に従事しまたはこれを介助する者についての最大許容被ばく線量および最大許容集積線量並びに放射線により治療を受けている患者以外の患者であって病室に収容されている者の被ばくする放射線量について基準を設けたこと |