参与会

第 7 回

〔日 時〕 昭和37年9月13日(木)14.00〜16.00

〔場 所〕 ホテルニュージャパン

〔配布資料〕

(1)JRR−3の臨界試験について
(2)動力炉開発専門部会について
(3)プルトニウム調査団の米国派遣について
(4)昭和38年度原子力予算概算要求総表
(5)世界の原子力開発の現況
(6)放射能に関する世論調査結果報告
(7)水理学におけるRI利用に関するIAEAシンポジウムの開催について
(8)IAEAシンポジウムおよび会議一覧

〔出席者〕

(原子力委員会)近藤委員長、石川、有沢、西村兼重、駒形各委員

(参    与)稲生、大屋、岡野、倉田(代)、嵯峨根、瀬藤、高橋、成富、伏見、松根、三宅、安川、山県、吉沢、脇村 各参与

(関 係 者)内田政務次官、通商産業省、経済企画庁、日本原子力産業会議、日本原子力研究所、日本原子力発電(株)

(事 務 局)江上次長、村田次長、政策課長、調査課長、国際協力課長、核燃料課長、原子炉規制課長、アイソトープ課長、研究振興課長、放射線安全課長、放射能課長、原子力開発機関監理官、その他担当官

〔議事概要〕

〔1〕議題に入る前に近藤委員長および内田政務次官の新任の挨拶があった。

近藤委員長:図らずも、このたび原子力委員長として就任した近藤です。昨日国産1号炉が臨界に達しましたことはご同慶のいたりで参与の皆様には長い間にわたってご指導ご鞭撞いただいたが、今後とも格別なご支援をお願いします。原子力平和利用の上に格段の足取りを進めていきたいので何分よろしくお願いします。

内田政務次官:内田です。皆様と国会との連絡係で科学技術庁の玄関番をしておりますので何でも申しつけ下さい。

近藤委員長:議事の進行は石川委員にお願いします。

 政策課長から配布資料1号から9号迄について確認があった。

〔2〕国産1号炉の臨界について

石川委員:国産1号炉について規制課長にお願いします。

原子炉規制課長から資料1号に基づいてJRR−3(国産1号炉)について次のように説明があった。試験に入る前に9月10日に最終的な検査が行なわれ、11日から臨界試験が始まり、アラームの1つが鳴り放しとか、ドアーの開閉により計器に雑音が入る等の小さな故障があったが9月12日3時33分に無事臨界に達した。これは燃料棒を装荷して重水のレベルを少しずつ上昇させて行なった。

石川委員:何か質問、その他問題はありませんか

 それでは動力炉開発専門部会について研究振興課長に説明をお願いします。

〔3〕動力炉開発専門部会について

 研究振興課長から資料2号にもとづいて動力炉開発専門部会の新設について説明があった。

瀬藤参与:本年度末迄に結論を出さなければならないのか。

石川委員:期間が短いかとも思ったが、今年度末迄にした。

瀬藤参与:もう1つには原研を中心としてと書いてあるが原研は予算のやりくりが難しいようで原子力局で適切な指導性のある方法が考えられないか。

嵯峨根参与:ここに書いてない他のことは検討させないのか。

石川委員:出来ない。

瀬藤参与:原研が中心になるのは良いが、資金の使用が窮屈にならない様にお願いしたい。

嵯峨根参与:国産1号炉の場合はうまくいったがお考えのように総力を結集するのはなかなか難しい。

石川委員:やり方としてはこの方法がまあ一番良いだろう。

駒形委員:期限については結果を見てから決めたい。本年度末は一応の目標としてである。

松根参与:この部会は結論が出次第解散することになるのか。いろいろ新しい炉型が出てくると思うので引き続き残しておいたらどうかと思うが。

石川委員:その時の模様に応じて考えたい。

瀬藤参与:日本語の使い方の問題であるが、資料2号の中において選択する炉が一つなのか二つなのかわからないので年度末迄というのが心配となったが二つであってもかまわないのか。

石川委員:その向きでかまわない。

嵯峨根参与:産業会議の討議でも前にあったが結論はでなかった。

石川委員:他に何かご意見はないですか。次にプルトニウム調査団について核燃料課長に説明をお願いします。

〔4〕プルトニウム調査団について

 核燃料課長からプルトニウム調査団について資料3号に基づいて米国に派遣することについて報告があった。

石川委員:菊池参与は9月22日カナダによってもらう。そこで研究所の開所式がある。次に予算について政策課長に説明をお願いします。

〔5〕昭和38年度予算について

 政策課長から資料4号に基づいて昭和38年度予算の見積方針および概算要求について説明があった。

石川委員:昭和38年度で芽を出して将来増加していくのが多いのでご意見を載くと同時に原産をはじめ今後何かとお力添えを願いたいのでよろしく。こちらで決めなければならないこともあるので12月迄に決めたいと思う。御意見がなければIAEAの国際会議について説明したい。

〔6〕IAEAのシンポジウムについて

 国際協力課長から資料7号に基づいて来年3月に東京で開かれる「水理学におけるRI利用会議」について説明があった。

石川委員:論文の提出が少ないのでどうか論文をお出し下さい。

嵯峨根参与:この題目に限って日本がやるのか。この方面の利用が遅れているのでそういう意味でならわかるが。わが国の政府では怒られそうな方法でやって東南アジアでは成功している人がいないということでコバルト−60を川に流して、後で人が住んでいるのが分ったというようなこともある。

松根参与:開催期間は来年の3月末ですね。

石川委員:来年の3月は急がしそうだ。ちょうど国会も開会中ですから。

国際協力課長から資料8号に基づいてIAEAシンポジウムおよび会議について説明があった。

石川委員:1963年は会議数が非常に多い。これは殆んど全部主催国が決まっている。未だ決っていない題目についても続々と決っていくのではないか。現在IAEA関係でわれわれが考えているのは19t64年の段階で1963年のものはほとんど決ってしまうのではないか。これは操っても日本で取り上げるものはない。

石川委員:「微生物学および免疫学におけるRIの利用」はすでに決っているのか、これなどは日本ではどうですか。

国際協力課長:たぶん決っていると思います。東大から出席される予定です。

石川委員:何か日本でやったらよいと思うものが有りましたらいって下さい。

岡野参与:地震の影響の問題などはどうですか。発電やその他との関係がある。現在問題になっているのがイタリアであるがとにかく日本独特でありアメリカが最近急に気にかけているようだが。

瀬藤参与:ちょっとはっきりしないのですが資料8号に書いてない議題をいえばよいのですね。

国際協力課長:1958年から1959年頃の過去のものでも、もう一度やってもという意見があれば良いと思う。

嵯峨根参与:IAEAのシンポジウム関係の予算がこれでは足りないからもっと出せということをここで決めるのではないでしょうか。

石川委員:シンポジウム関係は200万ドルであるが実際に使えるのは120万ドルしかない。18日迄にウィーンのIAEA総会へ電報を打ちたいので17日迄にお願いします。それでは先へ進んでよろしいですか。調査課長に世界の原子力開発の現況について説明をお願いします。

〔7〕世界の原子力開発の現況

 調度課長から資料5号にもとづいて世界の原子力の現況について説明があった。

岡野参与:随分よく調べましたね。

大屋参与:われわれの虎の巻として尊重します。こういうものは一般の人が見たときロビンソンとハートレーを比較するとロビンソンの方が新しく、この方が原子力発電の割合が減っているがはたしてそうなのか見極めてほしい。原子力発電の建設費も300ドル/kWという線に近づいているが新鋭の火力発電所の建設費は4万円/kWということで原子力の方が高いようだが外国から石油を輸入する場合タンカーとか貯油等直接発電に関係のないもののしめる割合がどの位いになるかということを付記していただければ有難い。28ページに各国の原子力予算が出ているが日本は最初は景気が良かったが1958年以来少しも増えていない。西独のようにお願いしたい。有沢委員もいらっしゃるが世論から見ればエネルギー関係の会合では原子力が入っていないが、原子力をもっとエネルギーの正式な会議に宣伝していただきたい。原子力局や委員会でも有沢委員の方に何割を原子力エネルギーにするか、原子力と火力との割合および10年後についてはどうなるかの考えを伝えて載き、かつ、この表にも付記してもらえれば一般にも良く分り有難いと思う。

石川委員:まだこれは正式なものでないので抜けているところが多いが補充して完全なものにしたい。

石沢委員:原子力発電の日本のエネルギーに占める地位は総合エネルギー部会において原子力局と通商産業省との資料にもとづいて検討されている。原子力が無視されているのでなくて、それだけの部分が National Security 上から考えて見てどの位の割合を確保しなければならないのかという実際の数字を出している。従って近いうちに位置づけるようになろうと思うのでご心配なく。

江上次長:原子力局としては原子力発電の経済性については局と通商産業省とでワーキング・グループを作っていろいろな仮定のもとでコストを弾き出したい。また極く大ざっばにいって関係施設に要する設備資金はkW当たり石油で2万円原子力も再処理等があるので1万4千円〜1万5千円というところである。原子力予算については大蔵省へ予算説明の時に28ページの図を見せて増加を申し入れておいた。委員会としても総合エネルギー部会に原子力発電に対する考えを打出したい。

調査課長:ハートレー報告は戦後のヨーロッパの復興が進まない1956年4月に出されたので老朽化している石炭資源や未だ発達の段階の原子力も無理に計画に加えられ、スエズ動乱が起ってあわてて大きな原子力発電の割合を出しているがその頃から世界の石油鉱床が次々に見つかり、一方において、ヨーロッパ経済が復興して買いたいものは外国から買えるようになり、使い易いエネルギー資源を使うようになったのでロビンソン報告ではこの影響を受けて石炭と原子力の割合が減少した。しかし最近のヨーロッパの状況は原子力の方は研究が進んで建設コストが低下して石炭に比較できるようになり、原子力発電の運転ずみおよび建設計画中のものをあわせて800万キロワットであったものが今年の春までには1,000万キロワット、初夏になって1,100万キロワットに増えている。

大屋参与:私の申したのは一般の人が見た場合その辺の事情がわからずにいぜんとしてスローダウンの方向にあるとの誤解を受けるのでロビンソン報告が最終的なものでないということを付け加えたらと思ったのである。

瀬藤参与:原子力発電所の建設費が国によって資本費としてかかってくる割合が違う。例えばアメリカとイギリスでは半分位違う。従って無差別に単に数字だけをくらべるのでなく日本の場合に換算して行なわないといけないと思う。動力炉の部会では日本においての金額に換算して見ようではないか。アメリカの割合は日本に近く、イギリスやカナダは資本に対するかかりが少ない。

石川委員:この調査結果はまだ不完全なものなのでいろいろ付け加えて完全なものにしたい。

松根参与:われわれの方もまたまとめて申し上げたい。

〔8〕放射能に関する世論調査結果について

石川委員:放射能に関する世論調査結果の方へ進みたい。これは総理府の広報室で行なわれたものである。

調査課長から資料6号にもとづいて放射能に関する世論調査の結果について報告が行なわれた。

石川委員:だいたいこちらから報告しましたがご意見や注文がありましたらどうぞ。次回は10月11日(木)であります。場所は追ってお知らせします。

近藤委員長:長い時間、貴重なご意見をありがとうございました。私どもとしても原子力の平和利用に関し皆様とともに進めていきたいと思います。これからもご意見をお願い致します。