参与会

第 6 回

〔日時〕昭和37年7月12日(木)14.00〜16.00

〔場所〕赤坂プリンスホテル

〔配布資料〕

(1)昭和38年度予算の新規重要項目について
(2)昭和37年度原子力平和利用研究委託費補助金交付(案)総括表
(3)昭和37年度原子力平和利用研究委託費交付一覧表
(4)昭和37年度原子力平和利用研究費補助金交付一覧表
(5)放射線化学中央研究所の敷地について
(6)IAEAの第6回総会について
(7)研究用原子炉の有効利用会議について
(8)研究用原子炉の有効利用会議への専門家の派遣要請について
(9)米国における濃縮ウランおよび劣化ウランの価格改訂について
(10)原子力委員会専門部会等の審議状況

〔出席者〕

(原子力委員会)三木委員長、石川、西村、兼重、駒形各委員

(参    与)稲生、井上、大屋、岡野、菊池、倉田(代)、瀬藤、高橋、塚本、藤岡、正井、松根、三島、安川、吉沢各参与

(関 係 者)通商産業省、運輸省、原研、原子力産業会議

(事 務 局)事務次官、島村局長、村田次長、政策課長、国際協力課長、燃料課長、規制課長、研究振興課長、アイソトープ課長、原子力開発機関監理官、その他担当官

〔議事概要〕

石川委員:予算についてゆっくり審議をお願いしたいので報告事項から始めます。

国際協力課長から資料6号に基づいてIAEAの第6回総会について説明があった。

藤岡参与:6月の理事会の他にアンケートを求めるとか又は特に日本から申し入れを行なう様な事はないのか。

国際協力課長:理事会事務局のとった措置は各国へのアンケートとなっている。30ヵ国から回答があり、そのうち5ヵ国はただアンケートを受け取ったという Acknowledgment だけであり、残りの25ヵ国が回答している。日本から Professor 1名と若干の Fellowship を出すことにしている。6月理事会では各国の回答を事務局で検討してScientific Advising Committee に相談して、まとまった新しいものを作るのでなく既存のセンターにFellowを送ったりした方が良いだろうという事になっている。

石川委員:トリエステの方はどうなっているのか。

国際協力課長:イタリアとデンマークが自国に誘致の意志を示しており、イタリアの場合は100万ドルから150万ドルの金を5年間に出し、場所はトリエステを示している。更にトリエステで8月から始まるサマーコースをやる事になっており、センターに取りかかる前にサマーコースをやって見ようということになった。日本からは名古屋大学の早川氏他2名および現地から2名が参加メンバーに指定してもらう様に希望している。

石川委員:早川氏はもう1ヵ年位い前からトリエステに滞在している。

次に研究用原子炉の有効利用会議について国際協力課長から資料7および8号に基づいて研究用原子炉の有効利用会議および同会議への専門家の派遣について依頼があった旨説明があった。

石川委員:実験用 Reactor の研究者でなければいけない。

国際協力課長:Discussion leader は7月末まで一般の参加者はいくぶん余裕があり正式な書類はこれから出すが、来年の3月に東京で水理学へのRI利用会議があるので、この会議に参加する方向へ持ってゆきたい。

石川委員:それでは次の報告事項について研究振興課長から資料2、3、4号に基づいて昭和37年度原子力平和利用研究委託費および昭和37年度原子力平和利用研究補助金の交付決定について説明があった。

藤岡参与:委託費の方で日本学術振興会や学会へ出したものには実際にはどのように運営しているのか。

研究振興課長:種々の人達がまざっているので共通の広場として考えていきたい。

藤岡参与:資料4号の39番にチューリップの球根の問題があるが、これは古い問題であった様な気がするが。

研究振興課長:チューリップの球根については古い問題であり、球根に照射することで一応成果があったが新しく開花直前に照射すると効果があることがわかったので新しく補助金を出した。

藤岡参与:成果があがっていれば結構です。

石川委員:大臣が見えましたので挨拶をお願いします。

三木委員長:遅れて参りまして、放化中研の敷地については両方とも熱心でなかなか甲乙がつけ難い。原子力委員に見ていただいて、交通および通信のことを考えるとやや岩鼻の方が便利であり菊池さんから口頭で申し入れを受けたので、口頭で菊池さんに答えておいた。筵篭旗を立てて両者が競争することは将来の原子力開発上から好ましくないので時間をおいてなるべく鎮静にしてその中できめた。今は不満でもその内に納得して頂けると思う。今後地元の要望を出来るだけ聞きたい。

 政策課長から資料5号の説明があった。

瀬藤参与:資料5号の一番最後の所で放射線化学用の原子炉を置かないといい切らないと川下の人々がなかなかおさまらないのか、こうもいい切らなくても良いのではないのか。

三木委員長:現在の段階ではなかなか難しいので必要な文句である。

井上参与:本日は参与会であり、参与の立場としては適当でないかも知れないが、原産の茨城県の地帯整備委員会をやっていたが、この決定には苦心のあったことはわかるが大洗と岩鼻では大きな違いがあるわけでなく、茨城のこの問題だけでなく従来地元がまとまって原子力行政に協力してくれたが、今後とも言葉だけではいけないので地帯整備にはっきりした予算を付けてもらいたい。何となく他の理由で決まったというのでなくこれだけはやるということをはっきりして頂きたい。相当に地元の熱意を感じた一員として申し上げる。

三木委員長:その中で聞けることは聞きたい。地帯整備の問題は全部が全部は応じられないが今までに茨城県に対しても相当な言質は与えてある。

岡野参与:大臣や井上参与と違って茨城県出身であるので利害関係者としていわせていただきたい。今までに茨城具に何もいわせないのは私がだいぶ努力してきたがためだが、大臣の話をうかがってとにかく安心しました。一時は随分険悪な空気になったが、今後共大臣の意のあるところに従い私としても協力するよう地元に対し努力するつもりです。

石川委員:他になければ次に進みます。

 政策課長から昭和38年度予算の新規重要項目について資料1号について説明があった。

政策課長:前回では38年度以降とのことで人材養成、地帯整備、原子力発電等があがっていたが38年度では大きな額を占めないので一応はぶいた。

岡野参与:国産動力試験炉を開発ということだがJPDRとの噛合せで1万2千キロワットよりも大きなものをやろうというのか、それとも別のTypeのあれより新しい改良されたものなのかIdeaとしてはどういう所を狙っているのか。

石川委員:JPDRはあのままにして、電力会社やその他からも人を出していただいて訓練等に使ってもらう。

岡野参与:何故こういう質問をしたかというと運輸省原研の重要項目として望まれても出来ない問題もあるからだ。

石川委員:JPDRの運転についても種々考えているがこの問題は別である。こっちの方は何年経るかわからない。あるいは途中で出来なくなるかもしれない。

藤岡参与:人形峠は100トンになっているが、成功したらもっと大きなものを作るつもりか。

石川委員:埋蔵量が100万トンという事だが、現在ウランの国際価格が非常に低下しているのでコストが合わなければまだ実際の規模にするのは後でも良いと考えもある。

 船の関係は海上保安庁か気象庁になるかまだ決っていない。原船協に3日報告ねがったが今までの研究では船体の方ばかりであるが炉の方については小さな船になるとPWRの方に傾むく。JPDRはこのプロタイプになるような大きな炉である。小さな炉で行先が走ってしまうので今後原船協とは別の組織を作って種々具体的な問題を研究して重要な段階で特殊法人を作る。今1つには日本が造船国としてボリユームの点では世界一ということを聞いているが内容的にどうかということだ。今基礎研究をしている。

藤岡参与:最初からタンカーをやらずに試験船としてやることは結構です。

松根参与:これは新しい型の炉を開発するのか、実際問題として、外国のものを国産化しなければならないが、これは民間メーカーの方にまかせておくのか、コマーンヤル用として使える時期の国産化はどうするのか。

石川委員:3号炉は国産化するとしても10年後であるから深く入ると資金がいるので研究を小さくやっている。

瀬藤参与:時期的に前に来ることと思うが、2号炉を外国から技術導入するとすれば、日本の特殊事情ということで、1号炉がいろいろ問題になったが、原電がそれだけプラスの分を出してやるのか、それとも国がやるのか。

石川委員:まだ決っていない。アメリカで作るよりも2割7分とか高くなるということを聞いているが、その時に安くなるのか高くなるのか分らないし、金利や税金の問題も日本の特殊性ということも漠然たるアイディアだけでは予算が取れない。これでは少ないのか多いのかわからないし、私としては出来ればその時考えれば良いと思っている。

稲生参与:今の話しですが、いよいよ発電ができていくら高くなったかよりもその前に国産化の問題があり、日本の地震に対してであるが、国産化できるもの、国産化しなければならないもの Pressure vesselや Vapor Container 等の製造とか Stainless Steel のライニング等の技術問題についての技術を今から研究しておく必要がある。

石川委員:国産という意味がわからない、例えば重要な部分を外国から持って来るということ、日本で出来るものだけか、難しい部分もやるのか、いろいろあるがこの前のコンティナーのこともあり、又作っても使う方が日本のものを使ってくれるかどうか分らない。具体的にどういうものを国産化しろというのかいって頂きたい。

稲生参与:技術を導入して国産化し最初できないものでも早く国産化しなければならない。それを全部いえといってもこの席では無理です。後で原産で取りまとめて委員会の方へでも提出します。

石川委員:GEからはこういうもの Westinghouse からはどういうものという様にどの会社からどういうもをということを表にまとめて頂きたい。

瀬藤参与:これは39年度の分だと石川委員はいっている。

石川委員:いや、一般論は困る。はっきりした事でないと予算も取れない。だから題目を並べて頂きたい。

稲生参与:現在顔を出さなければ遅いのではないか。

大屋参与:国産動力試験炉をやる必要がどれだけあるのか、外国で現在出来ているものを国産化する方に全力を使って頂きたい。お互いに相談して予算に入れて頂きたい。

瀬藤参与:安川参与の会社で原子力発電の国産化のために技術開発に必要なことは持つのか、急いでやってもすぐに出来ることはないので、国産化の方向に絞りたい。3号からでなく2号からやっていかなければならない。

大屋参与:もう一つの問題は動力の拡張は1万や2万のものではどうにもならなくて10万キロワット位いのものが必要であり、近いうちに相談してこれをパラレルにまた優先してやってもらいたい。

石川委員:菊池参与何か意見はありませんか。

菊池参与:我々の方で近い将来の炉とかなり遠い将来の炉の両方ともパラレルに研究している。予算でも近い将来の炉の方が非常に多い。1号炉の燃料要素の変更に伴って中空燃料の研究やこれに少し便乗した感があるがホットラポートリーの拡張などかなりそういうものを38年度予算として出している。

大屋参与:予算表に見えていないが着々と出ている様な話だが他にも要求があったら大いに出してほしい。それとパラレルにする様にしたら良いわけですね。

岡野参与:首を出さんとしているもので、この船を出来るだけ促進する方法として、これと関連する運輸省の造船、海運などを出来るだけ推進する様に港湾もパラレルに進めて原子力船が出来たけれど動かないというようなことにならない様に貿易、またその他で日本の海運というものがなくては生きていけないから日本の将来の大問題であるので是非とも今年度予算に入れて頂きたい。

大屋参与:原子力船専門部会の部会長として世界の大勢はコマーシャル・シップを作れということだが、タンカーの様なものはいつ出来るかわからないので出来るだけ早く作りたいので観測船とした船自体は1年半から2年で出来るが問題は原子炉の方で是非とも予算に計上して頂きたい。

三島参与:菊池参与に質問しますが、この予算で原研として材料試験炉の予定を進行させていくために十分ですか。

菊池参与:専門部会の答申が1年ずれる計画であるのでその意味では十分である。

石川委員:次回は8月に開くという話だったが8月は休みの予定であるがことによったら予算のことで急に集まって頂くかもしれない。

村田次長:資料1号の5に関係するかもしれないが、今年の秋に政府からアメリカへプルトニウムの調査団を派遣することで先週末に外務省を通じてアメリカ側の了承した旨の回答があり、これによると期間は9月上旬から3週間、人員は10名位、見学出来る施設はAEC関係ではハンフォードおよびアルゴンヌでその他は軍事関係で見せられないとのこと、又9月13日、14日にリッチランドでプルトニウムの利用に関するシンポジウムがあるのでこれへの参加も問合せておいたところ、これはアメリカ原子力学会が主催でありどうぞご随意にということであり、早急にクリアランスを求めねばならない。調査団のメンバーはここでまだ名前は申し上げられないが団長を入れて12名ということになり、日取りもリッチランドのシンポジウムに間に合う様に決めたい。AEC関係では先ずワシントンへ行ってプルトニウム全般のオリエンテーションを受けてから見学する。以上とりあえず中間報告をした。

国際協力課長:正式ではないが外務省から昨日フランス語で書いた手紙をもらった。これはサクレー研究所 Jean Dobiesse 氏を招いたのに対して日仏の交換としてフランスで4名のフェローを受け入れることが書いてあり、75,000フランおよび帰国旅費はフランス政府で支給すると書いてある。

石川委員:日本からフランスに約3、4人の留学生が行っているがそれと同じ条件になるのではないか。

村田次長:本日、三木大臣に届いた手紙によりますとイギリス中央電力庁総裁の Sin Christopher  Hinton 氏が委員会の招請を正式に受けたということで本年の11月23日から12月4日迄日本に滞在するということである。

三木委員長:どうもありがとうございました。内閣改造の時期で総理大臣が任命権を持っているのでどうなるか分りませんからこの席であらかじめご挨拶しておきます。