アイソトープ工業利用に関する実態調査

 原子力局は、37年度事業計画の一つとしてアイソトープ工業利用に関する実態調査の計画をすすめてきたが、このたび一応の案がまとまったので、行政管理庁の承認申請の手続きをとり、6月上旬から、調査にとりかかることになった。

 目 的

 この調査は、わが国における各企業の工業利用の現状を把握すると共に今後のアイソトープの工業利用の促進策に関する基礎資料を得ることを目的としており、アイソトープ利用の潜在需要、経済効果、自動制御と生産性の向上、アイソトープ需給の見通しならびに普及阻害の問題点等につき調査を行ない、開発方針の策定等に資する予定である。調査に当っては関係各省庁ならびに日本原子力産業会議の協力を得ることになっている。

調査方法

 調査はアンケート方式によりメールサーベイ方法をとるが、とくにゲージング、ラジオグラフイー関係の調査は現地調査、聞き取り調査を併用して調査の正確を期している。

 なお、調査の様式はブランチシステムを採用し、段階的に詳細なデータが得られるよう配慮すると共に回収した調査表については秘扱いとし、各社ことに集計カードに記入し、カード方式による集計分類法を行なう。

 調査の対象および項目

(1)調査対象

 調査の対象は一般生産会社におけるアイソトープ利用(研究および生産への利用)に限定し、法律に基づくアイソトープ使用許可施設および申請中の企業ならびに近い将来アイソトープ利用が有望と考えられる業種の企業を対象とし約400社を予定している。

(2)調査項目

 調査は一般調査と特殊調査に分け、一般調査はアイソトープ利用全般に関する調査とし、特殊調査はゲージング、ラジオグラフィー、トレーサー等とし、経済効果の評価に重点をおく。

(A)一般調査
 アイソトープ利用の現状と問題点について全般的に把超するため次の事項につき調査する。

○会社の一般的事項
○事業所の業務とRI利用業務との関係、技術者の状況
○RI関係の研究開発の現状
○RI使用の現状と将来計画
○RI関係の投下資金と将来計画、現有設備の状況
○RI利用の利点、問題点、開発に対する希望意見

(B)特殊調査
 アイソトープ利用で最も普及しているゲージング、ラジオグラフィー、トレーサー利用につきその経済効果に重点をおいて、次の事項を調査する。

○ゲージング、ラジオグラフイーの利用状況
○ゲージング、ラジオグラフイ一使用の算定(資本金、運転費、生産費等)
○ゲージング、ラジオグラフィーに対する意見
○トレーサー利用による利得の算定、意見
○年間におけるRI利用の総合的経済評価