昭和37年度第2種放射線取扱主任者試験合格者の決定

 東京52名、大阪82名(試験地別)

◎放射線取扱主任者試験合格者

 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)第35条第2項に規定する放射線取扱主任者試験(昭和37年4月8日施行)の合格者を次のとおり決定したので、公告する。

昭和37年5月16日

科学技術庁長官 三木 武夫

第2種放射線取扱主任者免状に係る試験合格者

試験地 東 京

受験番号          氏  名

4         沖  慎一
11         山野  俶
13         馬場  武
15         塩出 忠次
17         宮路 兼吉
18         堀田 重和
24         在原 竜夫
25         梶谷 嘉幸
29         佐藤 久男
30         石坂 健治
36         道畑 富夫
45         齢亀 一郎
60         深沢 和三
65         高橋  清
67         小柳 弥夫
80         竹崎 文雄
81         中村  茂
82         松浦  衛
85         鈴木 英世
96         弘中 羊三
102         橘  快吉
107         滝口 大学
114         石井 美雄
132         三田村 孝
133         斎藤 正雄
140         藤尾 正次
148         箕輪 忠宏
151         松田 弥太郎
170         板倉 栄一
171         丸山  隆
174         土方  豊
185         福田  宏
200         金井 良昭
214         鈴木 洋一
215         井倉 敬三
216         高田 利男
219         松山  格
222         水田 近海
223         福島 英明
227         高橋  仁
232         大域 毅彦
235         山本 達二
237         山本 陽一
257         桐谷 武四郎
267         木川 正一郎
269         市川 宗博
278         寺岡 英喜
282         鎌田 浩明
295         中井 順二
297         本間 義次
325         神野 善司
334         岸  豊作

試験地 大 阪

受験番号         氏  名

1003         栗原 耕作
1005         本間 崇義
1010         田中 順美
1014         作能 良光
1015         松尾 達也
1019         西川 裕男
1024         元山  巌
1028         岩田 信正
1029         山本 順一郎
1033         青木 栄爾
1034         坂田  優
1036         川崎 泰雅
1039         山崎 雅美
1040         本田 嘉秀
1041         田岡 清夫
1049         森  雄春
1050         浜島 紀久雄
1051         真田 典雄
1052         荒金 昌克
1053         伊藤 義信
1056         川瀬  清
1057         米沢  徹 
1061         山根  淳
1068         水野 督士
1069         原田 武夫
1070         池田 穂積
1072         安本  功
1079         川島 弘之
1083         石川 光男
1088         谷野  巌
1089         藤原  優
1091         前川 征一
1093         阪村 達雄
1095         松尾  健
1097         塚田  修
1100         笹川 敞逸
1102         角田 重男
1103         半田 弘治
1105         伊地知 荘介
1106         幸田 耕治
1107         福島 修身
1122         小島 省三
1123         田嶋 太郎
1126         橋太 昇一
1147         林  昭彦
1160         川村 英夫
1167         新門 正人
1168         高田  衝
1175         前田 健造
1176         北村  務
1178         堀  信一
1190         黒田  巌
1196         柴田 周治
1208         木村 秀夫
1209         亀川 真幸
1210         甲斐 照七
1220         八田  肇
1221         柘植 正樹
1224         茨木 徳彦
1228         真栄城 啓二
1232         山口 淳一
1230         山内  茂
1239         篠原 重之
1241         菅井 敏郎
1248         伊東  力
1252         阿部  脩
1256         土山 健次郎
1262         紀藤 輝明
1268         竹重  孝
1279         高山 武夫
1281         川辺 允志
1287         滝原  亨
1291         松波 浩一
1306         周藤 拓雄
1309         山本  襄
1314         加藤 文司
1332         後藤 幸夫
1351         地田  準
1358         若林 信生
1362         橋本 勝臣
1364         小谷 富造
1369         槍垣 日出雄

(参考)

 なおこれで第2種放射線取扱主任者免状を有する者は、331名となった。(第1種放射線取扱主任者免状所有者は1,255名)

第2種放射線取扱主任者試験間験

(注意)

(イ)解答用紙には、問題の番号のみを記載して解答し、問題の全文を写し取る必要はない。

(ロ)1問題ごとに1枚の解答用紙を使用すること。

(ハ)解答用紙の下部の数字を印刷した部分については、その解答用紙に解答した問題の番号と同じ数字の部分のみを切り取ること。

法  令

「放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法令」(以下「法令」という。)につき解答せよ。

第1問 管理区域内において常時密封された放射性同位元素の取扱いに従事する者に対する被ばく放射線の管理は、法令上どのように行なわなければならないか、次の各号について簡潔に説明せよ。

(1)被ばく放射線量の測定

(2)測定結果の記録及び記録の保存

第2問 密封された放射性同位元素の使用施設の主要構造部等の耐火性につき、下記の問いに簡潔に答えよ。ただし、使用施設は、建築物であるものとする。


(1)主要構造部等とは、法令上使用施設のどのような部分をいうのか、具体的に列挙せよ。

(2)次の(イ)から(ハ)までに掲げる場合、主要構造部等の耐火性は、法令上どのように規定されているか、解答例に従って説明せよ。

解答例;(ニ)A施設については法令の規定はなく、B施設については甲構造とするか又は乙材料で造らなければならない。

(イ)50マイクロキュリーの226Ra線源10個を同一事業所の同一使用施設で同時に使用する場合

(ロ)20ミリキュリーの204Tl線源3個を同一事業所内の互いに独立したA、B、Cの3つの使用施設で1個ずつ使用する場合

(ハ)200ミリキュリーの137Cs線源3個のうち、A使用施設で同時に2個を、A施設と同一事業所内にあってA施設とは独立したB使用施設で1個を使用する場合

第3問 次の文章中の_のうちに入る適当な語句を番号とともに記せ。

(1)40万電子ボルトのエネルギーを有するX線発生装置の取扱いについては、原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第2号に規定する 1 及び同条第3号に規定する 2 並びに薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する 3 の取扱いについて放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法待第167号)が適用されないのと同様に、同法は、適用されない。しかし、労働基準法(昭和22年法律第49号)の適用を受ける労働者が上記装置を取り扱う場合には、同法に基づく 4 (昭和34年労働省令第11号)が適用される。

(2)病院又は診療所内における診療用放射線照射装置使用量の放射線防護のためのしゃへいは、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律によれば、上記使用室内の人が常時立ち入る場所における許容線量が1週間につき 5 ミリレム、従業員宿舎における許容線量が1週間につき 6 ミリレム、病室における許容線量が 7 につき 8 ミリレムになるように設けなければならない。

(3)密封された放射性同位元素の貯蔵室における耐火性については、その主要構造部等を耐火構造とするほか、その 9 には 10 を設けなければならないことになっているが、 11 の容器に入れて保管する場合にはこの限りでない。

(4)228Raの線源5キュリーを1個の容器に入れて貨物自動車で運搬する場合には 12 の許可を受けなければならない。

(5)放射性同位元素の使用の許可を受けた者が 13 以下の密封された放射性同位元素を 14 などの目的のために許可を受けた事業所以外の場所で一時的に使用する場合には、あらかじめその旨を 15 に届け出なければならない。

第4問 次のA条からG条までは、60Co5キュリーを装備した照射装置3台を使用しているある会社のある工場における放射線障害予防規定のなかから任意に7条を選び、条文全部を原文のまま抜き書きしたものである。このなかには放射線障害予防規定として明らかに不適当と思われる箇所があるので、不適当と思われる箇所を条文ごとに抜き書きし、解答例に従ってその条全体として完全な文章になるように簡潔に添削せよ。

解答例;H条 使用に関する帳簿は、3年間保存する。→使用及び保管に関する帳簿は、5年間保存する。

(目的)

A条 この規定は、関係法令の規定に基づきコバルト60照射装置及び規格エックス線装置(以下あわせて「照射装置等」という。)の取扱いについて規制し、もって、従業員及び公共に対する放射線障害の発生を防止することを目的とする。

(施行責任者)

B条 この規定の施行責任者は、主任衛生管理者とする。

2 この規定を実施するために必要な細則は、主任衛生管理者が定める。

(放射線取扱主任者)

C条 主任衛生管理者を補佐し、放射線障害の発生の防止について指導、監督を行なう者として放射線取扱主任者及びその代理者を次の各号の規定により選任するものとする。

一 放射線取扱主任者3名 第2種放射線取扱主任者免状を有する者
二 放射線取扱主任者の代理者3名 放射線取扱主任者が事故によりその職務を行なうことができない期間が30日以上に及ぶ場合にその職務を代行する者であって、放射線障害防止に関する相当の知識及び経験を有すると主任衛生管理者が認めたもの

(許容線量)

D条 照射装置等の取扱いに常時従事する者(「直接従事者」という。)は、1週間に100ミリレム以上の被ばくを受けないようにすること。ただし、火災などの際の緊急作業を行なう場合には最大許容被ばく線量の範囲内で被ばくできるものとする。

2 前項に規定する者以外の者であって管理区域に業務上立ち入らなければならないもの(「間接従事者」という。)は、一週間に30ミリレム以上の被ばくを受けないようにすること。ただし、火災などの際の緊急作業を行なう場合には最大許容被ばく線量の範囲内で被ばくできるものとする。

3 前二項に規定する者以外の者は、原則として管理区域に立ち入らないこと。

(運 搬)

E条 コバルト60照射装置を事業所外で使用するため搬出する場合には、放射線取扱主任者の立会いのもとに、容器に入れたのち厳重に包装して、貨物自動車で運搬するものとする。

2 放射線取扱主任者は、前項の包装が終わったのち、放射線量が包装の表面において300ミリレム毎時以下、包装の表面から1メートルの距離において30ミリレム毎時以下であることを測定により確認するものとする。

(健康診断)

F条 直接従事者及び間接従事者に対しては、6月ごとに中央診療所において健康診断を行なうものとする。

2 前項の規定にかかわらず、D条において定めた許容線量をこえて被ばくし、又は被ばくしたおそれのある者に対しては、すみやかに、健康診断を行なうものとする。

(就業制限)

G条 次の各号に該当する者は、直接従事者となれないものとする。

一 16歳未満の男子

二 女 子

三 未経験者

管理技術(1)

第1問 G−M計数管の一般的構造および動作特性ならびにβ線サーベイに使用するさいの注意事項を簡潔に説明せよ。

第2問 γ線源が壁の厚さ3cmの鉛容器に入れてある容器から1mはなれた場所での線量率は、6mr/hであった。途中に1cmの鉛板を入れたところ3mr/hに減少した。γ線源を鉛容器から取り出したとき1mはなれた場所での線量率を求めよ。

第3問 次の(イ)から(ヌ)までに掲げる放射性物質の1つを入れたガラス管がポリエチレン製容器内でこわれた。これを(A)この容器のふたをあけたとき気体として放射性物質が放出されるおそれのあるもの、(B)ふたをあけ長時間放置すると気体となって放出されるおそれのあるもの、(C)ふたをあけて放置しておいても空気中に放射性物質が放出されるおそれのほとんどないものの3種類に分類せよ。ただし、(イ)から(ヌ)までのうち元素記号の右肩の*印は、放射性核種を示す。

(イ)エタノール(CH3CH2OH)
(ロ)塩化ナトリウム(Nacl)
(ハ)シアン化カリウム(KCN)
(ニ)塩化ストロンチウム(Srcl2)塩酸溶液
(ホ)炭酸バリウム(BaCO3
(ヘ)塩酸(HCl)6N溶液
(ト)硫酸(H2SO4)6N溶液
(チ)リン酸(H3PO4)溶液
(リ)酢酸ナトリウム(CH3COONa)
(ヌ)塩化コバルト(CoCl2)水溶液

第4問 厚さ計に用いられる90Srの密封線源に漏洩の疑いが生じたので、線源の附近を濾紙でふき取り、その濾紙の放射能の有無をG−Mサーベイメーターを用いて調べた。これについて下の間に答え、かつ、その理由を簡潔に説明せよ。

(1)G−Mサーベイメーターの代わりに電離箱式サーベイメーターを使用する方が有利であるか。

(2)濾紙でふき取る代わりに線源附近を直接サーベイすることによって上記の目的を達することができるか。

管理技術(2)

第1問 90Sr(β線源)の容器が破損した場合、それを取り扱う者が受けるおそれのある放射線障害について簡潔に説明せよ。

第2問 次の(イ)から(ト)までに掲げる用語につき、(イ)から(ニ)までについてはγ線と物質との相互作用に関連して、(ホ)から(ト)までについては2つの用語の関連についてそれぞれ簡潔に説明せよ。

(イ) 軌道電子
(ロ) コンプトン電子
(ハ) 光電子
(ニ) 陽電子
(ホ) ラドとレム
(ヘ) 半減期と壊変定数
(ト) 電離と励起

第3問 次の(1)から(4)までの文章に誤りがあれば簡潔に訂正せよ。なお、解答は、(1)、(2)、(3)又は(4)としてその右側に完全な文章を書き、かつ、原文を訂正した箇所にはアンダーラインを引くこと。

(1)大量のγ線の照射を受けた普通のガラスは、着色し、強い放射能を示すようになる。

(2)Ra−Be線源は、中性子線源であるから、これを保管する場合普通のRa線源のようなγ線に対するしゃへいはいらないが、中性子をしゃへいするため、重い元素を含む物質と中性子を吸収しやすい元素例えばBeなどで踏むことが望ましい。

(3)放射能は原子の性質であるから、化学結合で原子の外殻電子の状態が変れば影響を受ける。したがって、同じ量の同じ核種でも化合物の種類によって放射能の強さは異なる。

(4)β線を放出する物質からの放射線は同数の同じエネルギーのβ-線を放出する物質からの放射線と同様にしゃへいすることはできない。その理由はβ線はβ-線と異なり、制動放射によってγ線をより多く発生するからである。

第4問 60Co10キュリー程度の密封線源を取り扱う場合、人体で最も障害され易い臓器又は組織名を4つ挙げ、それらの臓器又は組織が1回の照射により組織学的障害をあらわすおよその最低線量および照射の全身又は局所の別を記載せよ。なお、解答は下記の解答例にしたがって行なうこと。