原子力委員会設置法の一部改正

 原子力委員会設置法の一部を改正する法律は、昭和37年4月28日公布施行された。この改正は、原子力委員会が従来から所掌していた放射能調査分析および対策研究に加えて、「放射性降下物による障害の防止に関する対策の基本に関すること」をも所掌することを明らかにしたもので、これにより、放射能対策が原子力委員会を中心として確立されることとなった。

法律第91号

原子力委員会設置法の一部を改正する法律

 原子力委員会設置法(昭和30年法律第188号)の一部を次のように改正する。

 第2条第9号中「その他」を「第1号から第8号までに掲げるもののほか、」に改め、同号を同条第10号とし、同条第8号の次に次の一号を加える。

9 放射性降下物による防止に関する対策の基本に関すること。

 第4条中「原子力利用に関する重要事項」を「第2条各号に掲げる事項」に改める。

 附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

原子力委員会設置法の一部を改正する法律の成立に当って

原子力委員長談話

37.4.25

 本日、国会において原子力委員会設置法一部改正法案の可決成立をみまして、今後放射性降下物に対する対策の基本に関する事項は、原子力委員会がこれを所掌することになりました。

 原子力委員会と致しましては、放射性降下物による障害防止対策の基本に関する事項について、事態に即応して企画、審議、決定を行ない、関係行政機関による具体的な対策の有効適切な実施を期し、国民の福祉の保持に遺憾のないよう努力したいと思います。

 もとより、放射性降下物に対し根本的な解決を図るためには、ソ連、米国その他の国における核爆発実験の停止を実現させる以外に途はありません。このことは国民全体の悲願であり、また、原子力基本法にも原子力の平和利用ということが貫ぬかれておりますので、原子力委員会と致しましても、今後一そう積極的な関心をもってそういう世界の実現を希求し、要請して参りたいと考えるものであります。