参与会 第10回 〔日 時〕昭和36年11月16日(木)14.00〜16.00 〔場 所〕総理官邸 〔配布資料〕 1-1.放射能対策本部について(閣議決定) 核実験に伴う放射能等の科学的調査および対策樹立に関する件 (衆院科学技術振興対策特別委員会決議) 〔出席者〕三木委員長、石川、西村、兼重、駒形各委員 稲生、井上(代)、大屋、岡野、菊池、倉田(代)、嵯峨根、瀬藤、高橋、塚本(代)、成富、松根、三島、三宅、安川、山県、吉沢、我妻、和田各参与 通産省、運輸省、原研 鈴江事務次官、杠局長、森崎次長、井上次長、調査課長、研究振興課長、核燃料課長、放射線安全課長、 原子力開発機関、監理官、その他担当官 〔議事概要〕 1.最近の核爆発に伴う放射性降下物の現状と対策について 杠局長が資料1-1、1-2、1-3(放射能対策本部に関する閣議決定等)にもとづいて放射能対策本部について説明を行ない、次に放射能調査費を予備費から流用することについて概要を次のとおり報告した。これらの対策は、来春以後90Sr、137Cs等の増加が予想されるが、恒久的な調査ネットをつくるまでのつなぎの措置である。 フォールアウトの人体におよぼす影響に関する考え方について放射線審議会に諮問した。32名の委員で特別部会をつくり、第1回会合を15日に開いた。対策本部で作業班を作り、その作業に委員がたえず参加し結論を出して行くこととなり、ただちに作業にとりかかる。 警告線量については、日本の食習慣に合ったレベルを作るのが必要であり短期間に作業を完了したい。 事務局から資料1−5分析試料採取地点強化図について説明があった。 三木委員長:調査分析などでフォールアウトを正確につかみその影響をできるだけくいとめ一般にもPRする。このような仕事を対策本部ですることになる。 杠 局 長:対策本部の会合で放射能の観測値をグロスカウントと分析値とに分けて、グロスカウントについては10,000カウント以上のときは責任ある中央省庁で、それ以下は各地方官署で発表することとし、分析値については対策本部で発表することとした。 気象研三宅部長が本部に連絡なしに気象学会で発表したので取り決め違反である旨気象庁に申し入れた。三宅部長が多忙であったため、取り決めが徹底していなかったのである。発表に際して慎重を期すためにとり決めたのである。 三木委員長:本部が権威をもつことが必要であり学会等をいたずらに押えるようなことをしてはならない。 大屋参与:1.放射能調査について諸外国、国際機関と連結をとること。 2.観測値の発表は絶対値だけではなく減衰の状況もあわせて発表することが必要である。 杠局長:第1の点については、国連の委員会で審議中であり、また外務省と局の職員が北欧、ヨーロッパ、北米に調査に行なっている。 第2の点については、われわれはグロスカウントよりもフツドチエインを重視しこの分析等に力を入れてゆきたい。 2.ヒルシュ・ユーラトム総裁と三木委員長との共同発表について 事務から一行のメンバーおよびヒルシュ総裁と三木委員長との共同発表につき資料2−1、2−2により説明があった。 三木委員長:ユーラトムと関係を持つのはむだではない。研究協定の締結について提案したところ理事会ではかるといっていた。 3.放射線防護国際コースについて 事務局から資料3に基づき説明があった。 4.菊池参与の再任について 杠局長から菊池参与を再任したことについて報告があった。 5.近畿大学原子炉について 杠局長から近畿大学原子炉UTRが11日に臨界に達したことについて報告があった。 6.その他 衆院科学技術特別委員会決議につき、杠局長から説明があり 杠局長:原子力委員会、科学技術庁では権限、能力等に限界もあり、三木大臣から各省に対して宿題を出している。 菊池参与:米英等では核戦争のことまで想定して対策を立てているが対策本部ではどうか。 杠局長:そこまでは考えていない。 嵯峨板参与:1)瞬間線量と平均線量の点や、線量よりもむしろ核種が大事であるということが最近知られるようになって来たがもつとPRするべきである。 2)衆院決議では全て局がやるのがあたりまえと考えているようにとれるが、このことについてはどう考えるか。 3)ユートラムでは電力会社に便宜をはかっている。その面の情報交換も必要である。 稲生参与:研究交換では、日本が頭脳を出しアメリカが資金を出すように交渉した方がよい。しかし特許のことが問題になる。 大屋参与:樋谷氏と話したとき、アメリカの金で日本に研究所をつくったとき、特許権は日本にあり、アメリカに許諾するというようにしてはどうか、といっていた。原子力関係は軍事利用があるのでめんどうになる。 石川委員:民間会社でフォールアウトの分析ができるところがあれば協力していただきたい。 次回は12月14日(木)としたい。 |