参与会

第9回

〔日時〕昭和36年10月12日(木)14.00〜16.00

〔場所〕総理官邸

〔配布資料〕

1-1.IAEAの総会について
1-2.国際原子力機関第5回総会における三木日本政府代表の一般討議演説
2.国際協力に関する資料
3-1.原子力研究所の軽水減速型臨界実験装置における核燃料物質の使用の安全性について(答申)
3-2.(株)日立製作所の臨界装置における核燃料物質の使用の安全性について(答申)
3-3.学校法人五島育英会原子炉施設の変更の安全性について(答申)
4.核燃料経済専門部会第三次中間報告書
5.材料試験炉専門部会中間報告書
6.SNAP(補助用原子動力系)計画について(原子力メモ第75号)
7.原子力委員会各専門部会の審議状況

〔出席者〕三木委員長,石川,西村,駒形各委員

稲生,井上,大屋,岡野,菊地(代),倉田(代),嵯峨根,瀬藤,高橋,塚本(代),成富,三島,三宅,安川,小県,吉沢,和田各参与

山本政務次官,鈴江事務次官,杠局長,森崎次長,井上次長,政策課長,調査課長,研究振興課長,核燃料課長,放射線安全課長,原子力開発機関監理官,その他担当官

大蔵省,通産省,外務省,運輸省,経済企画庁,原研,原電,

〔議事概要〕

1.IAEA第5回総会について

 最初に三木委員長からIAEA総会について次のとうり報告があった。

三木委員長:9月26日から2週間ウイーンでIAEA第5回総会が開かれ,それに出席した。帰途に英・仏・西独・ベルリンに寄り原子力関係者に会って来た。

 イギリスではエネルギーの石油依存度を下げ原子力に切換えていこうとしている。フランスでは石油を主とし原子力を従と考えている。西独では日本との技術交流に熱意を示していた。

 ウイーンの会議では東西の対立があからさまに現われているので日本はIAEAら平和利用を促進するのを強力にバックアップしなければならない。

 総会において日本は,RIアジアセンターを日本に設置することを提案した。この提案は大きな反響を呼びIAEAもこの提案に賛成し,1963年までに実現できるように理事会にはかりたいので,11月中に具体案を提出してほしいといっていた。

2.国際協力の推進について

石川委員:ユーラトム総裁一行6〜7名が11月2日に来日する。

大屋参与:京都で第4回RI研究会があり,その席上RIアジアセンターの日本提案が話題になったが,この構想は東南アジア議国に歓迎されている。日本は東南アジア諸国に信頼されている。

石川委員:日本はRIの関係では世界のトップレベルにあるようだ。

三木委員長:研究員の交換については石川委員の方で具体化していただきたい。

大屋参与:日米フォーラムは12月にする予定で大勢来日することになっている。

 原子力船も議題になっているのでアメリカ側のデータも提供される。

石川委員:ドラゴン計画では日本は教えてもらうということにしたい。

 アメリカやカナダ等ではただ教わりに行くのではなくて共同研究のできる人を希望している。

嵯峨根参与:一般的にはむりであろうが分野によってはそうとうできるものもある。

三木委員長:国会の科学技術特別委員会ではアジアで原子力関係の会議を開くように強調している。私はRIセンターの進行をにらんでしたいと考えている。

石川委員:再来年になるだろう。

大屋参与:アジア大会については共産圏のことが問題になる。アメリカはアメリカの研究が共産側にもれることを心配しており,共産圏が参加する会議には参加できないといっていた。アジア会議ではこのことを考えておかなければならない。

石川委員:各社の計画はどうか。

稲生参与:ウェスティングハウスと技術提携をし,今年中に技術者を10名派遣する。

和田参与(代):イギリスに3名派遣し核計算等の勉強をさせている。東海の仕事は進んでいる。

瀬藤参与(代):JPDRの仕事に協力し仕事も相当進んでいる。技術提携についてはGE側が慎重でまだ契約まではいっていない。

倉田参与(代):日立の方は東芝と同じである。

和田参与(代):インドの発電炉入札についてはまだ不明であるが英国GECとEECの二社がのこっている。

嵯峨根参与:イギリスのニコルス氏等と鉄のモニターの方法について討議したとき日本のレベルが高いので驚ろいていた。ドイツとは連絡をとっていないがアメリカとはよくやっている。

 森崎次長が資料2について説明した。

3.原子力発電合同会議について

 局長から原子力発電合同会議について報告があった。

和田参与:動力試験炉はどうなるか。

局長:例えばJPDR等は今のところ含めないつもりだが通産省側から話がでればそのとき検討したい。

安川参与:我々の希望としてはできるかぎり窓口を一本にしてほしい。

委員長:外国では最後に安全審査をするのに日本では最初にしている。通産省だけで原子力局がタッチしていないのは安全の確保について国民の声もあるのでどうかと思う。窓口を一本にするために合同会議ができた。

4.最近のフォールアウトの状況について

 事務局から最近のフォールアウトの状況について報告した。

委員長:影響がどのていどかということを素人にもわかるように発表したい。

嵯峨根参与:測定方法の統一をしてほしい。

委員長:気象庁では統一している。

局長:最近放射能レベルが上がって来ているのはわかるが,これが人間にどう影響するのか分らない。いろいろの前提条件がないと正確にはいえないが,これでは素人にはわからない。

委員長:学者が書いたものを素人がダイジェストして書かなければならない。

5.原子炉安全審査に関する答申について

 事務局から学術会議の放射能防護に関する勧告書について報告があり,資料3-1,3-2,3-3について説明があった。

岡野参与:関西炉の土地問題はどうなっているか。

 事務局:99%まで片付いており近く解決する見込みである。

6.原子力委員会,各専門部会の審議状況について

 井上次長が資料4,5,6,7につき説明した。

岡野参与:ウラン濃縮を日本でやるのか,研究はどのていどやっているか。

井上次長:大山氏を中心に遠心分離法の研究をしている。原研ではイオン交換法の研究をしており,あるていど成功している。37年度にはカスケードをくむことになっている。フイルムに独特の工夫がしてある。

嵯峨根参与:このテーマは研究するだけの価値があるかどうかを委員会で討議してほしい。途中でも研究が成功しないとなればやめるべきである。この研究はスモール・スケールでした方がよい。