1961124日から開催されたIAEA理事会の議題

1.技術援助

イ 日本に対し、1960年中に専門家1名(1ヵ月)およびフェローシップ2名(6ヵ月、9,950米ドル)、1961年申に材料試験炉の設計または建設に関し、専門家1名(6ヵ月、8,700米ドル)の援助を行なう。

ロ 技術援助に関する改訂標準協定を改正して、IAEAから派遣された者の故意および重大な過失により生じた損害を免責しないことができるようにするとともにローカルコストの支払いについてTABのチェアマンに裁量の余地をあたえる。なお、ローカルコストを前払いすることとなる予定である。(この前払いについては、日本の財政法規上前払いが困難であることにかんがみ、弾力性をもたせてもらうよう理事会で意見を述べ、日本については、この点が留保された。)

2.1961年計画の事業部分の実施について

 1961年上半期の事業活動に必要な経費の事業資金からの割当

3.国連第15総会において総会によりなされた決定に基づき必要となる行動

 任意拠出金の増額について

4.機関の保障措置

 総会でテークノートされたものを理事会で決定し、総会に報告

5.原子炉および濃縮ウランの供給に対するフィンランドの要請

 フィンランド政府が原子炉および濃縮ウランの取得につきIAEAの援助を要請したプロジュクトに付着される保障措置規定のドラフト

6.ノールウェイ原子炉NORAに関連するIAEAとノールウェイとの共同研究計画とIAEAの計画の提案

 IAEAの費用負担

 共同科学委員会の費用1,600米ドル以下で費用の1/2(共同科学委員会の委員旅費がこのおもなものである。)

 その他10,000米ドル(主としてフェローシップ計画として使用される。)

 なお、NORAは1961年初め臨界に達する予定であり、共同計画と燃料の供給に関する協定が近く締結される見込みである(協定案は理事会で承認された)。

7.重水の供給に対するユーゴスラビアの要請

 Boris Kidric Institute(vinca)の零出力原子炉の運転に必要な重水をユーゴスラビア政府が要請したものである。アメリカ合衆国とノールウェイが提供を申し出ている。

8.原子力損害に対する民事責任

 IAEAは「きたる3月6日からウィーンにおいて14カ国(日本も含まれている。)の代表者からなる intergovernmental committee を設け約2週間原子力損害に対する民事責任の問題を検討すること」を計画しているので、これを理事会に提案するとともに事務局長から昨年各国から徴した各国の意見の報告、きたる4月行なわれる原子力船の民事責任に関するブラッセル会議についての報告、原子力船の民事責任問題の今後の取扱いの手続の検討を行なう。

(理事会において intergovernmental committee は5月初めに開催されることに決定した。)

9.IAEAの査察員の行為に対するIAEAの責任

10.放射線事故に関する緊急援助

 これに要する費用をIAEAの Working Capital Fund から一時立替払いする。

11.アフリカおよび中東地域の理事会への代表

12.国連経済社会理事会の評価報告

13.科学諮問委員会で討論された問題

14.研究契約の供与の実際と手続の再検討

 理事会が事務局に対し現在行なわれている研究契約供与の実際と手続について科学諮問委員会にコンサルトし、その意見を報告することを要求していたので、これを報告する。

15.国連総会の行政的および予算的問題に関する諮問

 委員会によるIAEAの1961年予算の審査

16.IAEAの任意寄付金の使用に関する制限の効果

17.非政府団体に対する機関の諮問資格の供与

18.手続規定の改正

19.手続規定第8条aに基づく事務局長の隔月報告

20.事務局長代理に対する機密費

21.理事会の次回会合の打合せ